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💴|パートタイム主婦の収入の「壁」は、これからどう変わる? その2


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パートタイム主婦の収入の「壁」は、これからどう変わる? その2

 
内容をざっくり書くと
また、65歳以上になったら、老齢厚生年金を受け取れるだけでなく、事故や病気で障害を負った場合に障害厚生年金ももらうことができます。
 

社会保険の適用拡大とは? 「106万円の壁」の内容が変わる?2020年5月に成立した年金制度改正法に… →このまま続きを読む

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老齢年金

老齢年金(ろうれいねんきん)とは、所定の年齢に達することにより支給される年金のことである。日本の公的年金においては、国民年金法における「老齢基礎年金」と厚生年金保険法における「老齢厚生年金」がある。私的年金では生命保険養老保険が該当する。以下では日本の公的年金における老齢年金について述べる。

日本の年金制度
(2017年/平成29年3月末現在)[1]
国民年金(第1階)
第1号被保険者1,575万人
第2号被保険者4,266万人
第3号被保険者889万人
被用者年金(第2階)
厚生年金保険4,267万人
公務員等[2](426万人)
その他の任意年金
国民年金基金 / 確定拠出年金(401k)
/ 確定給付年金 / 厚生年金基金

老齢基礎年金

老齢基礎年金(ろうれいきそねんきん)とは、国民年金法(1986年昭和61年)4月1日施行のいわゆる「新法」)の規定により、国民年金に加入し、要件を満たした者が所定の年齢になってから受給する(給付される)年金のことである。一般的に「老齢年金」と呼ばれるものは正式には「老齢基礎年金」を指すことが多い。また旧法の規定や生年月日により、新法下でも旧法との調整が行われる。

以下の者は旧法の老齢年金の対象となるので、新法の老齢基礎年金は支給されない。

  • 1926年大正15年)4月1日以前に生まれた者
  • 新法施行前に、旧厚生年金保険・旧船員保険の老齢年金の受給権が発生した者
  • 新法施行前に、共済組合の退職年金または減額退職年金の受給権が発生した者で、1931年(昭和6年)4月1日以前に生まれた者

個々の現在または将来の受給額については、最寄の「年金事務所」、および「年金相談センター」への個別照会、郵送照会、「ねんきんダイヤル」への電話相談などを行うことで知ることができる。また「ねんきん特別便」の発送終了を受けて2009年(平成21年)度から始まった「ねんきん定期便」にも将来の受給見込額が記載されている。受給は数十年先の事であったとしても、納付段階から理解し、かつ受給段階において漏らさず受給出来るか注視すべきである。

支給要件

老齢基礎年金は、次のすべての要件を満たした場合に支給される。

  • 65歳に達していること
  • 保険料納付済期間または保険料免除期間(学生の保険料の納付特例及び保険料納付猶予制度の規定によるものを除く)を有していること
  • 受給資格期間(保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間を合計して10年以上)を満たしていること

法改正により、2017年(平成29年)8月1日より、受給資格期間の要件は「25年以上」から「10年以上」に短縮された。改正前に無年金者であった者でも改正後の要件を満たす場合は、施行日以降に受給することができる。なお、改正前の「25年以上」の要件は、特例により「15〜24年」に短縮されることがある。老齢基礎年金の受給資格期間の要件が「10年以上」とされる現在においても、遺族基礎年金の支給要件として「老齢基礎年金の受給権者である者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限る)」との要件があり、特例が適用される余地が残っている。

  • 公的年金制度加入期間の特例(生年月日が以下の場合、期間が短縮される(旧法規定による特例措置))。新法制定時にすでに31歳以上であり、「25年以上」の要件を満たすことが困難とされる者たちとされる。
    • 1926年(大正15年)4月2日1927年(昭和2年)4月1日:21年
    • 1927年(昭和2年)4月2日〜1928年(昭和3年)4月1日:22年
    • 1928年(昭和3年)4月2日〜1929年(昭和4年)4月1日:23年
    • 1929年(昭和4年)4月2日〜1930年(昭和5年)4月1日:24年
  • 被用者年金制度加入期間の特例(以下の生年月日の者は、厚生年金・共済組合等の期間(厚生年金第1〜4号被保険者期間)を合算し、以下の期間以上である場合は期間要件を満たしたものとみなされる)。旧法の被用者年金制度では期間要件が「20年以上」とされていたため、新法制定にあたっての経過的措置である。
    • 1952年(昭和27年)4月1日以前:20年
    • 1952年(昭和27年)4月2日〜1953年(昭和28年)4月1日:21年
    • 1953年(昭和28年)4月2日〜1954年(昭和29年)4月1日:22年
    • 1954年(昭和29年)4月2日〜1955年(昭和30年)4月1日:23年
    • 1955年(昭和30年)4月2日〜1956年(昭和31年)4月1日:24年
  • 厚生年金の中高齢者の特例(以下の生年月日の者は、厚生年金第1号被保険者期間(男子は40歳、女子・第3種被保険者・船員任意継続被保険者は35歳に達した月以降の期間に限る)が、以下の期間以上である場合は期間要件を満たしたものとみなされる。ただし以下の期間のうち、7年6か月(坑内員・船員は10年)以上は、第4種被保険者又は船員任意継続被保険者以外の期間でなければならない)。旧法の厚生年金では、40 (35) 歳以降の被保険者期間が「15年以上」あれば期間要件を満たしたものと扱われていたため、新法制定にあたっての経過的措置である。
    • 1947年(昭和22年)4月1日以前:15年
    • 1947年(昭和22年)4月2日〜1948年(昭和23年)4月1日:16年
    • 1948年(昭和23年)4月2日〜1949年(昭和24年)4月1日:17年
    • 1949年(昭和24年)4月2日〜1950年(昭和25年)4月1日:18年
    • 1950年(昭和25年)4月2日〜1951年(昭和26年)4月1日:19年

保険料納付済期間

被用者年金制度に加入していた期間については、次の期間が保険料納付済期間となる。

  • 第2号被保険者であった期間(20歳未満の期間及び60歳以上の期間に係るものを除く)
  • 1961年(昭和36年)4月1日1986年(昭和61年)3月31日までの厚生年金・船員保険の被保険者又は共済組合の組合員等であった期間(20歳未満の期間及び60歳以上の期間に係るものを除く)

被用者年金制度に加入していなかった期間については、次の期間が保険料納付済期間となる。

  • 第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)であった期間のうち保険料を全額納付した期間
  • 第3号被保険者であった期間
  • 1961年(昭和36年)4月1日〜1986年(昭和61年)3月31日までの国民年金の被保険者(任意加入被保険者を含む)であった期間のうち保険料を全額納付した期間

要約すると、第1号被保険者については、第1号被保険者であった期間のうちの保険料を全額納付した期間が該当し、第2号被保険者、第3号被保険者については、被保険者本人の保険料納付義務がないので、第2号被保険者、第3号被保険者であった期間が原則としてそのまま保険料納付済期間となる。

第3号被保険者となったことの届出が遅れた場合、当該届出が行われた日の属する月の前々月までの2年間のうちにあるものを除き、保険料を滞納した期間として扱われる。ただし、2005年平成17年)4月1日前の第3号被保険者の未届期間については、届出をすることにより、当該届出が行われた日以後、当該届出に係る期間を保険料納付済期間に算入することができる。平成17年(2005年)4月1日以後の第3号被保険者の未届期間については、届出が遅れたことについてやむを得ない理由があると認められるときは、届出をすることにより、当該届出が行われた日以後、当該届出に係る期間を保険料納付済期間に算入することができる。また、第3号被保険者期間として保険料納付済期間とされた期間の一部について、第3号被保険者以外の被保険者期間が新たに判明した場合や、配偶者の制度移動があった場合において年金記録の訂正が行われた場合は、引き続く第3号被保険者期間については保険料納付済期間として扱う。

いっぽう第3号被保険者から第1号被保険者への変更の届出が遅れた場合(夫が脱サラした・夫が定年退職した・妻の収入が増えて夫の扶養から外れた・夫からの暴力を受け、妻が夫の収入によって生計を維持しなくなった等の、その当時60歳未満の妻など)、3号不整合対応法が2013年(平成25年)7月に成立した。同法により、不整合期間として第3号被保険者とされる期間は合算対象期間となる。この場合、2015年(平成27年)4月から3年間に限り、過去10年分(60歳以上の人は一律50〜60歳の分)の不整合期間の保険料(特定保険料)を追納することができる。また、2015年(平成27年)4月より前でも、不整合期間を未納期間として通常の後納制度で保険料を納付することもできる。

保険料免除期間

全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除の4種類あり、全額免除は免除であった期間が、全額免除以外は残余の金額を納付した期間が該当する。また、免除された保険料を追納した場合、保険料納付済期間となる。なお全額免除以外で残余の金額を納付しなかった場合、未納として扱われる

合算対象期間

年金受給権を発生させるためのカラ期間のことである。「10年以上」の要件を満たすために算入される。

被用者年金制度に加入していた期間については、次の期間が合算対象期間となる。

  • 第2号被保険者であった期間のうち、20歳未満及び60歳以上の期間(保険料納付済期間とされないのみであって、被保険者期間とされないのではない)
  • 1986年(昭和61年)3月31日までに厚生年金又は船員保険の脱退手当金の計算の基礎となった期間
  • 1986年(昭和61年)3月31日までの加入期間のうち、共済組合の組合員等であった期間のうち、共済組合が支給する退職年金または減額退職年金の額の計算の基礎となった期間(1931年(昭和6年)4月2日以後に生まれた者に限る)
  • 共済組合が支給した退職一時金で政令で定めるものの計算の基礎となった期間
  • 通算対象期間(1961年(昭和36年)4月前の被用者年金制度加入期間のうち所定の要件を満たすもの)のうち、1961年(昭和36年)4月1日前の期間に係るもの
  • 1961年(昭和36年)4月1日〜1986年(昭和61年)3月31日までの間に通算対象期間を有しない者が1986年(昭和61年)4月1日以後の保険料納付済期間又は保険料免除期間を有するに至った場合におけるその者の厚生年金・船員保険の被保険者のうち、1961年(昭和36年)4月1日前の期間に係るもの

被用者年金制度に加入していなかった期間については、次の期間(すべて20歳以上60歳未満の期間に限る)が合算対象期間となる。「任意加入しなかった期間」には、任意加入しながら保険料を納付しなかった期間も含む。

  • 被用者老齢年金の受給権者であったために国民年金の適用を除外されていた者が国民年金に任意加入しなかった期間
  • 日本国内に住所を有しなかったために国民年金の適用を除外されていた日本国籍を有する者が国民年金に任意加入しなかった期間
  • 1961年(昭和36年)4月1日〜1991年(平成3年)3月31日までの間に昼間学生であった期間のうち国民年金に任意加入しなかった期間
  • 1961年(昭和36年)4月1日〜1986年(昭和61年)3月31日までの期間のうち、被用者障害年金又は被用者遺族年金の受給権者であったために、国民年金の適用を除外されていた者が、国民年金に任意加入しなかった期間
  • 1961年(昭和36年)4月1日〜1986年(昭和61年)3月31日までの期間のうち、被用者老齢年金又は被用者障害年金の受給権者の配偶者又は被用者の配偶者であったために、国民年金の適用を除外されていた者が、国民年金に任意加入しなかった期間
  • 1961年(昭和36年)4月1日〜1986年(昭和61年)3月31日までの期間のうち、国会議員又はその配偶者であったために、国民年金の適用を除外されていた者が、国民年金に任意加入しなかった期間
  • 1961年(昭和36年)4月1日〜1986年(昭和61年)3月31日までの期間のうち、地方議会議員又はその配偶者であったために、国民年金の適用を除外されていた者が、国民年金に任意加入しなかった期間
  • 旧法の規定により、都道府県知事の承認に基づき任意脱退した期間

1961年(昭和36年)5月1日以後、20歳以上65歳未満の間に日本国籍を取得した者・永住許可を受けた者については、以下の期間(20歳以上60歳未満の期間に限り、被用者年金制度に加入していた期間を除く)が合算対象期間となる。

  • 日本国内に住所を有していた期間のうち、外国人の強制適用除外期間(1961年(昭和36年)4月1日〜1981年(昭和56年)12月31日)であった期間
  • 日本国内に住所を有していなかった期間のうち、日本国籍を取得した日・永住許可を受けた日の前日までの期間

なお、合算対象期間のみで「10年以上」の要件を満たした場合、老齢基礎年金は受給できないが、振替加算の要件を満たした場合は、老齢基礎年金の受給権が発生した者とみなして振替加算相当額の老齢基礎年金が支給される。

支給額

老齢基礎年金の額は、以下の算式で求める。

  • (780,900円×改定率)×(保険料納付月数・保険料免除月数の合計/480)

原則として20~60歳までの40年間(480月間)すべてが保険料納付済期間である場合に、満額の780,100円(≒780,900円×2019年(平成31年)度改定率0.999)が支給される。なお、1941年(昭和16年)4月1日以前生まれの者(新法施行時にすでに20歳以上の者)は40年の加入期間を満たすことができないので、生年月日に応じて「40年」は「25〜39年」に短縮される(算式の「480」は「加入可能年数×12」となる)。

40年の間に保険料納付済期間以外の期間があると、その分だけ満額から減額されていく。保険料滞納期間や合算対象期間、さらに保険料免除期間のうち学生納付特例期間や若年者納付猶予期間は、年金額の計算においてはゼロとして扱われる。これ以外の保険料免除期間は、保険料納付済期間に対する割合が以下の通り年金額に反映される。2009年(平成21年)3月までと4月以後で計算が異なるのは、2009年(平成21年)4月に国庫負担が2分の1に引き上げられたことに伴うものである。

全額免除
2009年(平成21年)3月までの月数については全額納付者の6分の2(3分の1)、2009年(平成21年)4月以後の月数については全額納付者の8分の4(2分の1)。
4分の3免除
2009年(平成21年)3月までの月数については全額納付者の6分の3(2分の1)、2009年(平成21年)4月以後の月数については全額納付者の8分の5。
半額免除
2009年(平成21年)3月までの月数については全額納付者の6分の4(3分の2)、2009年(平成21年)4月以後の月数については全額納付者の8分の6(4分の3)。
4分の1免除
2009年(平成21年)3月までの月数については全額納付者の6分の5、2009年(平成21年)4月以後の月数については全額納付者の8分の7。

任意加入により納付済期間と免除期間の合計が40年(480月)を超える場合、免除期間1月について年金額の高い期間を優先して年金額を計算する。具体的には、納付済期間、4分の1免除期間、半額免除期間、4分の3免除期間、全額免除期間の順に優先して計算する。

支給開始時期

2022年現在、後述の支給の繰り上げ・繰り下げを行わない(かつ、年金受給の手続きを行う)場合、支給開始の時期は以下のようになる。

  • 受給資格は、65歳になった日(一般的な「65歳の誕生日」の前日)[3]に発生する[4]
  • 受給資格が発生した日の翌月が受給開始月となる[4]
  • 受給開始月以降、実際の支給(指定された銀行口座への年金の振り込みなど)は、偶数月の分は翌々月の原則15日、奇数月の分は翌月の原則15日に行う[5][6]。ただし、初回の支給に限っては奇数月に行う場合もある[7]。さらに、手続きの関係上、実際の初支給が誕生月の2〜3か月後になることもある[8]

支給の繰上げ

老齢基礎年金の受給期間を満たす者で、満年齢60歳から65歳の間に(任意加入被保険者でないものに限る)、厚生労働大臣支給の繰上げを請求することで、減額された年金の受給が出来る。老齢厚生年金の受給権者の場合は、老齢基礎年金の繰上げと老齢厚生年金の繰上げを同時に行わなければならない。繰上げの請求をした日の属する月の翌月から、支給が開始される。年金請求書に「支給繰上げ請求書」を添付して提出する。

1941年(昭和16年)4月1日以前生まれの者は年単位、1941年(昭和16年)4月2日以降生まれの者は月単位の繰上げ受給(早期の受給)が行え支給額に減額率を適用しての「繰上げ額」が付加される。誕生年月によって「全部繰上げ」と「一部繰上げ」が行える。いわば、早取分の減額である。1941年(昭和16年)4月2日以降生まれの者は月当り0.5%の減額があり、60歳到達月に繰上げ請求すれば60か月×(-0.5%)=30%の減額となる。付加年金についても同率で減額される。減額は生涯続き、また請求後の変更・取消しは出来ない。繰上げを行うと、国民年金の任意加入被保険者となることはできず、寡婦年金や、事後重症・基準障害による障害基礎年金も支給されなくなる。1941年(昭和16年)4月1日以前生まれの者は、国民年金の被保険者に該当すると、繰上げ支給の老齢基礎年金は支給停止される。

支給の繰下げ

一方、65歳に達したときに老齢基礎年金の受給権を有する者は、66歳(65歳到達時に受給権を有しない場合は受給権取得後1年経過後)から70歳までの希望する満年齢後の月単位で、厚生労働大臣に支給の繰下げを申出ることで、増額した年金の受給が行える。老齢厚生年金の受給権者の場合は、繰上げの場合とは異なり老齢基礎年金の繰下げと老齢厚生年金の繰下げを必ずしも同時に行う必要はない。申出のあった日の属する月の翌月から、支給が開始される。ただし、65歳に達したときに障害年金または遺族年金の受給権者であったとき、または66歳に達した日までに障害年金または遺族年金の受給権者となったときは、繰下げの申出はできず、66歳以降で障害年金または遺族年金の受給権者となったときは原則としてその日に繰下げの申出があったとみなされる。65歳の誕生月(1日生まれの者は誕生月の前月)の初旬に送られてくる年金請求書(ハガキ形式)の繰下げ希望欄に記入し(「老齢基礎年金のみ繰下げ希望」又は「老齢厚生年金のみ繰下げ希望」のいずれかを○で囲む)、返送する。なお、老齢基礎年金・老齢厚生年金の両方を繰下げる場合は返送不要である。老齢厚生年金の受給権が無く老齢基礎年金のみの受給権者の場合は、年金請求書に支給繰下げ請求書を添付する。

月単位で「年齢繰下げ支給」では、受給開始を1か月繰り下げる(遅らせる)ごとに支給額が0.7%の増額され、5年後の70歳到達月まで先送りすれば、60か月×0.7%=42%の増額となる。この増額は生涯続く。また申請後取消しは出来ない。ただしこの「42%の増額」は文字通り「額面」の数字であって、課税後の「正味受給額」が必ずしも42%増えるわけではない。以下に単純化した例を示す。

公的年金収入は税法上「雑所得」として扱われ、受給金額により課税係数は異なるものの、例えば65歳受給開始の年間受給額が200万円の場合は、200万円×100%-120万円(一律控除額)=80万円が課税対象となる。この人が受給を70歳まで繰り下げて支給額が42%増しになると、課税対象は282万円×100%-120万円=162万円となる。仮にこの人が他に収入があるなどして受給年間に10%の所得税が課されるとすると、65歳・70歳受給開始のそれぞれの税額は8万円と16.2万円となり、これらの金額を額面受給額から差し引いた「手取り」は、それぞれ192万円、267.8万円であり、267.8/192≒1.395と、40%足らずの増加に止まる。他の課税を考慮した例では実際の「手取り」増加率は33%程度まで下がる[9]。受給繰下げのメリットについての各種の解説ではこの「42%の増額」が万人に通用する絶対的な増額であるかのように強調されているが、実際の(手取り額)増加率は各人の状況により異なる。この増額率の変動は、「何歳まで生きれば受給開始を遅らせたことにより遅らせない場合より受給総額が上回って得になるか」と言う「損益分岐点」の計算に影響を与える。例えば、70歳まで受給開始を繰り下げる予定の人が69歳で死んでしまうと、本来ならば4年間受給できたはずの年金は「遅らせ損」として全く受け取れない。本来、公的年金は寿命セイフティネット=長生きリスクに対する保険であるからマス(総論)で考えれば損得勘定は意味がないが、各論として自分が最も得をするようにしたいのは人情である。例えば、70歳まで繰り下げたときの損益分岐点は、増加率が42%なら81歳10か月だが、増加率が33%に止まると損益分岐点は85歳2か月となり65歳男性の平均余命19.55年を超え、50%以上の確率で「遅らせ損」になる。

繰下げ受給を希望し、70歳0か月での増率を希望する場合は、70歳に到達した月に請求しないと(70歳になったからといって自動的に支給されるわけではない)、請求月の翌月からの受給原則により、(例えば「70歳8か月で請求」した場合は8か月分)遅れて請求するまでの間は受給できなく得策とはいえない。月末または1日生れは特に注意を要する。なお法改正により、2014年(平成26年)4月からは、遅れて請求しても、70歳到達月までさかのぼって受給できるようになる。ただし、70歳到達月後に請求したとしても、増額分は60か月分(42%)が上限であり、それ以上遅らせて受給してもメリットは全くない。

振替加算

老齢厚生年金・障害厚生年金の受給者に、要件を満たす65歳未満の被扶養配偶者一般的には「妻」であるので、以下、便宜上「妻」と表記する。制度上は男女の区別はない)がいる場合には、「夫」の老齢厚生年金等に配偶者分の「加給年金額」が加算される。妻が65歳に達した以降は妻自身が老齢基礎年金を受給できるのでこの加算は無くなり、この加算に相当する額は「振替加算」として、妻自身が受給する「老齢基礎年金」に加算される。言い換えれば、妻にしかこの「振替加算」は付かない。

振替加算が加算される要件として

  • 妻自身が1926年大正15年)4月2日1966年(昭和41年)4月1日の間に生まれたこと。
    • この期間の妻は旧法下で任意加入とされたため、任意加入していなかった期間は合算対象期間とされ年金額に全く反映されず、妻の年齢が高いほど年金額が低くなる可能性が高く、その不足を補う意味がある。なお、任意加入して満額の老齢基礎年金を妻が受給できる場合であっても、要件を満たせば振替加算は行われる。
    • 1966年(昭和41年)4月2日以後に生まれた妻は、全期間が新法下による強制加入であるため、振替加算は行われない。1926年(大正15年)4月1日以前に生まれた妻(旧法による老齢年金等の受給権者)は、65歳になっても夫の加給年金は無くならないので、振替加算は行われない。
  • 妻自身が65歳に達した日以後において老齢基礎年金の受給権を満たすこと。
    • 妻が65歳到達日にすべての要件を満たしていれば65歳到達月の翌月から支給される。任意加入等により、65歳到達以後に妻が老齢基礎年金の受給権を取得した場合は、その翌月から支給される。
    • 65歳以後に夫が次の要件を満たした場合には夫が要件を満たすに至った日の属する月の翌月から支給される。妻が夫よりも年上の場合、一般的には夫が加給年金の加算を受ける要件を満たしたときには妻はすでに老齢基礎年金を受給している。このような場合は夫に加給年金は支給されず、夫が老齢厚生年金等の受給権を取得した月の翌月から妻の振替加算が開始する。この場合、「老齢基礎年金額加算開始事由該当届」の提出が必要である(通常、振替加算は特に届出等をしなくても要件を満たせば自動的に加算されるが、この場合は届出が必要となる)。
  • 妻自身が以下のいずれかの要件(加給年金額の計算の基礎となる)を満たした夫によって生計を維持されていること。
    • 老齢厚生年金又は退職共済年金の受給権者であって、被用者年金各法の被保険者期間または組合員等期間が240月(20年)以上(特例の場合は15〜19年)である者(在職老齢年金の仕組みにより老齢厚生年金が加給分も含めて全額支給停止されている場合を含む)
    • 障害厚生年金又は障害共済年金の受給権者であって、同一の支給事由に基づく障害基礎年金の受給権を有する者

振替加算の額は、以下の算式で求める。

  • 224,700円×改定率×妻の生年月日に応じて定める率(1.0〜0.067)[10]

2019年(平成31年)度の場合、1926年(大正15年)4月2日生まれの者であれば224,500円、1966年(昭和41年)4月1日生まれの者であれば15,042円である。

振替加算は、繰下げはできるが繰上げはできない(老齢基礎年金を繰上げしても、振替加算は65歳にならないと開始しない)。また繰下げしても増額はされない。妻が、加入期間240月以上の被用者老齢年金を受けるときは、振替加算は行われない。また、妻が障害年金を受けることができるときはその間振替加算は支給停止となる[11]。なお、振替加算の要件を満たした後に離婚しても、振替加算は支給停止されないが、離婚時みなし被保険者期間により厚生年金の被保険者月数が240月以上となった場合には振替加算は行われなくなる。

付加年金

第1号被保険者、任意加入被保険者は、国民年金の毎月の保険料を全額納付した上で厚生労働大臣に申し出て、月当り400円を増額して納付することができる。これを「付加保険料」といい、付加保険料を納めたことによって、老齢基礎年金の受給権を取得したときに併せて支給される年金を「付加年金」と呼ぶ。ただし第2号・第3号被保険者[12]・保険料の免除を受けている者・特例任意加入被保険者は付加保険料の納付はできない。また国民年金基金に加入している者も付加保険料の納付は出来ない。第1号被保険者のうち農業者年金の被保険者については、希望の有無に関わらず全て付加保険料を納付する者となる。なお、付加保険料の納付はいつでも厚生労働大臣に申し出て辞退(申出をした日の属する月の前月分から)することができる。また付加保険料を納期限までに納付しなかった場合、2013年(平成25年)度までは納付期限の日から付加保険料を納付する者ではなくなり、督促されることもなく、また付加保険料の追納はできない扱いとなっていた。2014年(平成26年)度からは法改正により国民年金保険料と同様に過去2年分まで納付できるようになっている。

付加保険料を納付していた人は、200円×納付月数が付加年金として支給される。第3号被保険者であっても旧法時代に付加保険料を納めていた者については支給される。付加年金は生涯付加される金額であり、概ね、2年間付加年金を受給すれば、保険料400円の元は取れる。また付加年金は、改定率の改定による年金額の自動改定の対象とされない(マクロ経済スライド・物価スライド特例措置は適用されない)。

付加年金は老齢基礎年金とセットで支給されるので、老齢基礎年金が全額支給停止されている場合や、老齢基礎年金以外の年金(遺族基礎年金や障害基礎年金など)を受給する場合は付加年金も支給が停止される。また脱退一時金や寡婦年金を受給する場合は付加保険料を納めていても加算はされないが、死亡一時金を受給する場合は36月以上付加保険料を納付していた場合に限り8,500円が加算される。付加年金においても支給の繰上げ、繰下げを老齢基礎年金と同時に行え、老齢基礎年金と同率の増額、減額が行われるし、繰上、繰下とも申請後の取消しは出来ない。

老齢厚生年金

老齢厚生年金(ろうれいこうせいねんきん)とは、厚生年金に加入し、要件を満たした者が所定の年齢になってから受給する年金のことである。

概要

65歳以上の者で、老齢基礎年金の受給資格期間を満たし、かつ1か月以上の厚生年金の被保険者期間を有することを要件に支給される(「本来の」老齢厚生年金)。年金額は、「報酬比例部分」「経過的加算」「加給年金額」の合計である。

「本来の」老齢厚生年金とは別に、厚生年金の加入期間が1年(2以上の被保険者種別期間は合算する)以上の、以下の生年月日の者に対しては65歳より前に経過措置として特別支給の老齢厚生年金が65歳まで支給される。支給額は「定額部分」「報酬比例部分」「加給年金額」の合計である。この特別支給の老齢厚生年金を受給しても65歳からの年金額は変わらない[13][14]。「特別支給」の受給者も「本来の」老齢厚生年金を受給するときは改めて裁定請求を行う[15]

「特別支給の老齢厚生年金」の対象となる生年月日範囲とそれに対する支給内容一覧表
生年月日(男性、第2〜4号女性)[16][17][18]生年月日(第1号女性)[19]特定警察職員等[20]支給詳細
1941年(昭和16年)4月1日以前1946年(昭和21年)4月1日以前1947年(昭和22年)4月1日以前60歳から「定額部分」及び「加給年金額」が加算された特別支給の老齢厚生年金が支給される。65歳から本来の老齢厚生年金が支給される。
1941年(昭和16年)4月2日から
1949年(昭和24年)4月1日まで
1946年(昭和21年)4月2日から
1954年(昭和29年)4月1日まで
1947年(昭和22年)4月2日から
1955年(昭和30年)4月1日まで
60歳から「報酬比例部分」のみの特別支給の老齢厚生年金が支給され、生年月日によって61〜64歳に達したときから「定額部分」及び「加給年金額」が加算された特別支給の老齢厚生年金が支給される。65歳から本来の老齢厚生年金が支給される。
1949年(昭和24年)4月2日から
1953年(昭和28年)4月1日まで
1954年(昭和29年)4月2日から
1958年(昭和33年)4月1日まで
1955年(昭和30年)4月2日から
1959年(昭和34年)4月1日まで
60〜65歳まで「報酬比例部分」のみの特別支給の老齢厚生年金が支給される(定額部分は支給されない)。65歳から本来の老齢厚生年金及び「加給年金額」が支給される。
1953年(昭和28年)4月2日から
1961年(昭和36年)4月1日まで
1958年(昭和33年)4月2日から
1966年(昭和41年)4月1日まで
1959年(昭和34年)4月2日から
1967年(昭和42年)4月1日まで
生年月日によって61〜64歳に達したときから「報酬比例部分」のみの特別支給の老齢厚生年金が支給される(定額部分は支給されない)。65歳から本来の老齢厚生年金及び「加給年金額」が支給される。
1961年(昭和36年)4月2日以降1966年(昭和41年)4月2日以降1967年(昭和42年)4月2日以降特別支給の老齢厚生年金は支給されない。

以下の者については、次の特例がある。

  • 被保険者でない(退職者である)報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金の受給権者については、
    • 障害等級3級以上に該当した場合は、請求することにより、請求があった月の翌月から定額部分が加算された特別支給の老齢厚生年金が支給される。障害厚生年金を受けることが出来る者が請求した場合は、障害状態にあると判断されるときにさかのぼって(初診日から1年6か月経過(この期間内に治癒した場合はその日)していること)支給される(男子は1941年(昭和16年)4月2日〜1961年(昭和36年)4月1日生まれ、女子は1946年(昭和21年)4月2日〜1966年(昭和41年)4月1日生まれの者に限る)。
    • 被保険者期間が44年(一の被保険者種別のみで「44年」であって、2以上の被保険者種別は合算しない)以上ある者については、報酬比例部分の支給開始年齢から定額部分が加算される(男子は1941年(昭和16年)4月2日〜1961年(昭和36年)4月1日生まれ、女子は1946年(昭和21年)4月2日〜1966年(昭和41年)4月1日生まれの者に限る)。障害者特例とは異なり、請求は不要である。
  • 坑内員船員としての被保険者期間が合算して15年(実期間)以上ある者については、生年月日に応じて定められた年齢から、定額部分等が加算された特別支給の老齢厚生年金が支給される。この場合、報酬比例部分と定額部分の支給開始年齢が異なることはない(1966年(昭和41年)4月1日以前生まれの者に限る)。「被保険者でない」「請求する」要件は不要である。
    • 1946年(昭和21年)4月1日以前生まれ・・・55歳から
    • 1946年(昭和21年)4月2日〜1948年(昭和23年)4月1日生まれ・・・56歳から
      • 以降、2年刻みで1歳ずつ支給開始年齢が繰り下がり
    • 1964年(昭和39年)4月2日生まれ〜1966年(昭和41年)4月1日生まれ・・・64歳から

2以上の種別の厚生年金被保険者期間を有する者については、受給権は各号の被保険者期間ごとに判断し、年金額は各号の被保険者期間ごとに判断する。それぞれの加入期間ごとに各実施機関が裁定・支給手続きを行い、年金証書・各種通知書も各実施機関がそれぞれ発行する。「老齢厚生年金」と「それと同一の支給事由に基づいて支給される他の老齢厚生年金」は併給可能である(遺族厚生年金も同様であるが、障害厚生年金にはこの取り扱いは無く併給不可となる)。

定額部分

旧法時代に存在した、報酬に比例しない固定部分である。新法では基礎年金に置き換わったので「本来の」老齢厚生年金には加算されないが、経過措置として特別支給の老齢厚生年金に加算される。

2019年(平成31年)度は以下の通り。「定額」であるので、被保険者月数と生年月日が同じであれば、報酬額にかかわらず同額となる。

  • 1,628円×生年月日に応じて定める率(1.0〜1.875)×被保険者期間の月数(上限は原則一の被保険者種別のみで480月)×改定率(2019年(平成31年)度は0.999)
    • 被保険者期間の月数については、中高齢者の特例が適用される者については被保険者期間が240月未満のときは240月として計算する。上限は、1946年(昭和21年)4月2日以降生まれであれば480月となるが、それ以前生まれであれば上限が順次減じられ、例えば1929年(昭和4年)4月1日以前生まれであれば上限は420月となる。
    • 「生年月日に応じて定める率」は、1926年大正15年)4月2日〜1946年(昭和21年)4月1日生まれの者は1.875(1926年(大正15年)度生まれ)〜1.032(1945年(昭和20年)度生まれ)となる。1946年(昭和21年)4月2日以降生まれの者は一律1.0である。
    • 「1,628円」は、「国民年金に1か月加入した時の年金額」(老齢基礎年金の満額/480)とされ、老齢基礎年金との整合性を保つ意味で決められる。

報酬比例部分

原則的な額
  • 新再評価率を用いて算定した2003年(平成15年)3月までの期間の平均標準報酬月額×給付乗率×2003年(平成15年)3月までの被保険者期間の月数
  • 新再評価率を用いて算定した2003年(平成15年)4月以後の期間の平均標準報酬×給付乗率×2003年(平成15年)4月以後の被保険者期間の月数

の合計である[21]

  • 新再評価率(2004年(平成16年)改正後の再評価率)は、現在の調整期間(マクロ経済スライド)においては、新規裁定者の再評価率は「名目手取り賃金変動率×調整率」を基準にして、既裁定者の再評価率(受給権者が65歳に達した日の属する年の3年後の年の4月1日の属する年度以後において適用される再評価率)は「物価変動率×調整率」を基準にして毎年度改定される。
  • 給付乗率
    • 2003年(平成15年)3月までの期間分については、1946年(昭和21年)4月1日以前生まれの者は0.723〜0.95%、1946年(昭和21年)4月2日後生まれの者は一律0.7125%。
    • 2003年(平成15年)4月以後の期間分については、1946年(昭和21年)4月1日以前生まれの者は0.5562〜0.7308%、1946年(昭和21年)4月2日後生まれの者は一律0.5481%。
  • 被保険者期間の月数については、中高齢者の特例が適用される者であっても実期間で計算する(最低保障はない)。また上限はない。なお1991年(平成3年)4月1日前の第3種被保険者期間については特例を用いる。
  • 2003年(平成15年)3〜4月で区切っているのは2003年(平成15年)4月より、賞与等も含めた年収をベースとした総報酬制を導入したことによる(それゆえ「平均標準報酬月額」「平均標準報酬」と表記が異なるのである)。
従前額の保障
  • 平成6年再評価率を用いて算定した2003年(平成15年)3月までの期間の平均標準報酬月額×給付乗率×2003年(平成15年)3月までの被保険者期間の月数
  • 平成6年再評価率を用いて算定した2003年(平成15年)4月以後の期間の平均標準報酬額×給付乗率×2003年(平成15年)4月以後の被保険者期間の月数

の合計に従前額改定率(「物価変動率×調整率」を基準にして毎年度改定)を乗じた額が、前述の原則的な額を上回る場合は、従前額が報酬比例部分の額となる。結果的に平成26年度までは大部分の受給権者に従前額が支給されている。

  • 給付乗率
    • 2003年(平成15年)3月までの期間分については、1946年(昭和21年)4月1日以前生まれの者は0.761〜1.0%、1946年(昭和21年)4月2日後生まれの者は一律0.75%。
    • 2003年(平成15年)4月以後の期間分については、1946年(昭和21年)4月1日以前生まれの者は0.5854〜0.7692%、1946年(昭和21年)4月2日後生まれの者は一律0.5769%。

加給年金額

定額部分が加算される特別支給の(65歳未満の者に支給される)老齢厚生年金の受給者または「本来の」老齢厚生年金の受給権者が以下のすべての要件を満たしたときは、年金額に加給年金額が加算される。

  • 年金額計算の基礎となる厚生年金の被保険者期間が20年(特例の場合は15〜19年)以上あること
    • 2以上の種別の厚生年金被保険者期間を有する者については、被保険者期間を合算する。
    • 受給権取得時に20年未満であっても、退職時改定により20年以上となった場合、その改定規定により当該年数が20年以上となるに至った当時の、以下の生計維持関係を確認する。
    • 離婚分割によって20年以上となった場合には、加給年金額は加算されない。
  • 受給権取得時にその者によって生計を維持していた65歳未満の配偶者(厚生年金の被保険者であってもよい)、又は子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子及び20歳未満で所定の障害の状態にある子)があること
    • 受給権取得時とは、定額部分の支給開始年齢または65歳に達した時をいい、報酬比例部分のみの受給権が発生した段階ではない。
    • 加算対象者の年収(前年の収入。確定しない場合は前々年の収入。一時的な収入は除く)が850万円以上の場合は加算の対象から外れるが、概ね5年以内に850万円未満になると認められるときは加算の対象となる。
    • 1926年(大正15年)4月1日以前生まれの配偶者であれば、65歳以上であってもよい。
      • 1926年(大正15年)4月2日〜1966年(昭和41年)4月1日生まれの配偶者は、配偶者が65歳に達したときは加給年金額の加算は無くなり、これに相当する金額は「振替加算」として配偶者自身が受給する老齢基礎年金に加算される。一般的には妻のほうが夫よりも年上の場合、夫が加給年金を受給できるようになったときには妻はすでに老齢基礎年金を受給しているので、夫には加給年金は加算されず、相当額が振替加算としてその時点より妻に支給される。
    • 配偶者が老齢基礎年金を繰上げ受給した場合であっても、加給年金は支給停止されない。なお、配偶者に老齢基礎年金の受給権がなく振替加算が支給されないときでも、配偶者が65歳に達したときは加給年金の加算は終了する。

2019年(平成31年)度の加給年金額は、配偶者、第1子、第2子については一人につき224,500円(≒224,700円×改定率0.999)、第3子以降は一人につき74,800円(≒74,900円×0.999)となる。また配偶者のある受給権者が1934年(昭和9年)4月2日以後の生まれの場合、受給権者の生年月日に応じて33,200円(≒33,200円×0.999)〜165,600円(≒165,800円×0.999)が特別加算される。

なお、配偶者が240月以上の老齢厚生年金を受けることができる場合(2以上の種別の厚生年金被保険者期間を有する配偶者については、被保険者期間を合算する)、もしくは障害年金を受けることができる場合は、当該配偶者の加算分は支給停止される。また老齢厚生年金と障害基礎年金とが併給されている場合、障害基礎年金に子の加算が行われている場合は、加給年金額の子の加算は支給停止される。老齢厚生年金の受給権取得時に単身者だった者が後に所定の要件を満たした配偶者や子を有することになっても加給年金額は加算されない。

経過的加算

合算対象期間が含まれるために定額部分額よりも老齢基礎年金額が低くなる場合がある。これによる年金受給総額の減少を防止する目的で、その差額相当額が当分の間支給される。

  • 定額部分-(老齢基礎年金の満額×1961年(昭和36年)4月1日以後で20歳以上60歳未満の厚生年金の被保険者期間の月数÷480(加入可能年数の12倍))
    • つまり、「経過的加算=定額部分-老齢基礎年金相当額」ということである。
    • 月数は実期間で計算し、第3種被保険者等の特例は用いない。

支給の繰上げ・繰下げ

老齢基礎年金と同様の支給繰上げ・繰下げの請求・申出をすることもできる。2以上の種別の被保険者期間を有する者については、一の種別の被保険者期間に基づく老齢厚生年金の支給繰上げ・繰下げの請求・申出は、他の期間に基づく老齢厚生年金の当該請求・申出と同時に行わなければならない。

支給の繰上げ

老齢厚生年金の繰上げは、老齢基礎年金の繰上げと同時に行わなければならない。

  • 60歳から定額部分が支給される者については、「老齢基礎年金の繰上げ」を請求でき、繰上げると定額部分については老齢基礎年金相当額が支給停止され、老齢基礎年金については全額が減額の対象となり、65歳になっても増額されることはない。
  • 60歳から報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金が支給され61歳以降から定額部分が支給される者については、60歳以後から「全部繰上げ支給の老齢基礎年金」を請求することができる。この場合、定額部分については老齢基礎年金相当額が支給停止され、老齢基礎年金については全額が減額の対象となり、65歳になっても増額されることはない。報酬比例部分や65歳からの経過的加算については減額されない。定額部分の支給開始前なら「一部繰り上げの老齢基礎年金」の請求もでき、この場合、定額部分も同時に繰上げ支給され、所定の率で調整され、65歳になると繰上げしなかった部分の老齢基礎年金額が加算される。
    • 「一部繰り上げの老齢基礎年金」は、以下の計算式で求める。
      (65歳からの老齢基礎年金の年金額)×(繰上げ請求月から定額部分支給開始月の前月までの月数)/(繰上げ請求月から65歳到達月の前月までの月数)×支給率
      「支給率」は、100%-(0.5%×繰上げ請求月から65歳到達月の前月までの月数)
  • 60歳から報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金が支給され定額部分が支給されない者については、60歳以後から「全部繰上げ支給の老齢基礎年金」を請求することができる。「一部繰り上げの老齢基礎年金」の請求はできない。
  • 61歳以後から報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金が支給され定額部分が支給されない者については、60歳から報酬比例部分の支給開始年齢までに「経過的な繰上げ支給の老齢厚生年金」を請求することができる。この場合、「全部繰上げ支給の老齢基礎年金」の請求も同時にしなければならない(双方とも当然減額される)。報酬比例部分の支給開始後から65歳までの間は、「繰上げ支給の老齢基礎年金」を請求することができる。
  • 特別支給の老齢厚生年金が支給されない者については、請求日の前日において老齢厚生年金の受給資格期間(=老齢基礎年金の受給資格期間)を満たす場合に、老齢厚生年金の支給繰上げを請求できる。この場合、老齢基礎年金の繰上げと同時に行わなければならない。なお、繰上げても加給年金額は65歳にならないと加算されない。また国民年金任意加入被保険者は、この請求はできない。

支給の繰下げ

老齢厚生年金の受給権を有する者(2007年(平成19年)3月31日までに当該受給権を取得した者を除く)であってその受給権を取得した日から起算して1年を経過した日前に当該老齢厚生年金を請求していなかったものは、実施機関に当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができる。ただし、その者が当該老齢厚生年金の受給権を取得したときに、障害基礎年金以外の障害年金又は遺族年金の受給権者であったとき、又は当該老齢厚生年金の受給権を取得した日から1年を経過した日までの間において障害基礎年金以外の障害年金又は遺族年金の受給権者となったときは、この申し出はできない(第44条の3)。1年を経過した日後に障害基礎年金以外の障害年金又は遺族年金の受給権者となった者が、障害基礎年金以外の障害年金又は遺族年金を支給すべき事由が生じた日以後に繰下げの申出をしたときは、原則として当該受給権者となった日において、繰下げの申出があったものとみなす。

2020年(令和2年)5月29日に成立した年金制度改革関連法で75歳からの年金の受け取り開始を可能とした[22]

在職老齢年金

老齢厚生年金を受給しながら就労して報酬を得る場合に適用される[23]。2015年(平成27年)10月からは、国会議員・地方公共団体議会議員についても在職老齢年金の仕組みが適用される。

低在老

60歳以降、(特別支給の)老齢厚生年金を受給しながら、かつ厚生年金被保険者でもある場合、受給する場合(低在老)、総報酬月額相当額(標準報酬月額と、その月以前1年間の標準賞与額の総額を12で割った額との合算)と基本月額(年金額÷12)との合計額が28万円(支給停止調整開始額)を超えると、退職日の属する月まで以下のように支給停止される。なお、加給年金が加算されている場合、在職老齢年金の年金額は加給年金額を除いた本体額で計算する。この計算により本体が一部でも支給されれば加給年金は全額支給され、本体が全額支給停止となると加給年金も支給停止となる。

  • 基本月額が28万円以下であり、かつ総報酬月額相当額が47万円(支給停止調整変更額[24]以下である場合
    • (合計額-28万円)×2分の1の額が支給停止となる。
  • 基本月額が28万円以下であり、かつ総報酬月額相当額が47万円を超える場合
    • (年金月額+47万円-28万円)×2分の1の額と、(総報酬月額相当額-47万円)の額との合計額が支給停止となる
  • 基本月額が28万円を超え、かつ総報酬月額相当額が47万円以下である場合
    • (総報酬月額相当額×2分の1)の額が支給停止となる。
  • 基本月額が28万円を超え、かつ総報酬月額相当額が47万円を超える場合
    • (47万円×2分の1)の額と、(総報酬月額相当額-47万円)の額との合計額が支給停止となる

総報酬月額相当額は、月収だけでなく、過去1年間の賞与も計算の対象になるため、定年退職直前に多額の賞与を受けていた場合は、定年後に月収が減ったとしても定年前の賞与の影響で支給停止額が多くなる(場合によっては全額支給停止になる)可能性がある。

2020年(令和2年)5月29日に成立した年金制度改革関連法で、60代前半の減額基準を現行の月収28万円超から65歳以上と同じ月収47万円超に引き上げる[25]

高在老

1937年(昭和12年)4月2日以降に誕生した者(2002年(平成14年)の改正時以後に65歳になる者)は、65歳以降の(本来の)老齢厚生年金を受給しながら、かつ厚生年金被保険者でもある場合(高在老)、総報酬月額相当額基本月額との合計額が47万円(支給停止調整額[26]を超えると、その超えた額の2分の1相当額が支給停止となる。さらに、その超えた額が基本月額以上である場合は、老齢基礎年金、経過的加算及び繰下げ加算額を除き、老齢厚生年金(報酬比例部分)の全部の支給が停止される。平成19年(2007年)4月より高在老は70歳以上の在職者についても同じ仕組みで対象となる。2015年(平成27年)10月からは、1937年(昭和12年)4月1日以前生まれの70歳以上在職者についても対象となる。

高在老では70歳までは保険料を払うのでその分だけ将来の年金受給額が増え、70歳以降では原則保険料の負担は無い。しかし支給停止額も相当の額になるため、高齢者の働く意欲を阻害する一面もある。2019年(令和元年)8月の財政検証では在職老齢年金の廃止も含めた検証がなされた[27]

年金額の改定

被保険者(在職中)である老齢厚生年金(「本来」、特別支給とも)の受給権者は、昇給・降給・賞与支払い等によって総報酬月額相当額が改定された場合、改定が行われた月から新たな総報酬月額相当額に基づいて支給停止額が再計算され、当該改定が行われた月から年金額も改定される(厚生年金保険法第46条6項)。

離婚分割が行われた場合、当該分割の請求のあった日の属する月の翌月から年金額が改定される(厚生年金保険法第78条の10)。

「本来の」老齢厚生年金は、受給権者がその権利を取得した月以後における被保険者である期間は、原則としてその計算の基礎とされない。しかし、受給権者が資格喪失し、かつ被保険者となる(再就職する)ことなく資格喪失日から1月を経過したときは、(「本来」、特別支給とも)資格喪失月の前月までの被保険者期間を年金額の基礎として、資格喪失日(資格喪失の理由が退職・適用除外該当の場合、その日)から1月を経過した日の属する月(退職月の翌月)から年金額の改定が行われる(退職時改定、厚生年金保険法第43条2項、3項)。なお支給繰り上げを請求した場合、65歳到達までは資格の喪失の有無にかかわらず、年金額は改定しない。

  • 2015年(平成27年)10月の法改正により、月末退職の場合の退職時改定の取扱いが変更となった。従来は資格喪失日(退職日の翌日)の規定により、例えば3月31日に退職した場合、資格喪失日(4月1日)から起算して1月を経過した5月から改定となっていたが、法改正後は退職日(3月31日)から起算して1月を経過した4月からの改定となる。

報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金の受給権者が、上述の特例(障害者・長期加入者)に該当した場合、該当した(障害者は請求した)月の翌月から、年金額が改定(定額部分が加算)される。また、すでに特例に該当して定額部分が加算されている特別支給の老齢厚生年金の受給権者が、特例に該当しなくなった場合、年金額が改定(定額部分が加算されなくなる)される(厚生年金保険法附則第9条の2)。

被保険者でなかった特別支給の老齢厚生年金の受給権者が被保険者となった(就職した)場合、被保険者となった月の翌月から、低在老の仕組みにより年金額が改定(原則として減額改定、支給停止)される(附則第11条)。なお被保険者となった月に被保険者の資格を喪失した場合(就職月に退職した場合)は、この仕組みは適用されない。

  • 2016年(平成28年)9月30日以前から同じ事業所に引き続き働いている者が2016年10月1日に短時間労働者として被保険者となったことにより障害者特例・44年特例による定額部分の全額が支給停止された場合、経過措置として届出ることにより定額部分の支給停止が解除される。
  • 2020年(令和2年)5月29日成立した年金制度改革関連法で、在職定時改定という仕組みが導入。60代後半の人が厚生年金を受け取りながら働く場合、収めた保険料を翌年の年金額に反映させる[28]

雇用保険との調整

基本手当

特別支給の老齢厚生年金は、その受給権者が雇用保険法の規定による基本手当の支給を受けることができる場合、原則として基本手当に係る求職の申し込みがあった月の翌月(求職の申込が年金受給権発生日よりも前の場合は、受給権取得月の翌月)から、当該受給期間が経過するに至った月、又はその支給を受け終わったときに至る月まで、全額が支給停止される(基本手当が優先して支給される)。また「本来の」老齢厚生年金を繰り上げ受給する場合も、基本手当(65歳以降に支給されるものを除く)と調整される。なお、自己都合退職等による給付制限期間中も支給停止されるが、基本手当の対象となった日が1日もなかった場合は支給停止されずに支給され、さらに基本手当の受給期間終了時に実際に受けた基本手当の日数を月数に換算して、支給停止の月数が多い場合は支給停止をさかのぼって解除する(事後精算)。

受給権者が求職の申し込みを行った場合は、「受給権者支給停止事由該当届」に雇用保険受給資格者証を添付して住所地を所轄する年金事務所へ提出する。ただし、2003年(平成25年)10月1日以降に支給停止事由に該当した者については届出は原則不要である。

高年齢雇用継続給付

特別支給の老齢厚生年金(在職老齢年金)は、その受給権者が雇用保険法の規定による高年齢雇用継続基本給付金(基本手当を受給しないで継続雇用されている者が対象)の支給を受けることができる場合、在職老齢年金の支給停止に加え、標準報酬月額の6%相当額を上限にさらに支給停止される(高年齢雇用継続基本給付金は全額支給される)。なお、「本来の」老齢厚生年金を65歳以降に受給する場合は、支給停止は行われない。

受給権者が高年齢雇用継続基本給付金を受給することになった場合は、「受給権者支給停止事由該当届」に高年齢雇用継続基本給付支給決定通知を添付して住所地を所轄する年金事務所へ提出する。ただし、高年齢雇用継続基本給付金の支給対象となった最初の月の1日が2013年(平成25年)10月1日以降の場合については届出は原則不要である。

失権

老齢基礎年金・付加年金・老齢厚生年金(特別支給、「本来の」とも)の受給権は、受給権者が死亡したときに消滅する。また、特別支給の老齢厚生年金の受給権は、受給権者が65歳に達したときは消滅する。

死亡後について

死亡した事実が判明したら市町村の年金事務所へ連絡するのが基本であるが(国民年金は14日以内、厚生年金は10日以内)、死亡日より7日以内に戸籍法上の届出をすれば、市町村が住民基本台帳ネットワークシステムに参加していれば年金事務所への連絡は省略できる。

ただし、受給停止の手続きをする前に年金事務所にて確認した結果、死亡した者に支払われるはずの年金が残っていることが分かる事がある。年金は偶数月15日に過去2か月分がまとめて支給されるのが原則であるため、奇数月に死亡した場合、翌月に支給される予定だった分は「未支給年金」となる。この場合、未払い分(未支給年金)は、死亡者と生計を同じくしていた遺族(優先順位は配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順。法改正により2014年4月からはこれらの者以外の3親等以内の親族も追加された)が自己の名で請求することができる。同順位者が複数いる場合は、その一人がした請求は全員のためにその全額につきしたものとみなし、その一人に対してした支給は全員に対してしたものとみなされる。

一方、受給権者が死亡したために消滅したにもかかわらず、翌月以降の分として過誤払が行われた場合、当該返還金債権に係る債務の弁済をすべき者に年金給付(遺族基礎年金)があるときは、その年金給付の支払金を返還金債権の金額に充当することができる。なお過誤払調整は同一制度内でのみ行われるので、国民年金と厚生年金のような制度をまたいだ充当はできない。

脚注

  1. ^ 『厚生労働白書 平成30年度』厚生労働省、2018年、資料編https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/18-2/dl/11.pdf 
  2. ^ 被用者年金制度の一元化に伴い、2015年10月1日から公務員及び私学教職員も厚生年金に加入。また、共済年金の職域加算部分は廃止され、新たに退職等年金給付が創設。ただし、2015年9月30日までの共済年金に加入していた期間分については、2015年10月以後においても、加入期間に応じた職域加算部分を支給。
  3. ^ つまり、誕生日が6月1日の場合は、5月31日。6月2日の場合は、6月1日。
  4. ^ a b 年金はもらえるようになった翌月分から支給される”. FP奥野文夫事務所. 2022年1月16日閲覧。
  5. ^ つまり、偶数月の原則15日に前月・前々月の分を支給を行う。
  6. ^ Q.年金の支払月はいつですか。”. 日本年金機構 (2014年4月21日). 2022年1月16日閲覧。
  7. ^ Q.初めて年金の支払いを受けましたが、これはいつからいつまでの分ですか。”. 日本年金機構 (2014年4月21日). 2022年1月16日閲覧。
  8. ^ 65歳になっても自動的に振り込まれない!?年金は受け取り手続きが必要”. Finasee(フィナシー) (2020年10月2日). 2022年1月16日閲覧。
  9. ^ http://diamond.jp/articles/-/160670 「年金は70歳受給開始にすると42%も増えるが、落とし穴も!」 ダイヤモンド・オンライン 深田晶恵 2018年4月2日閲覧
  10. ^ 2015年(平成27年)の法改正により、年金の端数処理はそれまでの100円単位から1円単位へと変更になった。ただし振替加算の計算においては、(224,700円×改定率)で100円未満の端数を四捨五入し、そこに(妻の生年月日に応じて定める率)を乗じるときに1円未満の端数を四捨五入する。
  11. ^ 障害基礎年金を受給中の妻が、障害等級が3級に軽減したため、受給する年金を障害基礎年金から老齢基礎年金に変更した場合、振替加算が加算される。
  12. ^ 第3号被保険者は、1986年(昭和61年)4月前は任意加入者として付加保険料を納付することができた。この期間の付加保険料納付済期間については、第1号被保険者期間としての付加保険料納付済期間とみなされる。
  13. ^ 社会保険労務士のが、特別支給の老齢厚生年金はもらい忘れが多いと指摘し「特別支給をもらっても65歳からの年金額は変わらないのだから、受給しなければ大きな損失」と述べている(“「年金は65歳から」という思い込みの罠、「特別支給」のもらい忘れは多い”. NEWSポストセブン (小学館). (2019年2月13日). https://www.news-postseven.com/archives/20190213_868942.html 2019年9月15日閲覧。 )ただし、この記事は対象年齢、生年月日について女性の場合を無視している。
  14. ^ 特別支給、加給… 年金、もらい忘れてませんか? 5年経過で権利消失 65歳未満も要注意”. NIKKEI STYLE. 日本経済新聞 (2018年9月20日). 2019年9月15日閲覧。
  15. ^ 65歳時の年金の手続き(特別支給の老齢厚生年金を受給している方)”. 日本年金機構 (2020年8月18日). 2020年11月4日閲覧。
  16. ^ 特別支給の老齢厚生年金国家公務員共済組合連合会
  17. ^ 老齢厚生年金地方公務員共済組合連合会
  18. ^ 65歳前の年金日本私立学校振興・共済事業団
  19. ^ 第1号厚生年金被保険者のみに男女差が設けられているのは、かつて民間企業では定年年齢に男女差があったために旧法時代では支給開始年齢に男女差を設けていた名残である(共済年金では旧法時代でも男女差は無かった)。
  20. ^ 「警察官もしくは皇宮護衛官又は消防吏員もしくは常勤の消防団員(政令で定める階級以下の階級であるものに限る)である被保険者(であった者)のうち、特別支給の老齢厚生年金の支給要件を満たしたとき(資格喪失日の前日)において引き続き20年以上在職していた者その他これに準ずるものとして政令で定める者」をいう。
  21. ^ ただし2014年(平成26年)度までにおいてマクロ経済スライドは発動されていないので、実際の給付額は物価スライド特例措置による年金額となる。またこの場合、調整期間においても名目手取り賃金変動率又は物価変動率に調整率は乗じられない。
  22. ^ 2020年5月30日中日新聞朝刊2面
  23. ^ 在職中に老齢厚生年金を受け取られる方へ 〜働きながら年金を受けるとき (PDF)”. 日本年金機構 (2012年3月29日). 2013年11月5日閲覧。
  24. ^ 支給停止調整変更額は、法定額48万円に、平成17年度以降の名目賃金変動率に応じて変更される。
  25. ^ 2020年5月30日中日新聞朝刊2面
  26. ^ 支給停止調整額は、支給停止調整変更額と同様の方法で変更される。
  27. ^ 将来の公的年金の財政見通し(財政検証)厚生労働省
  28. ^ 2020年5月30日中日新聞朝刊2面

関連項目

外部リンク

障害年金

障害年金(しょうがいねんきん)とは、国民年金法厚生年金保険法等に基づき、疾病又は負傷(傷病)によって、所定の障害の状態になった者に対して支給される公的年金の総称である。本項では同法に定める一時金についても取り扱う。

障害基礎年金

国民年金法(いわゆる「新法」)の施行日(昭和61年4月1日)以後受給権が発生した場合に同法の規定に基づいて給付される障害年金のことを指す。なお、旧法における障害福祉年金は、施行日以後障害基礎年金(いわゆる20歳前傷病による障害基礎年金)に切り替えて支給される。

年金受給要件

被保険者要件

障害の原因となった傷病について初めて治療目的で医師または歯科医師の診察を受けた日(以後、初診日という)において、以下のいずれかに該当すること。

  • 国民年金被保険者であること(学生、若年者等で保険料の免除を受けていてもよい)
  • 国民年金被保険者であった者であって、日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満であること(原則として繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権者でないこと)

従来、初診日がいつであるかについては医師の診断書等、厳格な証明が必要とされてきたが、2015(平成27)年10月より取扱いが変更となり、診断書等がない場合であっても、第三者民法上の3親等以内の親族は含まない)の証明があり初診日(原則として5年以上前のものに限る)を推定できるような合理的な参考書類を添付した場合や、参考書類を添付のうえ保険料納付要件を満たすなど所定の要件に合致すると認められる場合には、審査のうえ、本人が申し立てた日を初診日とすることとされている。また過去に初診日不明として申請が却下された者も、2015(平成27)年10月以後新たな取扱いにより再度申請することができる。なお、健康診断により異常が発見され、療養に関する指示を受けた場合は、2015(平成27)年9月まではその健康診断受診日を初診日とする取り扱いを行ってきたが、2015(平成27)年10月以降は、健康診断受診日は初診日として取り扱わない(日本年金機構も健康診断結果の提出を求めない)こととされた。ただし、初めて治療目的で医療機関を受診した日の医証(受診状況等証明書)が得られない場合であって、医学的見地からただちに治療が必要と認められる健診結果である場合については、請求者から健診日を初診日とするよう申し立てがあれば、健診日を初診日とし、健診日を証明する資料(人間ドックの結果など)を求めた上で、初診日を認めることができることとされる(平成27年9月28日年管管発第6号)。

障害要件

初診日から起算して1年6ヶ月が経過した日、あるいはこの期間内にその傷病が治った場合(症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った場合を含む)はその日(以後、障害認定日という)において、障害等級1級または2級に該当すること。

なお「症状が固定し治療の効果が期待できない状態」の具体例としては、以下のものが挙げられている。

  1. 人工透析療法を行っている場合は、透析を初めて受けた日から起算して3カ月を経過した日。
  2. 人工骨頭又は人工関節をそう入置換した場合は、そう入置換した日。
  3. 心臓ペースメーカー、植え込み型除細動器(ICD)又は人工弁を装着した場合は、装着した日。
  4. 人工肛門又は新膀胱の造設、尿路変更術を施術した場合は、造設又は手術を施した日。
  5. 切断又は離断による肢体の障害は、原則として切断又は離断した日(障害手当金又は旧法の場合は、創面が治癒した日)。
  6. 喉頭全摘出の場合は、全摘出した日。
  7. 在宅酸素療法を行っている場合は、在宅酸素療法を開始した日。

初診日が1986(昭和61)年4月1日前であっても、障害認定日が1986(昭和61)年4月1日以後である場合は、旧法の障害年金ではなく、新法の障害基礎年金が支給される(受給権は原則として障害認定日に発生する)。

保険料納付要件

初診日の属する月の前々月までに、保険料納付済期間保険料免除期間とを合算した期間が、その被保険者期間の3分の2以上であること

  • ただし初診日が2026年4月1日前にある傷病による障害については、「当該初診日の前日において当該初診日の属する月の前々月までの1年間のうちに保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の被保険者期間がないとき」、つまり初診を受ける前の日の年金納付状況が、初診日の月の13ヶ月前から2ヶ月前の1年間すべて、保険料を納付するか免除されていれば(滞納していなければ)障害基礎年金を受給できる。ただし初診日において65歳以上である者にはこの措置は適用されない(2026年3月末までの特例措置)。なお初診日の前日にこの要件を満たしていない者が保険料を後納したり、遡っての保険料免除を受けたりして1年間すべてが保険料納付済期間・保険料免除期間となったとしても、要件を満たしたことにならない。
  • ここでいう「保険料納付済期間」には、老齢基礎年金では合算対象期間とされる、被用者年金制度の加入期間のうち1961(昭和36)年4月前の期間や、20歳未満及び60歳以後の期間も含まれる。
事後重症

障害認定日において障害等級に該当しない(障害が1級か2級でない)状態にあり、その後、障害の程度が重くなり、65歳に達する日の前日[注釈 1]までに障害等級に該当した場合、その65歳に達する日の前日までの期間内に限り請求することができ、認定されると、支給される。

  • 初診日における被保険者要件と保険料納付要件を満たしていることが必要である。
  • 受給権発生日は請求した日であり、請求しなければ支給されない。障害の程度が該当したからといって自動的に支給されるものではない。
  • 3級の障害厚生年金の受給権者が2級以上に改定された場合は、改定に伴って請求があったものとみなされるため、改めての請求は不要である。
  • 繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権者は、事後重症による障害基礎年金は受給できない。
  • 旧法の障害年金、旧厚生年金保険法による障害年金又は共済組合私学共済が支給する障害年金の受給権を有していたことのある者については、事後重症による障害基礎年金は支給されない(これらの者は、事後重症に該当した場合でも本来の(事後重症でない)障害基礎年金を請求することができる)。
基準障害

障害等級に該当しない障害(既存の障害)がある者が、その後新たに傷病にかかり、この傷病による障害認定日以後65歳に達する日の前日までの間において、初めて既存の障害と新たな障害(基準障害)とを併合して障害等級に該当する程度の障害の状態にいたったときは、併合した障害の程度による障害基礎年金が、その請求のあった翌月から支給される。

  • 被保険者要件・保険料納付要件は、既存の障害ではなく基準障害に係る初診日において判断する。
  • 繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権者は、基準障害による障害基礎年金は受給できない。
  • 基準障害による障害基礎年金の請求は、65歳に達する日の前日までに障害等級に該当すれば、65歳以後でも請求することができる
20歳前傷病

20歳未満(就職して第2号被保険者となっている場合を除く)のときに初診日があり、障害認定日以後に20歳に達したときは20歳に達した日において、障害認定日が20歳に達した日後であるときはその障害認定日において、障害等級に該当する程度の障害の状態にあるとき、支給される。なお、第2号被保険者となっている場合は、20歳前傷病による障害基礎年金ではなく、通常の障害基礎年金が支給される。

  • 事後重症の場合も同様であり、20歳に達した日又は障害認定日において障害等級に該当しなくても、65歳までに障害等級に該当すれば、20歳前傷病による事後重症の障害基礎年金が支給される。。
  • 1994(平成6)年の改正により、旧法の規定で当時の支給要件に該当しなかった者でも、1961(昭和36)年4月1日~1986(昭和61)年3月31日までの公的年金制度加入期間に初診日があり現在の支給要件に該当する者は65歳に達する日の前日までの間に、たとえ老齢基礎年金の繰上げ支給を受給している者であっても、支給請求できる。
  • 保険料納付要件は不要である。ただし、以下のいずれかに該当した場合は支給が停止される。
    • 受給権者本人(配偶者または扶養義務者の所得は問わない)の前年の所得が、政令で定める額を超えるときは、その年の8月から翌年の7月まで、その全部又は2分の1に相当する部分。ただし、子の加算額については支給停止から控除して計算する。また天災等により所有する住宅・家財等の被害額がその価格のおおむね2分の1以上である損害を受けた場合は、損害を受けた月から翌年7月までは所得による支給停止は行わない。「政令で定める額」とは、単身の場合3,604,000円を超えると2分の1が、4,621,000円を超えると全部が支給停止となる。扶養義務者がいればその人数に応じて上限額が上がる。
    • 恩給法による年金給付、労災保険法による年金給付を受けることができるとき(これらの年金給付が支給停止されている場合は、障害基礎年金は支給される)。
    • 刑事施設労役場少年院その他これらに準ずる施設に拘禁収容されている場合(未決勾留中の場合は有罪が確定するまでは支給停止されない)。
    • 日本国内に住所を有しないとき。
  • 住民基本台帳ネットワークシステムによる本人確認情報の提供を受け、生存等が確認されている場合、当該受給権者は令和元年8月以降は従来課されていた障害基礎年金所得状況届の提出が不要になった。(確認ができない場合は、障害基礎年金所得状況届を誕生月の月末までに日本年金機構に提出しなければならない)。

併合認定の原則

異なる支給事由により複数発生する可能性のある障害年金は、前後の障害を併合して、1つの障害年金として支給される。この場合、新たに併合された障害基礎年金の受給権を取得したときは、従前の障害基礎年金の受給権は消滅する。ただし、前後の障害の一方が支給停止となっている場合は、その停止されている期間は併合しない障害の程度によって支給される。

  • 障害厚生年金と障害基礎年金とであっても併合し、この場合障害厚生年金は年金額の改定で対応する。
  • 旧法の障害年金と新法の障害基礎年金の場合は併合はするが、この場合は旧法の障害年金受給権は消滅せず、どちらか一方を選択受給する。

年金額

原則として2級は老齢基礎年金の満額(780,900円×改定率。100円未満四捨五入)と同額、1級は2級の額の1.25倍の額(1円未満四捨五入)であり、これに子の加算額(第1子・第2子 各224,700円×改定率、第3子以降 各74,900円×改定率。いずれも100円未満四捨五入)が加わる。なお、被保険者期間の長短にかかわらず定額で支給される。また保険料免除期間があっても減額されることはない。

2020年(令和2年)度の改定率は1.002とされたので、実際の支給額は以下の通りとなる。

  • 1級 977,125円+ 子の加算 
  • 2級 781,700円+ 子の加算
    • 子の加算 第1子・第2子 各224,900円、第3子以降 各75,000円。
    • 障害基礎年金には配偶者への加算は行われない
    • 子とは、請求時に「生存している子」若しくは「妻の胎内に胎児として存在していた子が出生した後」であり、その対象者が18歳到達年度の末日を経過していない子、または、20歳未満で障害等級1級または2級の障害者をいう(18歳到達年度末を過ぎて20歳になるまでに障害の状態になった場合は加算されない)。
    • 障害年金を受ける権利が発生した後でも、子の出生等によって要件を満たすこととなった場合には増額改定される(2011年4月より)。この場合、14日以内に機構に届け出なければならない。
    • 障害の程度が増進した場合、厚生労働大臣は審査のうえ額の改定を職権ですることができ、また受給権者は厚生労働大臣に対し額の改定を請求することができる。ただしこの請求は受給権取得日又は厚生労働大臣の審査を受けた日から起算して1年を経過した後でなければ行うことができない(受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合を除く)。
    • 所得による支給制限は行われない。但し、20歳に達する前に負った傷病が原因の場合のみ所得制限がある(本人が保険料を支払っていない為)。

支給停止

  • 障害基礎年金は、その受給権者が当該傷病による障害について、労働基準法による障害補償を受けることができるときは、6年間その支給が停止される。なお、労災保険法の障害(補償)年金、傷病(補償)年金、休業(補償)給付が支給されるときは、障害基礎年金は全額支給され、調整は労災保険の側で行われる。具体的には、障害基礎年金のみの受給の場合、障害(補償)年金、傷病(補償)年金、休業(補償)給付は88%に減じられる。
  • 障害基礎年金は、受給権者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったときは、その該当しない間、支給が停止される。ただし、支給を停止された受給権者がその後新たな傷病により併合した障害等級に該当するに至った場合は支給停止は解除される。
  • 年金一般の給付制限のほか、故意に障害又はその直接の原因となった事故を生じさせた者の当該障害については、これを支給事由とする障害基礎年金は支給しない(絶対的支給制限)。また、故意の犯罪行為もしくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、障害もしくはその原因となった事故を生じさせた者の当該障害については、これを支給事由とする給付はその全部又は一部を行わないことができる(相対的給付制限)。受給権者が正当な理由なく受診命令に従わず、又は行政庁職員の診断を拒んだときも、相対的給付制限が課される。なお、自殺未遂によって障害となった場合には、支給制限はされない
  • 政府は、障害又はこの直接の原因となった事故が第三者の行為によって生じた場合において、給付をしたときは、その給付の価額の限度で、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。この場合において、受給権者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府はその価額の限度で給付を行う責を免れる(損害賠償との調整)。

障害厚生年金

厚生年金保険法に基づいて支給される障害年金。2015(平成27)年10月の被用者年金一元化により、公務員・私学教職員についても障害厚生年金が支給されることとなった。一元化以後は、2以上の種別の被保険者期間を有する者に支給する障害厚生年金・障害手当金の支給に関する事務は、当該障害に係る初診日における被保険者種別に応じて、それに対応する実施機関がまとめて行う。初診日における加入年金制度が共済組合かつ一元化以前の場合は障害共済年金が支給される。

受給要件

  • 厚生年金に加入している期間中、初めて医師又は歯科医師の診療を受けた傷病による障害であること
    • 初診日において厚生年金被保険者でなければ支給されない。初診日に厚生年金被保険者でなかった者が離婚分割により遡ってみなし被保険者となった場合には支給されない。初診日において厚生年金被保険者であれば、障害認定日に厚生年金被保険者でなくなっていてもよい。また70歳以上の高齢任意加入被保険者等も含む。
  • 障害認定日において障害等級1級、2級、3級に該当する程度の障害の状態にあること
    • 一般に厚生年金被保険者は同時に国民年金第2号被保険者でもあるので、障害等級が1級または2級の場合は障害基礎年金と障害厚生年金の両方が支給されることになる。ただし障害認定日において65歳以上の者は、通常は第2号被保険者ではなくなっているので、障害等級が1級または2級であっても障害厚生年金しか支給されない。
  • 障害基礎年金と同様の保険料納付要件を満たすこと
    • 国民年金被保険者期間の3分の2以上、さらに65歳未満の者の平成38年3月末までの特例措置は障害基礎年金と同じである。
    • 坑内員・船員としての被保険者期間は、老齢厚生年金とは異なり、実期間で計算する。
    • 通常、厚生年金被保険者であった期間はそのまま国民年金の保険料納付済期間となるが、就職前、退職後に長期の未納期間があると保険料納付要件を満たせない可能性がある。また高齢任意加入被保険者は初診日においてすでに70歳以上であるため、経過措置は適用されない。
事後重症による障害厚生年金
障害等級が1級~3級であることを除き、障害基礎年金と同じである。3級の者が1級または2級に該当した場合は、額の改定と同時に障害基礎年金についても請求があったものとみなされる。
一元化前に障害を支給事由とする共済年金の受給権を有したことがある者その他政令で定める者には、事後重症の規定による障害厚生年金は支給されない。
基準障害による障害厚生年金
基準障害の場合は1級または2級のみで、3級は対象外である。なお、基準傷病に係る初診日において被保険者であればよく、既存障害の初診日において被保険者である必要はない。
併合認定の原則
障害厚生年金における併合認定が行われるためには、前後の障害が1級または2級でなければならない。なお、受給権取得時に1級または2級であれば、その後3級に改定されても差し支えなく、受給権取得当時に3級であってもその後障害の程度が増進して1級または2級になれば併合認定の対象となる。
旧法の障害年金の受給権者に新たに1級または2級の障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した程度に応じて旧法の障害年金額が改定される。

年金額

在職中の平均標準報酬月額と、被保険者期間の月数を基準に、老齢厚生年金の報酬比例部分の額の算式と同様の計算式によって求められる(報酬比例の年金額)。

  • 1級 報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金額
  • 2級 報酬比例の年金額+配偶者の加給年金額
  • 3級 報酬比例の年金額
    • 障害厚生年金の給付事由となった障害について障害基礎年金を受けることができない場合(3級は全員、1,2級も要件により障害基礎年金を受給できない場合を含む)、報酬比例の年金額が「老齢基礎年金の満額の4分の3」(100円未満四捨五入。平成29年度は584,500円)に満たない場合は、最低保障額として「老齢基礎年金の満額の4分の3」の額が障害厚生年金の額となる。
    • 障害の程度が増進した場合、実施機関は審査のうえ額の改定を職権ですることができ、受給権者は実施機関に対し額の改定を請求することができる。ただしこの請求は受給権取得日又は実施機関の審査を受けた日から起算して1年を経過した後でなければ行うことができない(受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合を除く)。なお、障害基礎年金とは異なり、65歳以上の者又は老齢基礎年金の受給権者(繰上支給を含む)で、かつ当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づく障害基礎年金の受給権を有しない者については、額の改定は(職権、請求とも)行われない。つまり、3級の者は全員、1,2級も要件により障害基礎年金を受給できない場合は、障害の程度が増進しても改定請求できないのである。
報酬比例の年金額

老齢厚生年金の報酬比例部分と同様の計算方法である。従前額保障の場合も同様である。詳細は老齢年金#報酬比例部分を参照。

  • 20歳未満の被保険者期間であっても算入する。
  • 計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときは、これを300として計算する
  • 障害認定日の属する月後における被保険者であった期間は、障害厚生年金の額の計算の基礎とはしない。つまり、障害認定日の属する月までの被保険者期間が計算の基礎となる。また、被保険者である(在職中である)受給権者が退職したとしても、老齢厚生年金のような退職時改定は行われない。
  • 障害認定日において2以上の被保険者種別期間を有する者に係る障害厚生年金の額は、当該2以上の被保険者期間を合算し、一の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして障害厚生年金の額を計算する。
加給年金額
1級または2級に該当する者に支給される障害厚生年金には、受給権者によって生計を維持している65歳未満の配偶者(1926(大正15)年4月1日以前生まれの配偶者であれば65歳以上であってもよい)があるときには、加給年金額が加算される(3級の者には加算されない)。なお、配偶者のみが加算対象で、子が何人いても加算対象とはならない。また、老齢厚生年金のような「特別加算」はない。該当する配偶者を有するに至った場合、あるいは配偶者が要件に該当しなくなった場合は、10日以内に所定の届出書を日本年金機構に提出しなければならない(配偶者が65歳に達したため加算が終了する場合は届出不要)。
加算額は原則として「224,700円×改定率」(100円未満四捨五入。2020(令和2)年度は224,900円)である。なお、当該配偶者が障害年金もしくは240月以上の被用者老齢年金を受けることができる場合は、加算額の支給が停止される。
老齢厚生年金の加給年金額とは異なり、受給権取得時に単身者だった者が後に要件を満たした配偶者を有するに至った場合は、その時点から加給年金額が加算される。

支給停止と給付制限

  • 労働基準法による障害補償を受けることができるときは、6年間その支給が停止されることは障害基礎年金と同じであるが、障害厚生年金の支給事由となった傷病以外の傷病によって障害補償を受けても、障害厚生年金は支給停止されない。また、被保険者が在職中であっても支給停止されない。なお失業中に雇用保険における基本手当等を受給しても支給停止されない。
  • 労災保険法の障害(補償)年金、傷病(補償)年金、休業(補償)給付が支給されるときは、障害厚生年金は全額支給され、調整は労災保険の側で行われる。具体的には、障害厚生年金のみの受給の場合、障害(補償)年金は83%、傷病(補償)年金、休業(補償)給付は88%に減じられ、障害厚生年金と障害基礎年金とを併給する場合、、障害(補償)年金、傷病(補償)年金、休業(補償)給付は73%に減じられる。
  • 老齢厚生年金・遺族厚生年金とは異なり、「障害厚生年金」と「それと同一の支給事由に基づいて支給される他の期間に基づく障害厚生年金」とは併給できない
  • 年金一般の給付制限のほか、障害基礎年金と同様の絶対的・相対的給付制限があるほか、障害厚生年金の受給権者が、故意もしくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、その障害の程度を増進させ、又はその回復を妨げたときは、障害厚生年金の額の改定を行わず、又はその者の障害の程度が現に該当する障害等級以下の障害等級に該当するものとして、障害厚生年金の額の改定を行うことができるとされる。
  • 現況届に添付する医師の診断書は、原則として指定日前1月以内(令和元年8月以降は3月以内)に作成されたものでなければならない。
  • 障害共済年金を支給されている場合、共済組合加入中(在職中)は障害共済年金のうち職域加算額の支給が停止される[1]。被用者年金一元化以前の障害共済年金は在職中、年金の一部または全額が支給停止されていたが、障害厚生年金制度に合わせて在職中も支給されるように変更になった[2]
  • 障害共済年金を支給されている場合、かつ、禁錮以上の刑に処せられた場合または停職以上の懲戒処分を受けた場合は障害共済年金のうち職域加算額の支給が5年間停止される[3]。また、禁固以上の刑を執行されている間も職域加算額の支給が停止される。

失権

障害基礎年金・障害厚生年金の受給権は、次のいずれかの場合に消滅する。

  • 受給権者が死亡したとき
  • 障害等級1~3級に該当する障害の状態にない者が65歳に達したとき。ただし、65歳に達した日において、障害等級1~3級に該当しなくなった日から起算して、該当することなく3年を経過していないときを除く。
  • 障害等級1~3級に該当しなくなった日から起算して、該当することなく3年を経過したとき。ただし、当該受給権者が65歳未満であるときを除く。
    • 1994(平成6)年の改正により、障害基礎年金等の受給権者が厚生年金保険法による障害等級(3級以上)に該当しなくなった場合、3年経過後に受給権が消滅する取扱いから、65歳に達するまでは受給権を消滅させない取扱いに変更となった(65歳に達しても、不該当後3年経過しなければ消滅しない)。これに伴い、改正法施行日(1994(平成6)年11月9日)前に障害等級に該当することなく3年経過により受給権が消滅した障害基礎年金のうち、同一の傷病により施行日以降65歳に達する日の前日までの間に障害等級(1級または2級)に該当した者については、その期間内に障害基礎年金の支給を請求することができることとなった。
  • 併合認定により、前後の障害を併合した障害の程度による障害基礎年金・障害厚生年金の受給権を取得したとき(従前の年金の受給権が消滅する)

障害手当金

初診日において厚生年金被保険者であった者(当該初診日の前日において保険料納付要件を満たす者に限る)が、当該初診日から起算して5年を経過する日までの間におけるその傷病の治った日(症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)において、その傷病により政令で定める程度の障害の状態(要は3級よりも軽い程度)にある場合に、一時金として支給される。

支給額は以下のいずれか高い方である。ただし、国民年金厚生年金共済年金による年金たる保険給付の受給権者、労働基準法による障害補償・労災保険法による障害(補償)給付等を受ける権利を有する場合には、障害手当金は支給されない。

  • 報酬比例の年金額の2倍
  • 老齢基礎年金の満額の3/4の2倍

障害の程度と状態

1級・2級は国民年金法施行令別表(厚生年金と共通)、3級・障害手当金については厚生年金保険法施行令別表第一・第二による。なお、障害者手帳の交付要件となる障害等級とは根拠法令や等級表が異なるので、障害者手帳の等級と障害年金の等級とは一致しない場合がある。更に、障害者手帳のない者も該当する場合やその逆もありうるので注意が必要である。

1級
  1. 視力の和が0.04以下のもの
  2. 聴力レベルが100デシベル以上のもの
  3. 上肢の機能に著しい障害を有するもの
  4. 上肢のすべてのを欠くもの
  5. 両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
  6. 下肢の機能に著しい障害を有するもの
  7. 両下肢を足関節以上で欠くもの
  8. 体幹の機能に座っていることができない程度又は立ち上がることができない程度の障害を有するもの
  9. 前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であつて、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
  10. 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
  11. 身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの
2級
  1. 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
  2. 両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの
  3. 平衡機能に著しい障害を有するもの
  4. そしゃくの機能を欠くもの
  5. 音声又は言語機能に著しい障害を有するもの
  6. 両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの
  7. 両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の機能に著しい障害を有するもの
  8. 一上肢の機能に著しい障害を有するもの
  9. 一上肢のすべての指を欠くもの
  10. 一上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
  11. 両下肢のすべての指を欠くもの
  12. 一下肢の機能に著しい障害を有するもの
  13. 一下肢を足関節以上で欠くもの
  14. 体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの
  15. 前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
  16. 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
  17. 身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの
3級
  1. 両眼の視力が0.1以下に減じたもの
  2. 両耳の聴力が、40センチメートル以上では通常の話声を解することができない程度に減じたもの
  3. そしゃく又は言語の機能に相当程度の障害を残すもの
  4. 脊柱の機能に著しい障害を残すもの
  5. 一上肢の三大関節のうち、二関節の用を廃したもの
  6. 一下肢の三大関節のうち、二関節の用を廃したもの
  7. 長管状骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの
  8. 一上肢のおや指及びひとさし指を失つたもの又はおや指若しくはひとさし指を併せ一上肢の三指以上を失つたもの
  9. おや指及びひとさし指を併せ一上肢の四指の用を廃したもの
  10. 一下肢をリスフラン関節以上で失つたもの
  11. 両下肢の十趾の用を廃したもの
  12. 前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
  13. 精神又は神経系統に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
  14. 傷病が治らないで、身体の機能又は精神若しくは神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するものであつて、厚生労働大臣が定めるもの
障害手当金
  1. 両眼の視力が0.6以下に減じたもの
  2. 一眼の視力が0.1以下に減じたもの
  3. 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  4. 両眼による視野が二分の一以上欠損したもの又は両眼の視野が10度以内のもの
  5. 両眼の調節機能及び輻輳機能に著しい障害を残すもの
  6. 一耳の聴力が、耳殻に接しなければ大声による話を解することができない程度に減じたもの
  7. そしやく又は言語の機能に障害を残すもの
  8. を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
  9. 脊柱の機能に障害を残すもの
  10. 一上肢の三大関節のうち、一関節に著しい機能障害を残すもの
  11. 一下肢の三大関節のうち、一関節に著しい機能障害を残すもの
  12. 一下肢を三センチメートル以上短縮したもの
  13. 長管状骨に著しい転位変形を残すもの
  14. 一上肢の二指以上を失つたもの
  15. 一上肢のひとさし指を失つたもの
  16. 一上肢の三指以上の用を廃したもの
  17. ひとさし指を併せ一上肢の二指の用を廃したもの
  18. 一上肢のおや指の用を廃したもの
  19. 一下肢の第一趾又は他の四趾以上を失つたもの
  20. 一下肢の五趾の用を廃したもの
  21. 前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
  22. 精神又は神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
備考
  1. 視力の測定は、万国式試視力表によるものとし、屈折異常があるものについては、矯正視力によって測定する。
  2. 指を失つたものとは、おや指は指節間関節、その他の指は近位指節間関節以上を失つたものをいう。
  3. 指の用を廃したものとは、指の末節の半分以上を失い、又は中手指節関節若しくは近位指節間関節(おや指にあつては指節間関節)に著しい運動障害を残すものをいう。
  4. 趾を失つたものとは、その全部を失つたものをいう。
  5. 趾の用を廃したものとは、第一趾は末節の半分以上、その他の趾は遠位趾節間関節以上を失つたもの又は中足趾節関節若しくは近位趾節間関節(第一趾にあつては趾節間関節)に著しい運動障害を残すものをいう。

精神の障害 (一部抜粋)

A 統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分(感情)障害

1級
  1. 統合失調症によるものにあっては、高度の残遺状態又は高度の病状があるため高度の人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験が著明なため、常時の援助が必要なもの
  2. 気分(感情)障害によるものにあっては、高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの
2級
  1. 統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は病状があるため人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるため、日常生活が著しい制限を受けるもの
  2. 気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの
3級
  1. 統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は病状があり、人格変化の程度は著しくないが、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があり、労働が制限を受けるもの
  2. 気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したり又は繰り返し、労働が制限を受けるもの

特別障害給付金

制定の背景

旧法下では20歳以上の学生や配偶者(多くはいわゆる専業主婦)が強制加入の対象者ではなかった(配偶者の強制加入は1986年4月、学生の強制加入は1991年4月から)。このため旧法下で、20歳以上で任意加入対象期間中の国民年金に任意加入しなかった期間に初診日があり、新法下における障害の状態に該当したにも関わらず、障害基礎年金の受給資格が得られず、支給を受けられない者が生じた(未加入者問題)。これに対して、全国各地で訴訟が提起され、下級審判決の中で、支給しないことを違法とするものも現れた。これを受けて、2004年特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律が新設され、一定の要件の下で、旧法下での未加入者に対して、給付金が支給されるようになった。

なお、新法下での年金未納者については、特別障害給付金制度による救済は受けられない(年金未納問題参照)。厳密に考える場合、特別障害給付金は福祉的観点で給付される給付金であり障害年金ではない。また障害年金としてでなく年金とも異なるものである。

対象者

  • 1991年(平成3年)3月31日以前に、学生であり任意加入しなかった期間、または、1986年(昭和61年)3月31日以前に、第2号被保険者の配偶者であり任意加入しなかった期間に、初診日がある者。
  • 65歳到達日前に、障害基礎年金による障害の状態に該当し、現在障害の状態にあること(原則として、65歳に達する日の前日までに請求しなければならないが、平成17年4月1日時点で65歳を超えている者については、平成22年3月31日まで請求を行うことができ、平成17年4月1日以降から間もなく65歳に達する者は、65歳を超えてから一定期間は請求を行うことができる経過措置がある)。

受給額

平成29年(2017年)度は以下の通り[4]。請求の翌月からが受給対象となり、遡りはない。尚、この特別障害給付金に関しては全額が国庫負担であるため、受給者の所得によっては「20歳前傷病による障害基礎年金」と同じく給付金の全額相当額および2分の1相当額が支給停止される。老齢年金、遺族年金、労災補償等を受給している場合には、その受給額分を差し引いた額が支給され、老齢年金等の額が特別障害給付金の額を上回る場合は、特別障害給付金は支給されない。給付金の支給を受けた者は、申請により国民年金保険料の免除を受けることができる。

  • 障害基礎年金1級相当(月額) 51,400円(2級の1.25倍)
  • 障害基礎年金2級相当(月額) 41,120円

残された問題

特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律の新設によって、未加入者問題の救済が図られたが、なお、20歳前傷病者との区別に合理性があるか、日本国憲法第14条1項の定める平等原則との関連等で、議論が残されている。

また、年金制度全体についていえることだが、生活保護と比較しても、国民年金や障害基礎年金の額が、生活保護費より低い金額である事(生活保護制度との逆転現象問題)で、障害年金の支給金額が日本国憲法第25条の文化的で必要最低限の生活が出来る十分な金額であるかについもて、医療費亡国論との兼ね合い議論がある。

障害年金は老齢年金と異なり、受給するには被保険者(であった者)の請求申請が必要である。このため、請求すれば障害年金を受給できるのに、請求手続きをしていない障害者が相当数いると見られている。厚生労働省の調査では、身体障害者手帳を持つ20歳以上の人のうち、障害年金を受給できるのに請求手続きをしていない人が、全体の0.4%程度に上ることが明らかになった[5][6]

この調査では、精神障害者知的障害者は対象になっておらず、両者を加えれば、障害年金全体の請求漏れは2万人を上回る可能性が高いと指摘されている。未受給の原因として、「疾病に起因するものは対象にならないと思っている」「初診日特定の問題」「認定基準がわかりにくい」との指摘があり、制度の周知が大きな課題となっている。

また平成17年以降、精神障害者でそれまでの基準の2級に該当する人が、3級に降格または不支給に認定となり、障害基礎年金3級は不支給となっている。なおこの措置は認定基準が変わらないで、現場判断で支給が厳しくなっている[7]

それまで障害年金を受給していた人が、判断基準も明確に示されないまま、更新の際に障害年金の受給が却下されることに対する不服申立ては、年々増加傾向にある。背景には、日本国政府による社会保障費削減の流れの中で、障害年金支給判断の厳格化があると言われている[8]

また2015年(平成27年)1月4日には、障害基礎年金の受給条件に著しいばらつきがあり、都道府県日本年金機構都道府県事務センターによって、支給基準が緩やかな栃木県と厳しい大分県で6.1倍の格差があり、審査基準に都道府県間の地域間格差が存在することが、共同通信社情報公開請求で発覚し[9]、全国一律の支給基準作成を検討する審議会が、厚生労働省年金局の審議会にて議論された。

その結果「障害基礎年金」は、障害厚生年金と同じく、東京都新宿区にある事務センターにて、全国一括で支給審査を行うことになった。

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 条文上でいう「○○歳に達する(達した)日」とは、年齢計算ニ関スル法律の規定により、○○歳の誕生日の前日を指す。

出典

  1. ^ 平成27年9月以前に受給権が発生した共済年金 FAQ 障害共済年金は在職中でも支給されるのでしょうか。”. 国家公務員共済組合連合会. 2021年11月11日閲覧。
  2. ^ [解説]被用者年金一元化 (PDF)”. 東京都職員共済組合. 2021年11月16日閲覧。
  3. ^ 年金の給付制限”. 全国市町村職員共済組合連合会. 2021年11月16日閲覧。給付制限”. 日本私立学校振興・共済事業団. 2021年11月16日閲覧。
  4. ^ 特別障害給付金制度”. 日本年金機構 (2016年4月1日). 2016年4月4日閲覧。
  5. ^ 障害年金、請求漏れ2万人 厚労省調査 〜その対策は?
  6. ^ 衆議院議員長妻昭君提出障害年金に関する質問に対する答弁書
  7. ^ “障害年金判定に地域差 12年度不支給率、佐賀は最高”. 佐賀新聞 (共同通信). (2014年8月25日). オリジナルの2015年1月1日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150101031427/http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/97398 2017年10月24日閲覧。 
  8. ^ 千葉日報 2015年7月21日 1面
  9. ^ “【障害年金の審査に地域差】 「誤判定、確実に存在」 現場の医師、国に不満”. 47NEWS (共同通信). (2015年1月4日). オリジナルの2017年10月25日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20171025022048/http://www.47news.jp/47topics/e/260744.php 2018年2月3日閲覧。 

関連項目

外部リンク


 

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