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🌏|米、ランサムウエア攻撃でのデジタル通貨利用巡り制裁検討=報道


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米、ランサムウエア攻撃でのデジタル通貨利用巡り制裁検討=報道

 
内容をざっくり書くと
報道では、年内に予定されているマネーロンダリング(資金洗浄)防止やテロリストの財源に関する新規則は、ランサムウエア攻撃など違法行為に対する身代金支払いに暗号資産(仮想通貨)を使用することを制限することを目的としているとした。
 

[17日 ロイター] – ランサムウエア(身代金要求型の不正プログラム)攻撃による身代金支払いにデジ… →このまま続きを読む

 ロイター


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資金洗浄

資金洗浄(しきんせんじょう、: money laundering、マネー・ロンダリング[注釈 1])とは、規制薬物取引、盗品などの贓物(ぞうぶつ)取引、身代金詐欺違法賭博脱税粉飾決算裏金偽札などの犯罪行為によって得た現金(汚い資金)から、出所を消し(汚れを洗い流し)、正当な手段で得た資金と見せかける(綺麗に見せかける)ことである。捜査機関による口座凍結差押摘発徴税等を逃れる目的で行う。犯罪資金を資金洗浄せずに使用した事が切っ掛けで、犯罪者が検挙されることがある[5]

アル・カポネマイヤー・ランスキーが(三段階の)資金洗浄を草分けた[6]。段階は順に、プレースメント(預入)、レイヤリング(分別)、インテグレーション(統合)である[7]。レイヤリングは電子送金をふくむ[注釈 2]。2009年に国連薬物犯罪事務所が報告した数値によると、犯罪収益は全世界国内総生産の3.6%を占め、2.7%(1.6兆USドル)が資金洗浄されている[9]世界金融危機で流動資産を必要とした金融機関に、犯罪収益が資金洗浄のため供給された[10]

預入・分別・統合

資金洗浄では、金融機関架空口座等を利用し転々と送金を繰り返したり、債券株式を購入したり、古典的な方法としては大口寄付をしたり、海外送金し架空ビジネスに利益計上させて国内に戻したり、合法的な財産と混和させるなどの方法が採られる[5][1]。銀行口座または投資信託で分散投資をするのがプレースメント(預入)である。それをたとえばオフショア市場でロールオーバーすればレイヤリング(分別)となる。架空事業への計上や合法資産との混和についてはインテグレーション(統合)に該当する。

預入・分別・統合は、資金洗浄の典型的手段である。実施が左から順に行われるとする文献は存在するが、通常は別々にあるいは同時に進める。 プレースメントとは、犯罪行為から得られた一定の現金を、金融システムあるいは合法的な商業サービスへと物理的に預け入れることを指す。プレースメントはストラクチャリングをふくむ。ストラクチャリングとは、大きな金額の現金取引を、複数の小口取引に分割することによって、大口取引報告や疑わしい取引報告及び、その記録保持の網から逃れる手続きを指す。 レイヤーリングは、現金の出所を、幾つかの金融機関との取引を通すことによって、犯罪活動という大元から分離することを指す。当然に、取引はプレースメントされた口座で実施される。 インテグレーションは、違法行為によって得られた資金と合法的に得られた資金を統合し、所有権について合法的な根拠を持たせることを指す。[7]

なお、資金洗浄は必ずしも金融機関を利用しない[11]。他にも送金の手段と宛ては多いからである[注釈 3]。ネット決済サービスを使い、さらに合法的な商取引を媒介することによって送金を達成するスキームは「托卵法」と呼ばれている[12][13][注釈 4]

注目された実例

資金洗浄の実例を通史概観した資料は入手困難である[注釈 5]ナチスドイツ第二次世界大戦の間に占領地で金塊を略奪した(Nazi Gold)。その100トン近くがスイス銀行で資金洗浄されたといわれている[15]

規制の黎明期である1980年代の摘発例は、しばしば実行者の個人名で記録が残っている。これを防げなかった金融機関は一部のケースで名指しをされているが、事件記録では特に追及されていない。そのかわり、たとえばスイス議会で問題となり、法律を整備する根拠となった。フェルディナンド・マルコス元フィリピン大統領は、資金洗浄にスイス銀行を利用して世界史に名前を刻んだ[16]。一方、アメリカ両大陸ではラテンアメリカの債務危機で巨額の資産が目まぐるしく移動していた。このような舞台でイサーク・カッタン(Isaac Kattan)などが南米の麻薬マネーを「洗濯」した[17][18]オーストラリアのニューガン・ハンド・バンク(Nugan Hand Bank)は、中央情報局と関係しタークス・カイコス諸島で資金洗浄をしていた[19][注釈 6]

例外として金融機関が焦点化したのは、中東のオイルマネーが支配するカプコン(Capcom)とイギリスのBCCI(国際商業信用銀行)が麻薬マネーを資金洗浄した容疑である[17][21][22]証券化の急進地であるシカゴと、ビッグバンを推進するシティ・オブ・ロンドンの不名誉な接点が浮き出た。BCCIは1990年に1130万ポンドの制裁を受けたが、BCCIに対する調査は翌1991年になってイングランド銀行の命令でプライスウォーターハウスが行い、数年間にわたる広範な金融犯罪の証拠を報告した[23]。BCCIは、1991年に倒産したが、BCCIが行った200億ドルにのぼる資金洗浄の総額は、2018年にダンスケ銀行の2000億ユーロに及ぶ資金洗浄疑惑が浮上するまで最高額となっていた[24]

1990年代には資金洗浄の実行者と金融機関の関係が不可分とみられるような事件が起きた。まず、リッグス銀行(旧第二合衆国銀行)はチリのアウグスト・ピノチェトを得意先としていたが、その関係を隠すために不動産取引を利用していたので、銀行秘書法により制裁金を課された[17][25]。2005年1月に同行は1600万ドルを命令されている[26]。スペインでも800万ドルの和解金を払うことになった。バンダル・ビン・スルターンBAEシステムズから受けた賄賂を同行で資金洗浄したことなども追及された。そして、バンク・オブ・ニューヨークエドモンド・サフラのリパブリック銀行が違法取引をしている容疑で1999年に捜査をうけ、資金洗浄の痕跡を発見された[注釈 7]。事件は合衆国上院の委員会(Permanent Subcommittee on Investigations)で305ページという分厚い報告書にまとめられた(Correspondent Banking: A Gateway to Money Laundering[注釈 8]

1990年代には移民による送金が資金洗浄の手段に使われ、バラカートが規制の果てに営業を停止した[30]

国際規制年表

  • 1986年10月27日 アメリカ合衆国連邦法としてマネロン規制法(Money Laundering Control Act)が発効。それまでは銀行秘書法(Bank Secrecy Act)でしか資金洗浄は規制されていなかった[31]。1960年代から麻薬価格の上昇と機関化現象の進行にともなって、資金洗浄は旨みを増し手口を複雑化させていた。
  • 1988年12月 「麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約」(ウィーン条約)(麻薬新条約)採択。
  • 1989年7月 アルシュ・サミット開催(フランス)。金融活動作業部会(FATF)設立。[7]
  • 1990年4月 FATF、資金洗浄対策に関する「40の勧告」提言(1996年に改訂)[7]
  • 1990年8月1日 スイス刑法305条の2「資金の洗浄」および同条の3「金融業における注意の欠如」が施行された[32]
  • 1992年7月 麻薬特例法に各種マネロン対策規定が盛り込まれた[33]
  • 1995年6月 ハリファクス・サミット開催(カナダ)。薬物犯罪以外の重大犯罪に関する資金洗浄対策についても討議。
  • 1996年6月 FATF「40の勧告」改訂[7] マネー・ローンダリング対策を、薬物犯罪からそれ以外の重大犯罪に拡大した。
  • 1998年5月 バーミンガム・サミット開催(イギリス)。先進国間で、資金洗浄情報分析機関(FIU[注釈 9])の設置に合意[33]
  • 2000年2月 日本政府が、金融監督庁(現在の金融庁)のもとに「特定金融情報室」を設置。
  • 2000年6月 FATF、資金洗浄対策に非協力的な15カ国・地域(Non-Cooperative Countries and Territories, 一覧)を公表。
  • 2000年11月 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(TOC条約、パレルモ条約)
  • 2001年10月 9.11米国同時多発テロを契機に[注釈 10]、テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約 

         FATF臨時総会、テロ資金供与に関する「8つの特別勧告」[7]

  • 2002年12月 8000万ドル超の麻薬マネーがマン島などの生命保険に使われた事実が報道される[34]
  • 2003年6月 FATF「40の勧告」改訂 非金融業者(不動産・貴金属・宝石等取扱業者等)、職業的専門家(法律家・会計士等)に対して、疑わしい報告義務を課す[7]。秋から合衆国で政界を巻き込み生保・投信スキャンダル。
  • 2005年12月 ABNアムロ銀行に8000万ドルの制裁金、マネロン防止規制違反[35]。同行取引先にバンク・オブ・ニューヨークとリパブリック銀行[36]。ファースト・マーチャント(First Merchant Bank)が調査の切り口に[17]
  • 2006年10月 FATF、資金洗浄対策に非協力的で、特別の注意を払うべき国や地域は、無くなったと発表した[37]
  • 2007年4月 犯罪収益移転防止法の一部施行を受け、FIUが金融庁から国家公安委員会へ移管。
  • 2007年8月 アメリカン・エキスプレスに制裁金6500万ドル、子会社の銀行(AEBI)がマネロン防止規制違反[38][17]

マネロン危機

年表につづく世界金融危機は、シャドー・バンキング危機であると同時にマネロン危機でもあった。年金の目減り、公的資金の注入、労働市場の悪化、(合併による)顧客情報の集約、それら一切のグローバル化。不条理は金融の意義を問う契機となった。2009年5月に『バチカン株式会社(Vaticano S. p. A.)』が出版され、宗教事業協会の資金洗浄に関する証拠書類を暴露した。この書籍は年表以前の状況にも言及し、多くの人々を啓蒙した。2010年、ワコビアの2925億ポンドともいわれる資金洗浄が摘発された[23][39]。この2010年には、年金と生命保険を通じた資金洗浄をテーマとする報告書も発表された[40]

『マネーロンダリングの代理人 暴かれた巨大決済会社の暗部(徳間書店 2002年、原題Révélation$)』の著者ドゥニ・ロベール(Denis Robert)は、資金洗浄に対する国際証券集中保管機関の脆弱性を世に知らしめ、クリアストリームおよび関係金融機関から名誉毀損で幾重にも訴えられていたが、2011年2月3日を最後に全てを退け、フランスのジャーナリズムを鼓舞した。クリアストリームとの紛争において、裁判所はクリアストリームに56000ユーロを超える被告側の訴訟費用を負担させた。[41]

2012年は老舗に災難がふりかかった。スタンダードチャータード銀行がマネロン規制に反してイラン政府を助けたのを、ニューヨーク州金融サービス局(New York State Department of Financial Services)が同年8月にとがめた[23]。2014年に同局は制裁金3億ドルを命令した。もう一つの事件は国際為替指標と関わって世界から非難を浴びた。HSBCLIBORの不正操作と資金洗浄を並行して捜査されて、後者においては制裁金12億ポンドを命令された[23][42]

2013年5月28日、米ネット決済サービス英語版が起訴された事件が報道され、犯罪者が同サービスを利用して60億ドルを資金洗浄したことも付け加えられた[43][44]。6月、三菱UFJ銀行がニューヨーク州のマネロン規制違反で2.5億ドルを支払うことに合意した[45]。8月から米司法省が本腰を入れて銀行群を捜査するようになった[46]。同年8月にはジェームズ・ジョセフ・バルジャーが資金洗浄をふくむ罪で起訴され、11月に終身刑を言い渡された。もはやボストンは金融の聖域といえなくなった。

2014年1月、ビットコイン財団の副会長チャーリー・シレム(Charlie Shrem)が資金洗浄容疑により逮捕された[47]

2015年1月、オッペンハイマー・ホールディングスがマネロン規制違反で2000万ドルの制裁金を科された[48]。同年3月、コメルツ銀行がマネロン規制違反でアメリカ当局から制裁金14.5億ドル請求、2013年に元行員(Chan Ming Fon)がオリンパス事件に関与した事実を認めており、それから同行に対する調査は加速した[49][50]。同3月、アンドラの銀行(Banca Privada d'Andorra)もロシア、中国ベネズエラの犯罪者が資金洗浄のため利用している容疑をアメリカ当局からかけられていた[51]。同年5月から取りざたされたFIFA汚職事件ではスイス当局が、資金洗浄の可能性がある53事件と、スイス銀行口座の不審な取引104件を調べ[52]重大不正捜査局も捜査に参加した[53]。6月、ロシアの顧客が資金洗浄にドイツ銀行を利用した容疑で進められている調査が総額を60億ドルと見積もった[54]。7月2日、1マレーシア・デベロップメント・ブルハド(1MDB)からマレーシア首相の個人口座へ7億ドルほどが振り込まれた公文書記録が報じられた[55]。この事件は欧州を巻き込む国際捜査に発展し、パナマ文書ともリンクしてマネロン規制違反が追及されるきっかけとなった。10月、ホンジュラスの経済を支配するコンチネンタル銀行(Banco Continental)が同国当局の管理するところとなり、アメリカ当局が預金されている麻薬マネーを追及した後に、ホンジュラス当局が清算を指揮することになった[56]。11月、ABNアムロ銀行ドバイ支店がマネロン規制違反で罰金64万ドルを科されていたことが報じられた[57]

2016年5月、麻薬王ニゲル・ウェイキッド(Nidal Waked)とその父親(Abdul)がコロンビアで逮捕された。彼らが凍結された資産の預け先に、パナマのバルボア銀行(Balboa Bank and Trust)があった[58]。7月、HSBCはジョージ・オズボーンの仲介で資金洗浄をめぐる刑事訴追を免れることになった[59]。この対価は巨額の和解金と営業制限であった。

2017年5月、シティグループがバナメックスがらみの資金洗浄で9740万ドルの和解金を積んだ[60]。7月、ソシエテ・ジェネラルがマネロン規制違反で500万ユーロの罰金を科された[61]。12月、1MDBの捜査線上でJPモルガン・チェースのスイス支店がマネロン規制に対して重大な違反をしていたことが明らかとなった[62]

2018年2月、ラボバンクが資金洗浄を許したかどで、銀行秘書法違反により3.6億ドル超を支払うことになった[63]。6月、オーストラリア・コモンウェルス銀行がマネロン規制違反で7億ドルを支払うことに合意した[64]。9月、INGグループがマネロン規制違反で9億ドルの罰金を科された[65]。10月、ダンスケ銀行が資金洗浄をめぐりアメリカ当局の調査を受け入れ[66]キャピタル・ワンがマネロン規制違反で1億ドル超の罰金を科された[67]

日本の資金洗浄

FATFによるチェック

1989年アルシュ・サミットの合意により設置された金融活動作業部会(FATF)は、日本の資金洗浄対策について厳しい指摘を投げかけ続けている。2008年に行われた第3次審査では、取引相手の法人を誰が実質的に支配しているかを十分確認できていないなど49項目中25項目が要改善という厳しい内容となったほか、2014年の定期会合でも、日本の資金洗浄対策に不備があることが指摘されている[68][69]

こうした状況を踏まえ、「新40の勧告」(第4次勧告)に基づいた勧告の遵守状況に関する審査が行われる、2019年の第四次対日相互審査実施前に金融庁では、「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」を制定し、金融機関等にリスクベース・アプローチ(RBA)に基づく態勢整備を促すとともに、その実施状況のモニタリングを行うなどの対応を推進している[70]

日本での規制

規制薬物取引に関する資金洗浄行為は「麻薬特例法」(平成3年法律第94号)、その他の資金洗浄行為および組織的な資金洗浄行為(不法資金による会社乗っ取り行為など)は、「組織的犯罪処罰法」(平成11年法律第136号)により、それぞれ禁止されている。

2004年には、シティグループ傘下のシティバンク、エヌ・エイ在日支店プライベートバンキング部門において、融資と債権の違法な抱き合わせ販売や株価操作のための資金提供、組織犯罪関係者の資金洗浄の手助けや匿名口座と知りながら大口顧客の口座開設などを行った不祥事が金融庁に摘発され、拠点の認可取り消しなど、金融庁の厳しい行政処分が行われたと同時に同部門の閉鎖、全面撤退が行われた(シティバンク、エヌ・エイ在日支店に対する行政処分について)。[注釈 11]

そこで、2007年1月4日から本人確認法施行令等が一部改正され、現金でのATM振り込み限度額が一回につき10万円に引き下げられ、10万円を超える現金での振込みを行う際には、銀行窓口にて身分証明書を提示することが義務付けられた。

また、2003年に改訂されたFATF「40の勧告」を日本国内において実施することを目的として、2007年4月1日、犯罪収益移転防止法が一部施行された。これにより、従来金融庁に設置されていたFIU(特定金融情報室)が国家公安委員会警察庁刑事局組織犯罪対策部犯罪収益移転防止管理官)に移管された。

2007年9月、山口組五菱会系の闇金融グループによる資金洗浄で、不正な海外送金を幇助したという容疑者(クレディ・スイス香港支店の元行員)の無罪が確定[33]。犯罪収益の認識を欠いて構成要件に該当しなかったという。

2002年に学校法人帝京大学が、7年間で150億円の裏口入学のための入学金寄付金を集め、そのうちの65億円をグループ内の法人に所得隠ししていた事件がある。

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ ニ・ーンダリング(英語発音: [ˈmʌnɪ ˈlɔːndərɪŋ])。金融庁・警察庁などの公的文書[1][2]では「マネー・ローンダリング」で統一されており、経済産業省では「マネー・ロンダリング」[3]、外務省[4]・報道では「マネーロンダリング」の使用が多く、「資金洗浄」単体での表記はまれである。略称は「マネロン」。
  2. ^ リアルマネートレーディング(RMT)行為などの悪用に対する懸念が根強い。さらに仮想通貨を使う方法も発生している。[8]
  3. ^ ハワラマネーミュールも参照されたい。
  4. ^ インドではダイヤモンド取引が資金洗浄に利用されている[14]。インドはデビアスの凋落以来ダイヤモンド輸入国である。インドではないが、2016年12月にダイヤモンド商人スタインメッツ(Beny Steinmetz)が資金洗浄の疑いで逮捕された。
  5. ^ この現状が防犯に必ずしも資さないため、断片的な情報を渉猟・整理した。
  6. ^ 黒幕は、合衆国の経済利権としてフェアファックス(Fairfax Media)を育てたマーシャル・グリーン(Marshall Green)と、1975年11月の証券危機に働きかけたというテッド・シャックレー(Theodore Shackley)であると考えられている[20]
  7. ^ バンク・オブ・ニューヨークの元副社長ルーシー・エドワーズと、その夫ピーター・バーリンが手口に言及している[27]ロシア連邦中央銀行総裁(Viktor Melnikov)の説明では、ロシア財政危機の1998年にロシアの犯罪者ナウルで700億ドルほどを資金洗浄したという[28]
  8. ^ ブラディミロ・モンテシノスがバンク・オブ・ニューヨークに少なくとも二つの口座をもっており[17]、これをふくむ海外預金残高は1000万ドルにもなるとフジモリ大統領が説明した[29]
  9. ^ Financial Intelligence Unit
  10. ^ 国際テロリズム組織「アルカーイダ」が資金洗浄行為を行っていたという疑惑が浮上し、アメリカ合衆国連邦政府の命令で、各国の金融機関がテロリストのメンバーの口座を凍結する事となった。欧州が同調したのはクリアストリーム事件も念頭にあった。
  11. ^ なお、この際の業務改善が不十分であったとして、同行在日支店の後身となるシティバンク銀行が2009年に(前身を含めれば再び)行政処分を受け、個人金融部門の販売業務が1か月停止された(シティバンク銀行株式会社に対する行政処分について)。

出典

  1. ^ a b 金融庁特定金融情報室「マネーロンダリング対策」
  2. ^ JAFICと国際機関等の連携(警察庁)
  3. ^ 「マネー・ロンダリング対策」について鉱物資源政策 (経済産業省資源エネルギー庁)
  4. ^ 国際組織犯罪に対する国際社会と日本の取組(外務省)
  5. ^ a b 被害額が大きい投資系の振り込め詐欺。その「資金浄化」のトリックとテクニックは?(日経BP)
  6. ^ Wikileaks, Re: List of Money Laundering Examples, Released on 2013-02-13 00:00 GMT
  7. ^ a b c d e f g 尾崎寛 「米国の反マネーロンダリング規制について」 安全保障貿易情報センター 2008年3月22日
  8. ^ 2018年3月のG20で仮想通貨による資金洗浄対策強化で意見の一致
  9. ^ FATF, "How much money is laundered per year?", Retrieved Oct. 23, 2018
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  13. ^ Edward Greaves, Cuckoo Smurfing
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  18. ^ New York Times, SUSPECT HELD ON $10 MILLION BOND IN A CRACKDOWN ON DRUGS IN MIAMI, FEB. 28, 1981
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  68. ^ コラム:金融株の「ブラックスワン」、マネロン200兆円の闇=大槻奈那氏”. ロイター (2018年12月27日). 2018年12月29日閲覧。
  69. ^ 今月のキーワード 金融活動作業部会 (PDF)”. みずほ総合研究所 (2014年). 2018年12月29日閲覧。
  70. ^ 「待ったなしのマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策」第1回(全4回)東京商工リサーチ 2019年1月31日

外部リンク

違法性

違法性(いほうせい、: Criminal defenses)とは、形式的には、法規範に反している性質をいう。ただし、違法性の本質については後述のように争いがあり、それに従って定義(特に、実質的な意味における違法性の定義)も変わる。

不法性との区別

違法性は行為もしくは状態が法令に違反していることをさす(例えば刑法など)。一方、法令に対する違反とかかわりなく、単に道徳上非難されるべきにとどまるもしくは民事的事案の場合(不法行為も参照)、不当な行為であっても、違法とはいえない。『不法』も『違法』もおおむね同義で用いられるが、どちらかといえば、『違法』は法律的、『不法』は実質的・主観的観念に重きを置いた場合に用いられることが多い[1]

法分野間の違法の相対性(一元論と多元論)

例えば、民事法上、違法・不法と評価される行為は、刑事法上も違法・不法と評価されるべきか、それとも、一方では違法とされ、他方では適法とされることも許されるのか、という問題について、見解が対立している。

違法一元論は、全ての法において、違法・適法の判断は統一的な基準によって行われると考える見解である。

違法多元論は、各法分野において、違法・適法の判断基準が異なってもよいとする見解である。

違法多元論によれば、例えば、刑法上の違法は、法秩序全体の中で違法とされるもののうち、刑罰をもって臨むにふさわしいといえる程度の違法性(可罰的違法性)が認められる場合にのみ肯定されなければならない(例えば、民事法上の損害賠償責任を負う者が、それを理由として、刑罰を科されるいわれはない)、という結論を導くことが可能となる。

他方、違法一元論によれば、こうした理解は論理的に不可能であり、それは不都合であると批判される。しかしながら、違法一元論によっても、ある行為が違法と評価された場合、その行為は刑法上も違法ではあるが、それにどのような法的効果を認めるかについては、なお、刑法上の問題として留保されている(刑法上も違法であるからといって、これを必ず罰しなければならないわけではない)。違法多元説によって導かれる妥当な結論は、違法性を多元的に理解せずとも、違法に対応する法的効果に多元性を認めれば、同様に導くことができる、との反批判である。

刑法における違法性

多元論によれば、他の法令に違反する行為でも、それが刑法的にも違法と評価されるかは、別問題ということになる。

形式的違法性論と実質的違法性論

違法性とは、ある行為が法規範に違反することと解するのが形式的違法性(:formelle Rechtswidrigkeit)論である。これは、実定法主義に立脚するものであって、(Adolf Merkel)やビンディングによって提唱された。

しかし、形式的違法性論は、「法に反することが違法である」ということを意味するのみで、何ら違法性の実体を明らかにしない。そこで、形式的な法規範違反ではない、より実質的な意味での違法性、すなわち実質的違法性(:materielle Rechtswidrigkeit)が探求されるようになった。

実質的違法性論の内容は、論者によって相当に異なる。例えば、フランツ・フォン・リストによれば、社会侵害的な挙動・法益への侵害又は脅威が、M・E・マイヤー(M.E.Mayer)によれば、国家の承認した文化規範(Kulturnorm)と相容れない態度が、それぞれ(実質的)違法性の内容であるとされている。上記リストの見解を法益侵害説、マイヤーの見解を規範違反説という場合があり、それぞれ、結果無価値論、行為無価値論に関連する。

客観的違法論と主観的違法論

刑法上の違法性の本質について、かつては、客観的違法論主観的違法論との対立がみられた。古典派刑法学(旧派)の立場からは客観的違法論が、近代派刑法学(新派)の立場からは主観的違法論が支持され、学派の争いの中で盛んに論争が繰り広げられていたのである。

客観的違法論と、主観的違法論とは、法を評価規範と見るか、命令規範と見るかについて、見解を異にする。

客観的違法論(客観主義)は、客観的な評価規範である法規範に、客観的に違反することが違法であるとする立場である。これによれば、責任能力のない者の行為であっても、違法と評価されうることになるし、極論すると、人間以外の動物の行動や自然現象についても、違法との評価を下し得る。

主観的違法論(主観主義)は、行為者に対する命令規範であるところの法規範について、その命令を理解しながら、自らの意思により行動して違反することが違法であるとする立場である。これによれば、責任能力のない者の行為は、違法と評価することができない(当然、人の行為ではない自然現象を違法と評価することはない)。

元来、客観的違法性論は、伝統的学説の見解であったが、19世紀後半から、(Adolf Merkel)が提唱した主観的違法性論の立場から批判を受け、主観的違法論も支持を集めた。しかしながら、ルドルフ・フォン・イェーリング、(E.Mezger)らが客観的違法性論の側から反論を試みた結果、主観的違法性論は徐々に支持者を失い、客観的違法性論が支配的見解となった。

この客観的違法性論によれば、刑法規範は、評価規範決定規範の二つの側面を有し、評価規範への違背が違法であり、決定規範への違背が責任であるとされる。

結果無価値と行為無価値

客観的違法性論(客観主義)が主流となる中で、今度は、その内部において、違法性の実質をめぐる対立が顕在化するようになった。すなわち、違法性の実質について、法益侵害説(結果無価値論)と規範違反説(行為無価値論)の対立である(それぞれの詳細は、結果無価値行為無価値を参照。)。

結果無価値論とは、違法性の実質を、結果無価値(Erfolgsunwert)、すなわち、行為によって惹起された結果への否定的評価であるとする見解であり、違法性の実質を法益の侵害及び危殆化と理解する法益侵害説と同視される。例えば殺人罪についてみれば、既遂の場合は人の死という結果、未遂の場合は人の死という既遂結果惹起の危険という結果を生じさせることが違法であると考える。

行為無価値論とは、違法性の実質を、行為無価値(Handlungsunwert)、すなわち、結果とは切り離された狭義の行為(Handlung)それ自体への否定的評価であると理解する見解であり、違法性の実質を行為の反規範性と理解する規範違反説と同視される。例えば殺人未遂罪についてみれば、人を殺しかねないような行為の悪性(殺意とその行為態様)が違法性を基礎づけると考える。

さらに、刑法の目的を法益保護に求めるという点では結果無価値論を受け入れつつも、それに加えて行為無価値をも考慮して違法性を理解する立場があり、これは、折衷的行為無価値論二元的行為無価値論、または単に二元論ともいわれる。単に「行為無価値論」という場合、この二元論を指していることがほとんどである。

体系的地位

ドイツの刑法理論においては、犯罪が成立するか否かは、構成要件該当性、違法性、有責性という3段階の判断を経て行われる(三分論)。

構成要件に該当する行為は、原則として違法であるとされるが、例外的に、正当防衛や、緊急避難の場合には、違法性ないと評価され(違法性阻却)、その行為は犯罪とならない。このように、違法性が存在しないことを基礎づける事情のことを、違法性阻却事由という。

この違法性阻却事由を、構成要件要素(消極的構成要件要素)に位置づける見解もある(ドイツの通説、井田良)。

日本における違法性論

刑法における違法性

日本においては、団藤重光以来、行為無価値論が伝統的通説であるとされてきた。ただし、日本において「行為無価値論」と呼ばれている見解のほとんど全てが、結果無価値と行為無価値の両方を違法性の本質として承認する二元論であり、行為無価値のみを違法性の実質として理解する見解(かつてドイツにおいて通説的地位を占めた一元的行為無価値論)とは異なる。

学界において、行為無価値論は、道徳を刑法的にも保護する考えであるとの批判が加えられた。その中心的人物が平野龍一であり、彼の支持する結果無価値論は支持を拡大し、極めて強力に主張されるに至った[2]

違法性論の結論への影響と判例

結果無価値論と行為無価値論とは、しばしば激しく対立し、行為無価値論(二元論)のほうが処罰を若干広く行う傾向があると指摘されることもあるが、しばしば違法性論から演繹的に結論が導かれるかのように説明される争点についても、実際には違法性論とは異なるところでの見解の相違が結論の差異を生じているとの指摘がある[3]ため、一概に、行為無価値論だから処罰範囲が拡大する、とはいえない[独自研究?]

日本の判例・実務は、行為無価値論に則っているとされるが、判決文において明らかにされているわけではないし、結論において一致する学説が、必ずしも行為無価値論に立脚するとは限らない。

不法行為法における違法性

日本の民法709条以下に規定されている不法行為において、「違法性」が独立の成立要件となるとする見解もあるが、批判もある。「違法性」は独立した成立要件になるとする見解が通説とされた時期もあり[4]、その影響を受けた国家賠償法では、1条において、「違法に」という文言が用いられている。しかし、1960年代以降、1980年代にかけて、通説に対する批判が強まり、違法性という要件は不要であって、過失の要件に解消すべきとする説(平井宜雄)や、条文どおり「権利侵害」と「故意・過失」の要件の中で考えれば良いとする説(星野英一)、伝統的通説の枠組を維持しつつ、これを改良する説(四宮和夫澤井裕)、むしろ「権利侵害」「過失」の両要件を違法性要件に解消すべきとする説()が相次いで登場した。さらに、2000年代に入って、不法行為法を個人の基本権保護のための制度として再構成する説も主張されている(山本敬三[5]。他方、裁判例においては、上記学説の動向にもかかわらず、「違法性」という文言が使われ続けている[6]

債務不履行法における違法性

履行遅滞に基づく解除や損害賠償を論じる際に、履行をしないことを正当化する理由(同時履行の抗弁権など。)がないことをもって「違法」と表現することがある[7](よって、履行しないことを正当化する理由のことを、違法性阻却事由ということがある)。これは、ドイツ民法理論を参照して債務不履行の要件を構成した学説においてみられるもので、そこでは、ドイツ刑法学と同じく、構成要件、違法性、及び責任の3段階に分けて考察する三分論を採用したものである[8]

参考文献

刑法上の違法性につき、

  • 大塚仁・河上和雄・佐藤文哉・古田佑紀編『大コンメンタール刑法(第二版)』第2巻166頁以下〔大塚仁〕
  • 大塚仁『刑法における新・旧両派の理論』(1957年)

  1. ^ [『有斐閣法律用語辞典』項目「違法」・「不法」]
  2. ^ 内藤謙「戦後刑法学における行為無価値論と結果無価値論の展開」刑法雑誌21巻4号1頁以下、同22巻1号58頁以下
  3. ^ 佐伯仁志「違法性の判断」法学教室290号57頁以下
  4. ^ 違法性を要件とする見解は、末川博『権利侵害論』(弘文堂書房、1930年)に始まり、我妻栄『事務管理・不当利得・不法行為』(日本評論社、1937年)において判断手法が整えられて、確立した。
  5. ^ 以上につき、澤井裕「不法行為法学の混迷と展望──違法性と過失」法学セミナ−296号72頁、潮見佳男『不法行為』(信山社、1999年)特に33頁以下を参照。
  6. ^ 例えば、最高裁平成17年7月19日判決(民集59巻6号1783頁、いわゆる過払金返還請求事件において取引履歴を開示しなかったことによる慰謝料請求事件)を参照。
  7. ^ 我妻栄『新訂債權総論(民法講義IV)』111頁など。
  8. ^ 潮見佳男『債権総論I(第2版)』(信山社、2003年)259頁以下を参照。

関連項目

外部リンク


 

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