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遺族年金を受けている人が結婚した場合、年金受給は続けられる?

 
内容をざっくり書くと
そのため、内縁や事実婚も結婚した場合と同様に遺族年金の受給は続けられません。
 

まずは遺族年金について簡単におさらい冒頭でも述べたとおり、遺族年金とは国民年金や厚生年金に加入してい… →このまま続きを読む

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事実婚

事実婚(じじつこん)とは、婚姻事実関係一般を意味する概念[1]。「事実婚」の概念は多義的に用いられ、婚姻の成立方式としての「事実婚」は「無式婚」ともいい要式婚(形式婚)と対置される概念であるが[1][2]、通常、日本では「事実婚」は法律婚(届出婚)に対する概念として用いられている[1][2]

したがって、事実婚は広義には「内縁」の同義語類義語としても用いられるが[3][4]、講学上において「事実婚」という概念を用いる場合には、特に当事者間の主体的・意図的な選択によって婚姻届を出さないまま共同生活を営む場合を指すとし、届出を出すことができないような社会的要因がある場合をも含む「内縁」とは異なる概念として区別されて用いられることが多い[5][6]。この点を強調して「選択的事実婚[7]あるいは「自発的内縁[8]などと呼ばれることもある。

また、先述のように「事実婚」の概念は多義的であることから、法的概念として「事実婚」の語を用いることを避け、法律婚に対する事実婚については「自由結合(union libre)」という概念を用いる論者もいる[9]

以下、この項目では当事者間の主体的・意図的な選択によって婚姻届を出さないまま同居し共同生活を営む場合の事実婚について述べる。

日本における事実婚

概要

事実婚とは社会慣習上において婚姻とみられる事実関係をいい、婚姻成立方式の分類上においては、事実婚は無式婚とも呼ばれ婚姻に一定の儀式を要求する要式婚(形式婚)に対する概念とされる[10](婚姻要件としての事実婚 [2])。

社会慣習上において婚姻とみられる事実関係があれば法律上の婚姻として認める法制を事実婚主義というが、婚姻の成立には社会による承認としての公示(儀式等)が要求されることが一般的であり、純粋な事実婚主義は1926年のソビエト・ロシア法など極めて稀に存在するにすぎないとされる[1]

婚姻成立方式の分類における事実婚の概念は上のようなものであるが、日本の民法上では習俗的な婚姻儀式とは切り離された届出婚主義がとられている関係上、法律婚と婚姻事実との有機的結合が存在しないために、「事実婚」の概念は習俗的儀式婚をも含む届出婚(法律婚)に対する概念として用いられているとされる[1][2]

事実婚の概念が内縁と区別して用いられる場合、一般に内縁関係においては当事者間に婚姻意思がありながらも届出を出すことができないような社会的事情がある場合を含んでいたのに対し[11]、内縁とは区別して事実婚という概念を用いる場合には特に当事者間の主体的な意思に基づく選択によって婚姻届を出さないまま共同生活を営む場合を指して用いられる[5](法律婚に対する事実婚)[2]

2020年現在、法律上の同性結婚が認められていない日本では、同性カップルがやむを得ず事実婚の状態になることがあり、地裁が同性カップルの事実婚を認めた例もある[12]

千葉県千葉市や神奈川県横浜市などのように、LGBTの人や事実婚の人など、同性・異性を問わず、互いを人生のパートナーとする二人が宣誓を行い、市がその宣誓を証明する、パートナーシップ宣誓制度のある自治体もある[13][14]

事実婚の選択理由・背景

事実婚を選択する理由としては、夫婦別姓の実践や家意識への抵抗、職業上の必要性などが挙げられる[5]。そのような事実婚夫婦の中には選択的夫婦別姓制度の早期導入を望む声もみられる[15]

善積京子による事実婚カップルの調査では、「婚姻届けを出さないでカップルで生活するようになった理由」として、女性で最も高かった理由は「夫婦別姓を通すため」、次いで「戸籍制度に反対」「プライベートなことで国に届ける必要がない」、一方男性では「戸籍制度に反対」が最も高く、次いで「夫婦別姓を通すため」「相手の非婚の生き方を尊重」であった[16][17]

事実婚の取り扱い

住民票の記載

法律婚ではないため戸籍の移動を伴わず、従前戸籍のままで姓も変わらない。住民基本台帳法には世帯主でない者には「世帯主との続柄」を記載するように規定しているため、「同居人」もしくは「夫(未届)」「妻(未届)」と記載されるが、各自治体に任されているのが現状である。
住民票続柄を「未届の妻(夫)」とすることで世帯(住居及び生計を共にする者の集まり[18])が同一となり、事実婚と同棲とをはっきり区別させることができるようになる。

このため、勤務先から家族手当を受けたり、生命保険の受取人になることができる(ただし勤務先の規定や保険会社の規定による)。なお、単身赴任等で世帯を同一にできない場合は、このような記載をすることはできない。
子どもは母親の姓で戸籍上「非嫡出子」となり、住民票の続柄には「子」と記載されるが、家庭裁判所の判断で父親の戸籍に入り父親の姓にすることもできる。

社会保険上の取り扱い

年金(国民年金厚生年金)や公的医療保険健康保険船員保険等)においては、事実婚である旨の申出があれば、要件に合致していれば扶養遺族年金の受給等において法律婚と同様に取り扱うものとされている。

次の要件を備える場合、事実婚関係にある者と認められる(平成23年3月23日年発0323第1号)。

  • 当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係を成立させようとする合意があること。
  • 当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在すること。

もっとも、上記の認定の要件を満たす場合であっても、原則として当該内縁関係が反倫理的な内縁関係である場合、すなわち、民法第734条(近親婚の制限)、第735条(直系姻族間の婚姻禁止)又は第736条(養親子関係者間の婚姻禁止)の規定のいずれかに違反することとなるような内縁関係にある者については、これを事実婚関係にある者とは認定しないものとする。

また、重婚的内縁関係については、婚姻の成立が届出により法律上の効力を生ずることとされていることからして、届出による婚姻関係を優先すべきことは当然であり、従って、届出による婚姻関係がその実体を全く失ったものとなっているときに限り、内縁関係にある者を事実婚関係にある者として認定するものとする。

事実婚における問題点

事実婚は、法的には婚姻に当たらないため、様々な問題も存在する[19][20][21][22][23][24][25]

まず、家族法上の観点では、子どもがいる場合はどちらかしか親権を持てない(共同親権が持てない)[19][20][23][26]、子を認知したとしても戸籍には子の立場として婚外子(非嫡出子)と記載される[20]、自分が死んだ際に相手に相続権がない(遺贈するための遺言を残す必要がある)[19][20][27]、しかも、法律婚における配偶者への遺産分割や遺贈の場合は税額の軽減があるが、事実婚の場合、特に相続財産が大きい場合には相続税の面で大きな経済的デメリットがある[25][28][29]、などの問題点がある。また、離婚の際の財産分与や慰謝料等の支払いで、法律婚ではかからない贈与税が発生する場合がある[25]。夫婦の一方が認知症などで判断能力が衰えた場合などに、成年後見を開始しようとしても、成年後見開始の申し立てをすることができない(そのような事態になる前に任意後見契約を結ぶ必要がある)[25]

日常生活上の不都合としては、「配偶者」との家族関係を証明しにくい。そのため、家族の手術署名ができない場合や、入院家族の病状説明を断られたり[21][30]、事故時などの保険金の請求は法律上の親族に限られ事実婚では難しく[25]生命保険の受取人や住宅ローン連帯保証人になりにくい[19][25][注 1]、法律婚では取得できる配偶者の戸籍抄本などを取り寄せることはできない[25]、などの問題がある。また、夫婦の一方が海外赴任等をする際に、事実婚では配偶者ビザや永住権が認められないことが多い[25][32]

さらに、法律婚の場合と比較して、上記の相続時等の不利益以外にもさまざまな経済的な不利益がある。具体的には、確定申告配偶者控除が受けられない[19][23][25]医療費控除の夫婦合算ができない[23][25]不妊助成が受けられない[21][23][33]などが挙げられる。またクレジットカードマイレージ携帯電話契約等の家族会員・家族割等の適用、海外旅行保険の家族セットの適用など、事実婚では難しい場合があったり[23][25]、勤め先からの家族手当等の支給がされない場合があったりする[23]。また他にも、仮に夫婦間問題が起こった場合も法律的には結婚していないので結婚していれば可能な損害賠償が認められない場合がある[20]、など様々な問題が挙げられる。

これらの問題を回避する方策として、事実婚ではなく結婚後旧姓通称使用することも考えられるが、その場合も様々な問題点がある(「旧姓の通称使用における問題点」も参照。)。さらに別の方策として、普段は婚姻状態をとるものの旧姓を通称として用い、必要に応じて離婚し旧姓に戻り、旧姓での証明書を得るなどの手続きを行った後再び婚姻する夫婦もみられる。このような目的で離婚・再婚を行うことをペーパー離再婚とよぶ[34]。逆に、普段は事実婚状態で、子供の出生時などにのみ婚姻状態をとる夫婦もみられる[35]。なお、これらの場合再婚相手が同じ人物であるため、民法第733条が定める女性の100日間の再婚禁止期間待婚期間)は適用されない。ペーパー離再婚における離婚期間は事実婚の状況となる。ただ、この場合、離婚期間中に得た証明書等を再婚中に用いることには法律的な問題が考えられる。

これらの問題のため、氏を変更しなくても法律婚をすることのできる選択的夫婦別姓制度を求める議論があるほか、事実婚に対するより厚い法的保護の必要性についての議論がある[19]

事実婚の法的保護に関する議論

届出を出すことのできないやむを得ない事情がある内縁の場合とは異なり、当事者間の主体的・意図的な選択によって婚姻届を出さない事実婚の法的保護のあり方、特に準婚的保護を認めるべきか否かについては学説の間に争いがある[36]。(ただし、事実婚に限らない内縁夫婦に対する一般的な法的保護に関しては、「内縁#内縁の効果」を参照。)

典型的には以下のようなライフスタイル論と婚姻保護論の対立が挙げられる[37][38]

ライフスタイル論
日本国憲法第13条幸福追求権)を根拠として、個人が婚姻という形態をとるか事実婚という形態をとるか選択するのは自由であり、国はこの自由を保障すべきであるとの考えから、経済上の不利益や道徳的な問題が残るとするならばこのような生活形態の選択は事実上不可能になるとし、通常の内縁と同様に生活保障を図っていく必要があるとみる学説[39]。このような見解に対しては、当事者双方が法的拘束力にとらわれない関係を選択しようとしている場合に、同居という事実をもって内縁保護の対象として法的拘束力が及ぶことになってしまい、当事者の本来の意図に反することになり問題であるとみる考え方もある[40]。また、この論理を徹底していくと婚姻の法的保護に届出を要件とすべきでない(事実婚主義をとるべき)ということに帰着するのではないかとの疑問を生ずるとする見解もある[41]
婚姻保護論
婚姻の法制度上の効果を望んでいない当事者に婚姻類似の効果を認めるべきでないとする学説。婚姻による法的効果を望むか否かは当事者間の自由な意思の下に選択すればよく、当事者がその意思で婚姻を望まず選択しなかった場合に婚姻制度上の定型的な保護を享受しえないのは当然であるとみる学説。

関連文献

  • 渡辺淳一『事実婚―新しい愛の形』集英社、2011年、ISBN 408720619X
  • 上野千鶴子『近代家族の成立と終焉』岩波書店、1994年3月、ISBN 4000027425
  • 太田武男、溜池良夫(編)『事実婚の比較法的研究』有斐閣、1986年5月、ISBN 464103625X
  • 大橋照枝『未婚化の社会学』日本放送協会、1993年6月、ISBN 4140016663
  • 婚差会(編)『非婚の親と婚外子 差別なき明日に向かって』青木書店、2004年5月、ISBN 4250204111
  • 榊原富士子『女性と戸籍:夫婦別姓時代に向けて』明石書店、1992年、ISBN 4750304743
  • 杉浦郁子『パートナーシップ・生活と制度 結婚、事実婚、同性婚(プロブレムQ&A)』緑風出版、2007年1月、ISBN 4846107019
  • なくそう戸籍と婚外子差別交流会(編)『なくそう 婚外子・女性への差別 「家」「嫁」「性別役割」をこえて』明石書店、2004年2月、ISBN 4750318566
  • 西川栄明、西川晴子(共著)『結婚の新しいかたち フレキシブル結婚の時代』(『宝島社新書』)、宝島社、2001年2月、ISBN 4796621008
  • 二宮周平『事実婚の現代的課題』日本評論社、1990年3月、ISBN 4535578575
  • 二宮周平『事実婚を考える もう一つの選択』日本評論社、1991年5月、ISBN 4535579423
  • 二宮周平『事実婚』(『叢書民法総合判例研究』)、一粒社、2002年2月、ISBN 4752702991
  • 善積京子『非婚を生きたい 婚外子の差別を問う』青木書店、1992年2月、ISBN 4250920062
  • 善積京子『〈近代家族〉を超える 非法律婚カップルの声』青木書店、1997年6月、ISBN 4250970248
  • 武石文子『事実婚歴20年の〈結婚・離婚カウンセラー行政書士〉が語る「事実婚」のホントのことがわかる本』すばる舎、2012年4月 電子書籍
  • 民法改正を考える会『よくわかる民法改正―選択的夫婦別姓&婚外子差別撤廃を求めて』朝陽会、2010年2月、ISBN 4903059324
  • 日本弁護士連合会編『今こそ変えよう!家族法―婚外子差別・選択的夫婦別姓を考える』日本加除出版、2011年

脚注

注釈

  1. ^ なお、生命保険の受取人や住宅ローンについては、会社によるものの、住民票における続柄に「妻(未届)」「夫(未届)」を記載する等、条件によっては可能となる場合がある[31][27]。ただし、単身赴任などで住民票を同一にできない場合にはこの方法を取ることもできない。

出典

  1. ^ a b c d e 青山道夫・有地亨編著 『新版 注釈民法〈21〉親族 1』 有斐閣〈有斐閣コンメンタール〉、1989年12月、183頁
  2. ^ a b c d e 大村敦志著 『家族法 第2版補訂版』 有斐閣〈有斐閣法律学叢書〉、2004年10月、241頁
  3. ^ 新村出編 『広辞苑 第6版』 岩波書店、1223頁
  4. ^ 内田貴著 『民法Ⅳ 補訂版 親族・相続』 東京大学出版会、2004年3月、141頁
  5. ^ a b c 二宮周平著 『家族法 第2版』 新世社〈新法学ライブラリ9〉、1999年4月、109頁
  6. ^ 内田貴著 『民法Ⅳ 補訂版 親族・相続』 東京大学出版会、2004年3月、144頁
  7. ^ 小野幸二著 『演習ノート 親族法・相続法 全訂版』 法学書院、2002年4月、89頁
  8. ^ 利谷信義著 『現代家族法学』 法律文化社〈NJ叢書〉、1999年7月
  9. ^ 大村敦志著 『家族法 第2版補訂版』 有斐閣〈有斐閣法律学叢書〉、2004年10月、228頁
  10. ^ 青山道夫・有地亨編著 『新版 注釈民法〈21〉親族 1』 有斐閣〈有斐閣コンメンタール〉、1989年12月、182-183頁
  11. ^ 青山道夫・有地亨編著 『新版 注釈民法〈21〉親族 1』 有斐閣〈有斐閣コンメンタール〉、1989年12月、260頁
  12. ^ 同性の「事実婚」に法的保護 宇都宮地裁支部判決” (日本語). 日本経済新聞 電子版. 2020年10月24日閲覧。
  13. ^ 千葉市. “千葉市パートナーシップ宣誓制度とは、どのような制度ですか。” (日本語). 千葉市:よくあるご質問(FAQ). 2020年10月24日閲覧。
  14. ^ 横浜市パートナーシップ宣誓制度” (日本語). www.city.yokohama.lg.jp. 2020年10月24日閲覧。
  15. ^ 民法改正を考える会『よくわかる民法改正―選択的夫婦別姓&婚外子差別撤廃を求めて』朝陽会、2010年
  16. ^ 善積京子「〈近代家族〉を超える」(1997年)
  17. ^ 結婚行動における新しい流れ、国民生活白書、平成17年、第1章補論1。
  18. ^ 用語の説明 - 平成26年 国民生活基礎調査の概況 (PDF)”. 厚生労働省. 2015年11月5日閲覧。
  19. ^ a b c d e f 「夫婦の姓、別じゃ変?」、朝日新聞デジタル、2015年4月8日
  20. ^ a b c d e 「夫婦別姓を選択すると子供への影響は? 事実婚の夫婦が語る、周囲の対応」、wotopi、2015年4月10日
  21. ^ a b c 「どうして家族になれないの 時代遅れの法律が妨げる多様な家族のかたち」、中塚久美子、上原賢子(著)、朝日新聞社。
  22. ^ 「どうなる 選択的夫婦別姓」(下)」、読売新聞、2008年3月22日
  23. ^ a b c d e f g 「(教えて!結婚と法律:2)旧姓使用や事実婚、困ることは?」朝日新聞、2015年11月26日。
  24. ^ 「家族と法(上)自分の名前で生きる道 夫婦別姓、事実婚広がる」、日本経済新聞、2015年12月10日朝刊。
  25. ^ a b c d e f g h i j k 武石文子『事実婚歴20年の〈結婚・離婚カウンセラー行政書士〉が語る「事実婚」のホントのことがわかる本』すばる舎、2012年4月
  26. ^ 「(私の視点)家族のあり方 親権問題にも論点広げて 古賀礼子」朝日新聞、2016年2月19日。
  27. ^ a b 「夫婦別姓で事実婚、法律婚と違う『お金』のこと」ZUU online、2016年1月7日
  28. ^ 「配偶者の税額の軽減」、国税庁
  29. ^ 「遺贈で財産を取得した場合の相続税はどうなる?」、AllAbout、2015年2月6日
  30. ^ 「時代に合わない法と価値観の壁」、AERA、2016年2月8日号、p.22-25。
  31. ^ 事実婚、消える法律婚との差?メリットの多さに関心高まる「妻(未届)」、Business Journal、2014年3月14日
  32. ^ 首相演説、謎の黒服に阻まれたプラカード、論座、2019年7月28日。
  33. ^ 不妊治療 事実婚の助成見送り「父子関係の検討必要」、毎日新聞、2018年1月18日。
  34. ^ 渡辺淳一『事実婚―新しい愛の形』、集英社、2011年
  35. ^ 親が夫婦別姓、子どもの本音を聞いてみた「困ることはない。以上」、withnews、2018年10月17日
  36. ^ 二宮周平著 『家族法 第2版』 新世社〈新法学ライブラリ9〉、1999年4月、109-110頁
  37. ^ 大村敦志著 『家族法 第2版補訂版』 有斐閣〈有斐閣法律学叢書〉、2004年10月、238-240頁
  38. ^ 松岡久和・中田邦博編著 『学習コンメンタール民法〈2〉親族・相続』 日本評論社、2009年9月、16頁
  39. ^ 二宮周平著 『家族法 第2版』 新世社〈新法学ライブラリ9〉、1999年4月、110頁
  40. ^ 前田陽一・本山敦・浦野由紀子著 『民法Ⅵ 親族・相続』 有斐閣〈LEGAL QUEST〉、2010年10月、106頁
  41. ^ 大村敦志著 『家族法 第2版補訂版』 有斐閣〈有斐閣法律学叢書〉、2004年10月、240頁

関連項目

遺族年金

遺族年金(いぞくねんきん)とは、国民年金法厚生年金保険法等に基づき、被保険者が死亡したときに、残された遺族に対して支給される日本の公的年金の総称である。本項では同法に定める遺族への一時金についても取り扱う。

遺族基礎年金

遺族基礎年金は、いわゆる「新法」の施行日(昭和61年(1986年4月1日)以後に受給権が発生した場合(死亡した場合)に支給される。施行日前の遺族年金のうち、母子福祉年金及び準母子福祉年金は、施行日以後に遺族基礎年金に切り替えられている。

支給要件

死亡した者の要件
  • 国民年金被保険者である者
  • 国民年金被保険者であった者で、日本国内に住所を有し、かつ60歳以上65歳未満である者
    • これらに該当するものにあっては、保険料納付要件として、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに被保険者期間があるときは、原則として、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が加入期間の3分の2以上でなければならない。なお、死亡日に65歳未満である場合は、2026年4月1日前に死亡した場合に限り、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの1年間(死亡日に被保険者でなかった者については、直近の被保険者期間に係る月までの1年間)に滞納期間がなければ、保険料納付要件を満たした者として扱う。
  • 老齢基礎年金の受給権者である者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限る)
  • 保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者
    • これらに該当するものについては、保険料納付要件は不要である。
支給を受ける者の要件

遺族基礎年金を受けることができるのは、死亡した者によって生計を維持されていた、「子のある配偶者」又は「」である。

「配偶者」[1]については、次の要件に該当する「子」(死亡した者の法律上の子のみで、配偶者の連れ子など事実上の子は含まない)と生計を同じくすること。「子のいない配偶者」には支給されない。配偶者の年齢は問わない。

「子」とは、死亡した者の死亡当時に18歳到達年度の末日(3月31日)までにあるか、又は20歳未満で障害等級1級または2級に該当する障害の状態にあり(受給権取得後に18歳の年度末までに障害の状態になった子を含む)、かつ現に婚姻をしていないこと。なお被保険者又は被保険者であった者の死亡当時に胎児であった者は、死亡した者によって生計を維持されていた者とみなし、配偶者はその胎児と生計を同じくしていた者とみなし、将来に向かって(胎児が出生したら)当該配偶者及び子に遺族基礎年金の受給権を発生させる扱いとなっている。

「生計を維持」とは、被保険者(であった者)の死亡当時に、その者と生計を同一にし、厚生労働大臣が定める金額(年収850万円以上)の収入が将来にわたって得られないと認められることである(平成23年3月23日年発0323第1号)。なお、受給権取得後に当該収入を有するに至っても失権することは無い。

民法の規定による失踪宣告があったときは、行方不明になってから7年を経過した日が死亡日とみなされるが(民法第31条)、生計維持関係等については行方不明になった日を死亡日として取り扱う。ただし受給権については失踪宣告が確定した日に発生する。また船舶航空機の事故のために3ヶ月間生死が不明であるときは、事故にあった日に死亡したものと推定されるが、この場合は事故にあった日に受給権が発生する。

父子家庭への拡大

平成26年3月31日までは、夫が死亡した場合の「子のある妻」のみが対象とされ、妻が死亡した場合の「子のある夫」は遺族基礎年金を受給できなかった(これは遺族基礎年金の制定趣旨が、働き盛りの男性が死亡したときに残された遺族(母子家庭)の生活を保障するためであったことによる)。平成26年4月1日より、「夫」「妻」の表記が「配偶者」に統一され、妻が死亡した場合の「子のある夫」にも支給範囲が拡大された。当初案では死亡者が第3号被保険者である場合は対象外とされていたが、最終的には死亡者が第3号被保険者であっても支給対象となった。なお平成26年3月31日までに配偶者が死亡している場合は、遡って支給対象とはならない。

年金額

年金額は死亡した者の保険料納付済期間等にかかわらず定額である。

子のある配偶者に支給される場合は、基本年金額(老齢基礎年金の満額と同額。平成29年度は779,300円)に、第1子・第2子は一人につき「224,700円×改定率」(100円未満四捨五入。平成29年度は224,300円)、第3子以降は一人につき「74,900円×改定率」(100円未満四捨五入。平成29年度は74,800円)を加算する。

子のみに支給される場合は、子が1人の場合は基本年金額のみが、子が2人以上の場合は、第2子は「224,700円×改定率」(100円未満四捨五入。平成29年度は224,300円)、第3子以降は一人につき「74,900円×改定率」(100円未満四捨五入。平成29年度は74,800円)を加算し、子の総数で頭割りする。

受給権者に変化が生じた場合は、その翌月から増額・減額の改定が行われる。配偶者が新たに子を有することになったときには増額改定が行われる。子が2人以上ある場合にあって、その子のうち1人以上が以下のいずれかに該当するに至ったときは、減額改定が行われる。子のすべてが減額改定事由に該当した場合は、「子のない配偶者」となるので配偶者の受給権は消滅する。

  • 死亡したとき
  • 婚姻をしたとき
  • 配偶者以外の者の養子となったとき
  • 離縁によって死亡した者の子でなくなったとき
  • 配偶者と生計を同じくしなくなったとき
  • 18歳の年度末が終了したとき。ただし障害等級1級・2級にあるときを除く
  • 障害等級1級・2級にある子について、その事情がやんだとき。ただし18歳の年度末までにあるときを除く
  • 20歳に達したとき

支給停止

「配偶者や子」に対する遺族基礎年金は、被保険者の死亡について、労働基準法の規定による遺族補償が行われるときは、死亡日から6年間、その支給が停止される。なお、労災保険の遺族(補償)年金が支給される場合は、遺族基礎年金は全額支給され、調整は労災保険の側で行う。具体的には、遺族基礎年金のみの受給の場合、遺族(補償)年金は88%に減じられる。

「配偶者や子」の所在が1年以上明らかでないときは、その所在が明らかでなくなったときにさかのぼって支給停止される。なお、所在不明によって支給停止された配偶者や子は、いつでも、支給停止の解除を申請することができる。

「子」に対する遺族基礎年金は、生計を同じくするその子の父もしくは母があるときには、支給停止される。したがって、「子のある配偶者」に支給される遺族基礎年金は、子の加算額も含めて全額が配偶者に支給されることになる。なお、配偶者が他の年金たる給付を受けることにより遺族基礎年金の全額が支給停止となるときでも、子に対する遺族基礎年金の支給は停止されるが、配偶者からの申出により配偶者の遺族基礎年金の全額が支給停止とされたときは子の遺族基礎年金は支給される。

年金一般の給付制限のほか、被保険者(であった者)を故意に死亡させた者には、遺族基礎年金は支給しない。被保険者(であった者)の死亡前に他の受給権者となるべき者を故意に死亡させた者にも、遺族基礎年金は支給しない。なお、自殺によって死亡した場合は支給制限は行われない(後述する寡婦年金、死亡一時金、遺族厚生年金においても同様)。

寡婦年金

寡婦年金は、第1号被保険者として老齢基礎年金の受給資格期間を満たした夫が老齢基礎年金の支給を受けずに死亡した場合において、妻が60歳に達した日の属する月の翌月(夫の死亡時すでに妻が60歳以上の場合は夫の死亡日の属する月の翌月)から65歳に達する日の属する月まで支給される[2]。保険料の掛け捨て防止と老齢寡婦の保護の意味合いがある(夫が長期間第1号被保険者であったならば、妻の遺族厚生年金は支給されないか極めて低額であり、60歳(一般的な企業の定年年齢)から65歳(老齢基礎年金の支給開始年齢)までの所得保障をする必要がある)。

支給要件

死亡した夫の側の要件として、

  • 国民年金の第1号被保険者(任意加入被保険者、旧法の国民年金被保険者を含み、第2号被保険者、特例任意加入被保険者期間は含まない)としての保険料納付済期間・保険料免除期間(学生納付特例・若年者納付猶予期間を除く)とを合算して、死亡日の属する月の前月までに10年以上あること
  • 障害基礎年金の受給権者であったことがない(裁定を受けていない)こと(実際に障害基礎年金を受けたことがなくても、裁定を受けていれば寡婦年金は支給されない)、なお旧法の障害福祉給付はここでいう障害基礎年金に含まない。
  • 老齢基礎年金の支給を受けていないこと

妻の側の要件として

  • 夫の死亡当時、夫によって生計を維持され、夫との婚姻期間が10年以上継続したこと
  • 65歳未満であること(年齢の下限は問わない)
  • 繰上げ支給の老齢基礎年金を受給していないこと

年金額・支給の調整

寡婦年金の額は、夫の死亡日の前日における、老齢基礎年金額(第1号被保険者期間に係る額)の計算の例によって算出した額の4分の3に相当する額になる。なお、死亡した夫が付加保険料を納めていたとしても、寡婦年金への加算は行われない。

夫の死亡により寡婦年金と死亡一時金の双方の受給権を満たす場合、妻の選択によりどちらか一方のみが支給される。なお、寡婦年金と遺族厚生年金は併給することはできないが、夫の死亡についてすでに遺族基礎年金を受給していたとしても、要件を満たしたときは寡婦年金を受給できる。

  • 寡婦年金と死亡一時金のどちらを選択すべきかは個々の事情による。一般的には年金である寡婦年金のほうが一時金である死亡一時金よりも受給額が多くなるが、寡婦年金の受給期間が短い場合(妻が65歳近くになってから夫が死亡した場合等)やある程度の遺族厚生年金(300月みなし期間や中高齢寡婦加算を含む)が見込める場合、老齢基礎年金の繰り上げ受給を行う場合等には死亡一時金のほうが有利となるケースもある。

夫の死亡について、労働基準法の規定による遺族補償が行われるべきものであるときは、死亡日から6年間、その支給が停止される。なお、労災保険の遺族(補償)年金が支給される場合は、寡婦年金は全額支給され、調整は労災保険の側で行う。具体的には、寡婦年金のみの受給の場合、遺族(補償)年金は88%に減じられる。

死亡一時金

死亡一時金は、第1号被保険者として36月以上保険料を納付した者が、老齢基礎年金又は障害基礎年金の支給を受けずに死亡し、かつ遺族基礎年金も支給されない場合に、対象となる遺族に一時金を支給する。保険料の掛け捨てを防止する意味合いがある。

支給要件

死亡した者の要件として、

  • 死亡日の前日において、死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者(任意加入被保険者、特例任意加入被保険者、旧法の国民年金被保険者を含む)期間に係る保険料納付済期間(保険料免除期間は、納付した残余の額に相当する月数で計算)の月数が36月以上あること
  • 老齢基礎年金又は障害基礎年金の支給を受けたことがないこと(母子福祉年金または準母子福祉年金から裁定替えされた遺族基礎年金を含む)

支給される遺族の要件として、

  • 死亡した者の死亡当時に、その者と生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹であること
    • 「生計維持関係」までは問われないので、死亡者と生計を同一にしていればよい。
    • 優先順位はこの順となる。同順位の者が2人以上あるときは、その1人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その1人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。
  • 遺族基礎年金の支給を受けることができる遺族がないこと(同一月に受給権消滅・支給停止となった場合を含む)
    • したがって、遺族基礎年金と死亡一時金が併給されることは、ありえない。また死亡者の死亡日において胎児だった者がその後出生し、配偶者とともに遺族基礎年金を受けることができる場合には、死亡一時金は支給されない。
    • 遺族厚生年金はこれに含まれないので、遺族厚生年金と死亡一時金は併給することができる。
    • 上記、平成26年改正前の遺族基礎年金における父子家庭の事例では、夫には遺族基礎年金は支給されないが、妻が要件を満たした場合には夫に死亡一時金が支給されることとなっていた。

一時金額

死亡した者の保険料納付済期間に相当する月数に応じて、以下の金額が支給される。

  • 36月以上180月未満 - 120,000円
  • 180月以上240月未満 - 145,000円
  • 240月以上300月未満 - 170,000円
  • 300月以上360月未満 - 220,000円
  • 360月以上420月未満 - 270,000円
  • 420月以上 - 320,000円

死亡者が付加保険料を3年以上納付していた場合、死亡一時金に8,500円を加算する。なお現行の年金各法による他の給付と異なり、死亡一時金はマクロ経済スライドによる自動改定の対象とされていないため、法改正が行われない限り、物価賃金の水準が大幅に変動しても死亡一時金の額は変更されない。

遺族厚生年金

支給要件

被保険者又は被保険者であった者が、以下の短期要件又は長期要件のいずれかに該当する場合に、対象となる遺族に支給される。平成27年10月の被用者年金一元化以後は、短期要件の場合は死亡日における被保険者種別に応じてそれに対応する実施機関が支給に関する事務を行い、長期要件の場合は支給に関する事務は種別ごとにそれぞれの実施機関が行う。

短期要件
  • 厚生年金被保険者が死亡したとき(被保険者期間の月数は問わない
  • 厚生年金被保険者であった者が被保険者期間中の傷病がもとで初診日から5年以内に死亡したとき
    • これらの場合は遺族基礎年金と同様、保険料納付要件として、死亡した者について、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要である。さらに65歳未満の者の2026年4月1日前までの経過措置も同様(坑内員船員としての被保険者期間は、老齢厚生年金とは異なり、実期間で計算する)。通常、厚生年金被保険者であった期間はそのまま国民年金の保険料納付済期間となるが、就職前、退職後に長期の未納期間があると保険料納付要件を満たせない可能性がある。また死亡者が高齢任意加入被保険者である場合、すでに70歳以上であるため経過措置は適用されない。
  • 1級・2級の障害厚生年金の受給権者が死亡したとき(3級は対象外)。
    • この場合は保険料納付要件は不要である。
長期要件
  • 老齢厚生年金の受給資格期間を満たした者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上あるものに限る)が死亡したとき(保険料納付要件は不要である)。

対象者

遺族厚生年金を受給する遺族は、被保険者(であった者)の死亡の当時にその者によって生計を維持されていた者であって、その範囲と順位は次のとおりである。後順位の者は、先順位の者が受給権を取得したときは遺族厚生年金の受給権者となる資格を失う。「生計を維持」は遺族基礎年金と同じである。共済年金で行われてきたいわゆる「転給」は、被用者年金一元化により行われなくなった。

  1. 配偶者と子
    妻は年齢等の要件を問わず、「子のいない妻」でもよい。ただし、妻が遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって子が当該遺族基礎年金の受給権を有するときは、その間、その支給が停止される(子が所在不明により支給停止されている場合はこの限りでない)。
    夫については、妻の死亡当時に55歳以上であること(死亡日が平成8年4月1日前で、かつ死亡当時夫が障害等級2級以上であれば、年齢要件は不問[3]。また、死亡日が平成19年4月1日前で死亡者が旧適用法人共済組合員期間を有する退職共済年金等の受給権者であり、かつ死亡当時夫が障害等級2級以上であれば、年齢要件は不問)。ただし、夫が60歳になるまではその支給が停止される(夫が遺族基礎年金の受給権を有するときはこの限りでない)。また、子が遺族厚生年金の受給権を有する期間は、その支給が停止される(子が所在不明により支給停止されている場合はこの限りでない)。
    子については、18歳到達年度の末日(3月31日)までにあるか、又は20歳未満で障害等級1級または2級に該当する障害の状態にあり、かつ現に婚姻をしていないこと。胎児の扱いについては遺族基礎年金と同様である。なお、妻が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給が停止される。
  2. 父母
    被保険者(であった者)の死亡の当時に55歳以上であること(死亡日が平成8年(1996年)4月1日前で、かつ死亡当時父母が障害等級2級以上であれば、年齢要件は不問[3]。また、死亡日が平成19年4月1日前で死亡者が旧適用法人共済組合員期間を有する退職共済年金等の受給権者であり、かつ死亡当時父母が障害等級2級以上であれば、年齢要件は不問)。ただし、父母が60歳になるまではその支給が停止される。
  3. 18歳到達年度の末日(3月31日)までにあるか、又は20歳未満で障害等級1級または2級に該当する障害の状態にあり、かつ現に婚姻をしていないこと。
  4. 祖父母
    被保険者(であった者)の死亡の当時に55歳以上であること(死亡日が平成8年(1996年)4月1日前で、かつ死亡当時祖父母が障害等級2級以上であれば、年齢要件は不問[3]。また、死亡日が平成19年4月1日前で死亡者が旧適用法人共済組合員期間を有する退職共済年金等の受給権者であり、かつ死亡当時祖父母が障害等級2級以上であれば、年齢要件は不問)。ただし、祖父母が60歳になるまではその支給が停止される。

年金額

遺族厚生年金の額は、以下の算式で求める。

  • 「死亡した被保険者の報酬比例部分の年金額×3/4+加算」

報酬比例の年金額

老齢厚生年金の報酬比例部分と同様の計算方法である。従前額保障の場合も同様である。詳細は老齢年金#報酬比例部分を参照。

  • 20歳未満の被保険者期間であっても算入する。
  • 短期要件を満たして受給する場合は、被保険者期間が300月(25年)未満のときは、300月とみなして計算する(最低保障)。給付乗率は生年月日にかかわらず一律となる(乗率の引き上げはない)。
  • 長期要件を満たして受給する場合は、被保険者期間は最低保障を行わず、実期間で計算する。給付乗率は生年月日による読み替え(乗率の引き上げ)を行う。
  • 短期要件と長期要件の両方を満たす場合、特段の申出がなければ短期要件で計算する。

加算

夫が死亡したときに、40歳以上の子のない妻には、受給権取得時から妻が65歳に達するまで、妻が40歳時点で遺族基礎年金の対象となる子があるときには、40歳以降で子が18歳に達する等で遺族基礎年金を受給できなくなったときから65歳まで、生年月日等にかかわらず一律「遺族基礎年金の額×3/4(100円未満四捨五入)」を加算する(中高齢寡婦加算、平成29年度は584,500円)。

  • 中高齢寡婦加算は、「子のない妻」(遺族基礎年金の支給を受けられない者)に対して生活を保障する目的で加算される。なお妻が厚生年金被保険者であっても支給される。
  • 死亡した夫が老齢厚生年金の受給資格期間を満たしている(長期要件に該当する)場合、計算の基礎となる被保険者期間が240月(20年)未満の場合は加算しない。「240月」をみる場合、その者の2以上の被保険者種別に係る被保険者であった期間に係る被保険者期間を合算し、一の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして判断する。なお短期要件に該当する場合は、夫の被保険者期間にかかわらず加算する
  • 夫の死亡当時、40歳未満の妻で子がいない場合、妻が40歳に達しても中高齢寡婦加算は加算しない。
  • 長期要件で複数の遺族厚生年金が支給される場合、各号の厚生年金被保険者期間のうち最も長い一の期間に基づく遺族厚生年金に加算する。

昭和31年(1956年)4月1日以前に生まれた妻で、夫が240月以上の老齢厚生年金の受給権者であった場合は、夫の死亡時に妻が65歳以上であったか、あるいは中高齢寡婦加算の対象者が65歳に達したときは、(中高齢寡婦加算額-老齢基礎年金の満額×妻の生年月日による率)を加算する(経過的寡婦加算、平成29年度は妻の生年月日により584,500円~19,507円)。

  • これらの妻は、新法施行時にすでに30歳以上であり、旧法時代に任意加入していなかった場合等には、妻自身の老齢基礎年金の額が中高齢寡婦加算額にも満たないケースが生じることから、65歳以降における年金額の低下を防ぐために経過的寡婦加算は行われるのである。
  • 経過的寡婦加算は、受給権者である妻が障害基礎年金(その支給が停止されている場合を除く)又は夫の死亡についての遺族基礎年金の支給を受けることができるときは、その間、支給が停止される。

「子と生計を同じくしている配偶者」または「子」が遺族基礎年金の受給権を取得しない場合、遺族基礎年金及び子の加算額に相当する額を加算する。

支給停止・年金の調整

遺族厚生年金は、被保険者(であった者)の死亡について、労働基準法の規定による遺族補償が行われるときは、死亡日から6年間、その支給が停止される。なお、労災保険の遺族(補償)年金が支給される場合は、遺族厚生年金は全額支給され、調整は労災保険の側で行う。具体的には、遺族厚生年金のみの受給の場合、遺族(補償)年金は84%に、遺族基礎年金と遺族厚生年金とを併給する場合、遺族(補償)年金は80%に、それぞれ減じられる。

配偶者又は子の所在が1年以上明らかでないときは、子又は配偶者の申請によってその所在が明らかでなくなったときにさかのぼって支給停止される。また、配偶者以外の者に対する受給権者が2人以上いる場合において、1人以上の者の所在が1年以上明らかでないときは、他の受給権者の申請によってその所在が明らかでなくなったときにさかのぼって支給停止される。なお、所在不明によって支給停止された者は、いつでも、支給停止の解除を申請することができる。2以上の被保険者種別に係る被保険者であった期間に基づく遺族厚生年金を受けることができる場合には、一の期間に基づく遺族厚生年金についての所在不明による支給停止の申請は、当該一の期間に基づく遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく他の期間に基づく遺族厚生年金についての当該申請と同時に行わなければならない。

配偶者に対する遺族厚生年金は、当該被保険者(であった者)の死亡について、配偶者が遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって子が当該遺族基礎年金の受給権を有するときは、その間、その支給が停止される。ただし子に対する遺族厚生年金が、子の所在不明によって支給停止されている間は、この限りでない。なお配偶者に対する遺族厚生年金がその申出によって支給停止となった場合、平成27年10月以後は子に対する支給停止は解除されないこととなった(遺族基礎年金とは取り扱いが異なることになる)。

遺族厚生年金の受給対象者が、自分の老齢厚生年金[4]の受給もできる場合(65歳以上の配偶者の場合)、老齢厚生年金が全額支給され、遺族厚生年金は老齢厚生年金相当額が支給停止となる。ただし、老齢厚生年金の額が、遺族厚生年金の額、あるいは「遺族厚生年金×2/3+老齢厚生年金×1/2」の額よりも低額となる場合は、差額を遺族厚生年金として受給できる。老齢基礎年金・老齢厚生年金は課税対象だが遺族厚生年金は非課税なので、実際には税引き後の手取り額で受け取るパターンを選択することになる。なお、旧法による老齢年金の受給権者(65歳以上)が遺族厚生年金を受給する場合、老齢年金の1/2が支給停止される。

平成27年9月までは、一人一年金の原則により、遺族厚生年金が短期要件の場合、遺族共済年金との併給はできず選択受給とされた。遺族厚生年金が長期要件の場合、遺族共済年金も長期要件であれば併給できるが、遺族共済年金が短期要件である場合は遺族共済年金が支給され、遺族厚生年金は支給されないこととされた。平成27年10月からは、2以上の被保険者種別であった期間を有する者の遺族厚生年金の額は、短期要件の場合は被保険者期間を合算し、一の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして額の計算を行う。長期要件の場合は各種別の被保険者期間ごとに支給するものとし、そのそれぞれの額は、被保険者期間を合算し、一の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして額の計算を行ったのち、各期間を計算の基礎として計算した額に按分する。

特例遺族年金

厚生年金の被保険者期間が1年以上あり、老齢厚生年金の受給資格期間を満たしていない者で、被保険者期間と旧共済組合員期間とを合算した期間が20年以上ある者が死亡した場合、その者の遺族が遺族厚生年金の受給権を取得しないときは、その遺族に対して特例遺族年金が支給される。年金額は特別支給の老齢厚生年金の100分の50に相当する額となる。なお特例遺族年金は、原則として長期要件に該当する遺族厚生年金とみなされる。

失権

遺族基礎年金・寡婦年金・遺族厚生年金の受給権は、受給権者が次のいずれかに該当するに至ったときは、消滅する。一度消滅した受給権は復活することは無い

  • 死亡したとき
  • 婚姻をしたとき
    • 遺族基礎年金の受給権を有する配偶者が再婚したからといって子まで失権するわけではないが(子が再婚相手の養子になっても「直系姻族の養子」となるので、失権しない)、通常は実父母(前配偶者)が「生計を同じくするその子の父もしくは母」に該当するので、結局遺族基礎年金は支給されない(遺族厚生年金は支給される)。
  • 直系血族又は直系姻族以外の者の養子となったとき
  • 離縁により死亡した者のとの親族関係が終了したとき
    • 受給権者たる配偶者が、実家に復籍し姓名を旧に戻しただけでは「離縁」とはならないので、失権しない。
  • 子・孫について18歳の年度末が終了したとき。ただし障害等級1級・2級にあるときを除く
  • 障害等級1級・2級にある子・孫について、その事情がやんだとき。ただし18歳の年度末までにあるときを除く
  • 子・孫について、20歳に達したとき
  • 遺族基礎年金の受給権を有する配偶者で、子のすべてが減額改定事由のいずれかに該当したとき(遺族基礎年金のみ)
    • 子のすべてが直系血族又は直系姻族の養子となった場合、子は失権しないが、子のすべてが減額改定事由に該当するため、配偶者は失権する。
  • 平成19年(2007年)4月1日以降に遺族厚生年金の受給権が発生した場合において、30歳未満の妻が遺族基礎年金の受給権を取得しない場合において、遺族厚生年金の受給権を取得した日から起算して5年を経過したとき(遺族厚生年金のみ)
  • 平成19年(2007年)4月1日以降に遺族厚生年金の受給権が発生した場合において、遺族基礎年金の受給権を有する妻が30歳に到達する日までにその受給権が消滅した場合において、その消滅した日から起算して5年を経過したとき(遺族厚生年金のみ)
  • 遺族厚生年金の受給権を有する父母・孫・祖父母で、被保険者(であった者)の死亡当時胎児であった者が出生したとき(遺族厚生年金のみ)
  • 寡婦年金の受給権者を有する妻が、65歳に達したとき(寡婦年金のみ)
  • 寡婦年金の受給権者を有する妻が、老齢基礎年金の支給繰上げを請求したとき(寡婦年金のみ)

脚注

  1. ^ 国民年金法第5条7項、厚生年金保険法第3条2項により、本記事での「配偶者」「夫」「妻」には事実婚状態にある者を含むものとする。なお「事実婚」の認定については、「当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係を成立させようとする合意があること」「当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在すること」を要件とするが、当該内縁関係が反倫理的な内縁関係である場合(一定の場合の近親婚)については、これを事実婚関係にある者とは認定しない。重婚的内縁関係については、届出による婚姻関係を優先すべきことは当然であり、従って、届出による婚姻関係がその実体を全く失ったものとなっているときに限り、内縁関係にある者を事実婚関係にある者として認定するものとする(平成23年3月23日年発0323第1号)。
  2. ^ 寡婦年金の支給は60歳に達した日の属する月の翌月から始まることとされているが、寡婦年金の受給権は夫が死亡した日に生ずるので、夫が死亡した際妻が60歳未満である場合でも、すみやかに寡婦年金の裁定請求を行なうよう行政指導が行われている(昭和46年4月30日庁保険発第8号)。
  3. ^ a b c 旧法時代では障害等級2級以上であれば年齢要件は不問とされていたが、新法施行時に障害要件が廃止され、その代わり10年間の時限措置として特例が設けられた。ただしこれにより55歳未満で受給権を得た場合、障害の状態に該当しなくなると遺族厚生年金の受給権は消滅する。
  4. ^ 在職老齢年金の対象となる場合、支給停止が行われないとした場合の老齢厚生年金額で計算する。

関連項目

外部リンク


 

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