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🥾|タリバン支配の中 アフガン襲った今年6月の地震 日本メディアとして初めて現地からレポート「今の…


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タリバン支配の中 アフガン襲った今年6月の地震 日本メディアとして初めて現地からレポート「今の…

 
内容をざっくり書くと
被災地では不衛生な水による感染症の懸念も広がっているということです。
 

イスラム主義組織タリバンがアフガニスタンの実権を握って1年。長年の紛争や経済崩壊で苦しんできたこの国… →このまま続きを読む

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感染症

感染症(かんせんしょう、英語: Infectious diseaseスペイン語: Infección)とは、感染する病気の総称であり、寄生虫細菌真菌ウイルス異常プリオンなどの病原体の感染により宿主に生じる病気の総称。感染症体内に微生物が侵入し、増殖することでおこる[1]

感染症のうち、伝染性(ヒトや動物から他のヒトや動物へと次々に病気がうつる)をもつものを伝染病と言い、集団発生して流行する伝染病を疫病と言う。瘟疫(うんえき、おんえき)、疫癘(えきれい)とも言う(瘟、疫、癘ともに「はやりやまい」の意)。

感染症の歴史生物の発生と共にあり、先史時代(有史以前)から近代までヒトの病気の大部分を占めてきた。医学史は感染症の歴史に始まったと言っても過言ではない。人類の歴史を通して根本的な治療法が全く無かった時代が圧倒的に長く、伝染病は大きな災害と捉えられてきた。古今東西の歴史書には頻繁に疫病の記述が登場する。ペストの大流行はヨーロッパの人口の数分の1ほどを死に至らしめ、人類の文明のありかたを変えたとも言われているし、20世紀初期に全世界で大流行したスペイン風邪もおそらく1億人以上の人が死亡したと推計されており世界情勢に影響を与えた。

1929年にようやく初の西洋医学的な抗生物質であるペニシリンが発明されたが、そうした抗生物質類で治療できるのは感染症のごくごく一部にすぎない。

現代では、開発途上国では特に三大感染症[2]と呼ばれるマラリア結核AIDSや、腸管感染症は大きな問題であり、感染症学のみならず保健学開発学など集学的な対策が喫緊の課題である。2013年においても、世界では感染症により920万人が死亡しており、全死亡の約17%を占める[3]。一方先進国においては新興感染症再興感染症に加えて、多剤耐性菌の蔓延やバイオテロの脅威が公衆衛生上の大きな課題として注目を集める一方、高度医療の発達に伴って手術後の患者や免疫抑制状態の患者における日和見感染が増加するなど、日常的にもまだまだ解決に向かっているとは言えなかった。さらに2019年(~2021年)新型コロナウイルス感染症の世界的流行 (2019年-)が起き、先進国でも発展途上国でも、非常に多数の人々が感染し死亡しつづけている(2021年5月29日時点で世界累計感染者数1.72億人、死亡者数370万人超[4]と推計されている。)。

感染症を対象とする医学領域は感染症学である[5]

感染症には有効な治療薬が無いものも多いが、現在のところ感染症の治療に使われる薬には、抗生物質抗ウイルス薬抗真菌薬抗原虫薬駆虫薬などがある。ワクチン予防が行える感染症も一部にあるが、ワクチンの開発に成功していないものも多い。

分類

感染場所による分類

脳など中枢神経
髄膜炎脳炎など
鼻炎副鼻腔炎咽頭炎、、など
喉頭蓋炎咽頭後壁膿瘍亜急性甲状腺炎レミエール症候群など
肺・気管支
肺炎気管支炎結核など
心臓・血管
感染性心内膜炎、、心筋炎、、敗血症など
腹部・消化器
胆嚢炎胆管炎肝炎肝膿瘍膵炎、、胃炎胃潰瘍腸炎虫垂炎腸腰筋膿瘍クラミジア肝周囲炎など
泌尿器
腎盂腎炎膀胱炎前立腺炎膣炎、など
皮膚
蜂窩織炎、、ガス壊疽(せつ)、(よう)、伝染性膿痂疹(とびひ)、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群帯状疱疹水痘麻疹風疹、皮膚白癬疥癬など
関節、筋肉、骨
感染性関節炎骨髄炎、、筋炎脊椎カリエスなど
リンパ節
リンパ節炎
口腔
歯周炎齲蝕、、インプラント周囲炎など

病原体の種類による分類

真正細菌感染症
レンサ球菌(A群β溶連菌、肺炎球菌など)、黄色ブドウ球菌(メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA))、表皮ブドウ球菌腸球菌リステリア髄膜炎菌淋菌病原性大腸菌(O157:H7など)、クレブシエラ肺炎桿菌)、、百日咳菌緑膿菌セラチア菌シトロバクターアシネトバクターエンテロバクターマイコプラズマクロストリジウムなどによる各種感染症
結核非結核性抗酸菌コレラペストジフテリア赤痢猩紅熱炭疽梅毒破傷風ハンセン病レジオネラ肺炎在郷軍人病)、レプトスピラ症サルモネラ菌腸チフスパラチフスライム病野兎病Q熱など
発疹チフスツツガムシ病日本紅斑熱など
クラミジア肺炎トラコーマ性器クラミジア感染症オウム病など
真菌感染症
アスペルギルス症カンジダ症クリプトコッカス症白癬菌症ヒストプラズマ症ニューモシスチス肺炎(旧名:カリニ肺炎)など
寄生原虫感染症
アメーバ赤痢マラリアトキソプラズマ症リーシュマニア症クリプトスポリジウムなど
寄生蠕虫感染症
エキノコックス症日本住血吸虫症フィラリア症回虫症、など
ウイルス感染症
インフルエンザウイルス性肺炎ウイルス性肝炎ウイルス性髄膜炎ウイルス性胃腸炎ウイルス性結膜炎後天性免疫不全症候群 (AIDS)、成人T細胞白血病エボラ出血熱黄熱風邪症候群、狂犬病サイトメガロウイルス感染症、重症急性呼吸器症候群 (SARS) 、中東呼吸器症候群 (MERS) 、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 、新型ブニヤウイルス重症熱性血小板減少症候群進行性多巣性白質脳症水痘帯状疱疹単純疱疹手足口病デング熱ジカ熱日本脳炎伝染性紅斑伝染性単核球症天然痘風疹急性灰白髄炎ポリオ)、麻疹咽頭結膜熱(プール熱)、マールブルグ出血熱腎症候性出血熱ラッサ熱流行性耳下腺炎ウエストナイル熱ヘルパンギーナチクングニア熱など
プリオン病 / 伝達性海綿状脳症
牛海綿状脳症 (BSE)、クールー病クロイツフェルト・ヤコブ病致死性家族性不眠症 (FFI)、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群 (GSS) など

病態からの分類

一次感染と二次感染
最初の病原体による感染を一次感染、続いて別の病原体による感染を二次感染という。また、同一宿主に2種類以上の病原菌によって感染が起こることを混合感染という。二次感染の一例として、一次感染を抗生物質で排除してもその抗生物質抵抗性の常在菌が異常増殖を起こす菌交代現象がある。
局所感染と全身感染
病原体が侵入・定着部位に限局して病変を起こす場合をという。この病原体が血行性など全身に広がって症状が出た場合をという。
持続感染と不顕性感染と潜伏感染
  • :病原体が生体から完全に排除されずに症状が治まっている状態。そういった状態の人を保菌者という。
  • 不顕性感染:病原体に感染しても発症しない場合をいう。
  • 潜伏感染:病原体に感染してもすぐ症状が出るわけではない。感染しても発症していない状態をいう。その期間を潜伏期間という。

公衆衛生学的な分類

世界の疾病負荷(WHO, 2019年)[6]
順位死因DALYs (万)DALYs(%)DALYs
(10万人当たり)
1新生児疾患20,182.18.02,618
2虚血性心疾患18,084.77.12,346
3脳卒中13,942.95.51,809
4下気道感染症10,565.24.21,371
5下痢性疾患7,931.13.11,029
6交通事故7,911.63.11,026
7COPD7,398.12.9960
8糖尿病7,041.12.8913
9結核6,602.42.6857
10先天異常5,179.72.0672
11背中と首の痛み4,653.21.8604
12うつ病性障害4,635.91.8601
13肝硬変4,279.81.7555
14気管、気管支、肺がん4,137.81.6537
15腎臓病4,057.11.6526
16HIV / AIDS4,014.71.6521
17その他の難聴3,947.71.6512
18墜死3,821.61.5496
19マラリア3,339.81.3433
20裸眼の屈折異常3,198.11.3415
新興感染症
輸入感染症のうち、継続的に国内での発症が見られるようになったもの。
例:後天性免疫不全症候群COVID-19
再興感染症
社会情勢の変化により、近年まで抑えられていた発症数が再び増加傾向を示すもの。
例:結核梅毒風疹麻疹
人獣共通感染症
ヒトとヒト以外の動物の両方に感染を生じ、予防対策に両者への介入を要するもの。
例:狂犬病エキノコックス
伝染病
病気を起こした個体(ヒトや動物など)から病原体が別の個体へと到達し、連鎖的に感染者数が拡大するもの。
輸入感染症
旅行者や輸入食品を介して病原体が海外から持ち込まれ、国内では稀な感染症を生じるもの。
例:重症急性呼吸器症候群デング熱黄熱病
検疫伝染病
輸入感染症のうち一度国内に進入すると流行する危険のあるものは、検疫法によって検疫伝染病の指定がされている。
例:コレラペスト

日本における法的な分類

感染症法による。

一類感染症
感染力・重篤度・危険性が極めて高く、早急な届出が必要になる
二類感染症
感染力・重篤度・危険性が高く、早急な届出が必要になる
三類感染症
感染力・重篤度・危険性は高くは無いものの、集団発生を起こす可能性が高い為、早急な届出が必要になる
四類感染症
人同士の感染は無いが、動物・飲食物等を介して人に感染する為、早急な届出が必要になる
五類感染症
国家が感染症発生動向の調査を行い、国民・医療関係者・医療機関に必要な情報を提供・公開し、発生及び蔓延や伝染を防止する必要がある感染症
新型インフルエンザ等感染症
新たに人から人に伝染する様になったウイルスを病原体にする感染症
指定感染症
既知の感染症の中で、上記の一から三類に分類されない感染症で、一から三類に準じる対人、対物措置が必要な感染症
一年以内の政令で定める期間に限り、感染症法の規定を準用する
当該期間の経過後、1回に限り、一年以内の政令で定める期間に限り延長することができる[7]
新感染症
感染した人から他の人に伝染すると認められる疾病で、既知の感染症・症状等が明らかにそれまでの物とは異なり、その感染力と罹患した時の重篤性から判ずるに、極めて危険性が高い感染症

診断

感染症は痛み・発熱などを契機に気付かれることが多いが、これらの症状はまた腫瘍やアレルギーなど感染以外によっても惹き起こされるため、診断学を踏まえた問診や身体診察により適切に鑑別を絞り込むことによって、必要十分な検査による診断が可能となる。

身体診察による診断の例として、蜂巣炎での皮膚発赤のように視診で気付かれるもの、気管支炎での呼吸器雑音など聴診で気付かれるもの、虫垂炎でのMcBurney圧痛点や腸腰菌膿瘍におけるPsoas signやObturator signなど触診で気付かれるものがある。

治療

感染症の多くは安静・休養・栄養・水分補給による免疫力の回復、あるいはによる排痰促進や利尿などの補助療法を通じて自然に治癒するが、先進諸国においては治癒を早めたり、徹底したり、後遺症を予防したりする目的でしばしば抗生物質/抗菌薬による化学療法 (細菌)や、抗ウイルス治療が併用される。また、局所感染においては切開排膿やドレナージといった外科的治療が併用される。敗血症ショック全身性炎症反応症候群(SIRS)などを合併する重症感染症においては、ときに抗体製剤や血漿交換を併用する。

予防

  • 宿主の免疫力を保つためには、日常から適切な休養睡眠栄養を要する。しかし、貧困などは、時にこれらを困難にする。
  • 特定の病原体に対する免疫の向上には、もしもワクチンが開発されていれば、そのワクチン予防接種が有効である。感染・発症・伝染・重症化を防ぐことができる。だがワクチンが開発されていない感染症が多い。
  • 伝染病において、病原体を体内に侵入させないためには感染経路の遮断が有効であり、感染管理消毒滅菌を要する。
  • 集団発生を早期発見・予防するために、医療機関・地域・国家・世界の様々なレベルで、感染症サーベイランスが行われる。

消毒と滅菌

消毒
病原微生物を殺すこと、または病原微生物の能力を減退させ病原性をなくすことである。よって、すべての微生物を殺すことではない。一般に消毒に用いられる物質を消毒剤という。
滅菌
病原体と非病原体の有無に関わらず、すべての微生物を死滅させる、あるいは除去すること。手術における滅菌は無菌操作と呼ばれる。

法律

感染症に関する法律には以下のようなものがある。

日本

アメリカ合衆国

  • 市民の健康と安全の確保とバイオテロリズムへの対応に関する法律 2002[8]

疫学

2010年には、約1000万人が感染症で死亡している[10]。WHOは感染症による死者をICD分類で集計しており、2002年についてのデータを以下に示す。

感染症による世界の死亡率[11][12]
順位死因2002年の死者
(百万)
死因に占める割合(%)1993年の死者
(百万)
1993年の順位
N/A感染症すべて14.725.9%16.432.2%
1下気道感染症[注 1]3.96.9%4.11
2HIV/AIDS2.84.9%0.77
3感染性下痢[13]1.83.2%3.02
4結核 (TB)1.62.7%2.73
5マラリア1.32.2%2.04
6麻疹0.61.1%1.15
7百日咳0.290.5%0.367
8破傷風0.210.4%0.1512
9髄膜炎0.170.3%0.258
10梅毒0.160.3%0.1911
11B型肝炎0.100.2%0.936
12-17熱帯病 (6)[注 2]0.130.2%0.539, 10, 16–18

三大死因はHIV/AIDS、結核、マラリアである。感染症による死亡はほぼすべて減少しているが、しかしHIVによる死者は4倍に増加している。

歴史的パンデミック

非感染性疾患との関連

一部の感染症は非感染性疾患の発症に強い関連を持つことが、近年明らかになりつつある。

血液型別の感染率 

英語版の研究者が現在までの発見をまとめており、細菌やウイルス、感染症の感染性がABO式血液型に関係するのは、使用される血液型抗原によって抗原の感受性が異なるためである[14]。O型はペスト、ノロウイルス、耳下腺炎、結核に弱く、A型は天然痘や緑膿菌、サルモネラに弱く、B型は淋病、結核、大腸菌、サルモネラに弱く、AB型は天然痘、大腸菌、サルモネラに弱い[14]国立生物工学情報センター発行の遺伝医学の書籍では、O型はマラリアから防御され、コレラではO型が弱くAB型が強い可能性がある[15]

ヒト以外の感染症

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ たとえば肺炎、インフルエンザ、急性気管支炎など。
  2. ^ シャーガス病、デング熱、リンパ性フィラリア症、リーシュマニア症、オンコセルカ症、住血吸虫症、トリパノソーマ症などがある。

出典

  1. ^ メルクマニュアル医学百科 P1,082 188章 感染症の基礎知識
  2. ^ 三大感染症について 外務省 2011年7月, 2021年4月5日閲覧。
  3. ^ GBD 2013 Mortality and Causes of Death, Collaborators (17 December 2014). “Global, regional, and national age-sex specific all-cause and cause-specific mortality for 240 causes of death, 1990-2013: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2013”. Lancet 385 (9963): 117–71. doi:10.1016/S0140-6736(14)61682-2. PMC 4340604. PMID 25530442. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4340604/. 
  4. ^ [1]
  5. ^ Infectious Disease, Internal Medicine”. Association of American Medical Colleges. 2015年2月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年8月20日閲覧。 “Infectious disease is the subspecialty of internal medicine dealing with the diagnosis and treatment of communicable diseases of all types, in all organs, and in all ages of patients.”
  6. ^ (Excel) Global health estimates: Leading causes of DALYs (Report). 世界保健機関. (2020-12). Download the data > GLOBAL AND BY REGION > DALY estimates, 2000–2019 > WHO regions. https://www.who.int/data/gho/data/themes/mortality-and-global-health-estimates/global-health-estimates-leading-causes-of-dalys 2021年3月27日閲覧。. 
  7. ^ 指定感染症及び検疫感染症について (PDF) 厚生労働省(2020年11月27日閲覧)
  8. ^ アメリカ合衆国の感染症対策 (PDF)
  9. ^ World Health Organization (2009年2月). “Age-standardized DALYs per 100,000 by cause, and Member State, 2004”. 2009年2月閲覧。
  10. ^ “Could Ebola rank among the deadliest communicable diseases?”. CBC News. (2014年10月20日). http://www.cbc.ca/news/1.2802071 
  11. ^ (PDF) The World Health Report (Annex Table 2) (Report). (2004). http://www.who.int/whr/2004/annex/topic/en/annex_2_en.pdf. 
  12. ^ (PDF) Table 5 (Report). (1995). http://www.who.int/whr/1995/en/whr95_ch1_en.pdf. 
  13. ^ ICD-10 #A00-A79を参照
  14. ^ a b Ewald DR, Sumner SC (November 2016). “Blood type biochemistry and human disease”. Wiley Interdiscip Rev Syst Biol Med 8 (6): 517–535. doi:10.1002/wsbm.1355. PMC 5061611. PMID 27599872. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5061611/. 
  15. ^ Laura Dean (2017). “ABO Blood Group”. Medical Genetics Summaries. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK100894/  PMID 28520352

関連文献

  • 千酌浩樹「麻酔科医が知っておくべき感染症の知識(第1回) 基本的な感染症」『日本臨床麻酔学会誌』第37巻第4号、日本臨床麻酔学会、2017年、 513-531頁、 doi:10.2199/jjsca.37.513

関連項目

外部リンク

災害

災害(さいがい)とは、自然現象や人為的な原因によって、人命や社会生活に被害が生じる事態を指す[1][2]

定義と概要

「災害」と呼ばれるのは、人間に影響を及ぼす事態に限られる。例えば、洪水や土砂崩れが発生しても、そこにだれも住んでいなければ被害や損失を受ける者は出ないため、それは災害とは呼ばない。また「災害」という用語は多くの場合、自然現象に起因する自然災害(天災)を指すが、人為的な原因による事故事件(人災)も災害に含むことがある。通常は、人間生活が破壊されて何らかの援助を必要とする程の規模のものを指し、それに満たない規模の人災は除かれる[1][2]

自然災害の性質として、災害の元となる事象を制御することができないことが挙げられる。地震や大雨という現象自体は止めることができない。人工降雨も研究されているが、干ばつを防ぐほどの技術力には未だ達していない。一方、火事や交通事故はそれ自体人間によるものであり、人間による制御がある程度利く事象である。これが、自然災害と人為的災害の相違点である[3][4]

ただし、事件・事故と災害の使い分けは必ずしも明確ではない。政治や行政、社会学的観点からは、自然災害および社会的影響が大きな人的災害を災害と考える。一方、労働安全の場面や安全工学の観点においては、その大小や原因に関わらず人的被害をもたらす事態を災害(労働安全においては労働災害)と考える。

災害の要因は大きく2つある。災害をもたらすきっかけとなる現象、例えば地震や洪水のような外力 (hazard) を誘因と言う。これに対して、社会が持つ災害への脆弱性、例えば都市の人口集積、あるいは、裏を返せば社会の防災力、例えば建物の耐震性や救助能力を素因と言う。災害は、誘因が素因に作用して起こるものであり、防災力(素因)を超える外力(誘因)に見舞われた時に災害が生じる、と考えることができる。この外力は確率的な現象であり、規模の大きなものほど頻度が低くなる。そのため、「絶対安全」は有り得ないことが分かる。そして、誘因をよく理解するとともに、素因である脆弱性を低減させること(防災力を向上させること)ことが被害を低減させる[5][6][7]

例えば、1995年に発生したマグニチュード(M) 7.3の兵庫県南部地震阪神・淡路大震災)では6千人以上の死者が出たが、5年後の2000年に発生したM7.3の鳥取県西部地震では死者が出なかった。これは、阪神間という都市への人口集中が社会の混乱の規模、つまり脆弱性を増大させていたことを示している。単に「外力が大きければ大きな災害になる」と思われがちであるが、実は、外力が同じ規模でも、社会の脆弱性や防災力の高さが災害の様相を大きく変えるのである。またこのことから、「自然災害」に分類される災害においても人為的な要因が大なり小なり存在することが分かる[5]

災害により被害を受けた地域を被災地(ひさいち)、被害を受けたものを被災者(ひさいしゃ)という。1993年に採択された「ウィーン宣言及び行動計画」では、自然災害と人的災害について言及し、国際連合憲章国際人道法の原則に従って、被災者に人道支援を行うことの重要性を強調している。

なお、災害の程度に応じて「非常事態」「緊急事態」 (emergency) と言う場合もある。これは、政府や行政が通常時とは異なる特別な法制度に基づいた行動に切り替える非常事態宣言のように、通常時とは異なる社会システムへの切り替えを必要とするような激しい災害を指す。

災害観

災害を防ぐということを考えてみる。災害を起こす外力を完全に制御できれば災害がなくなるが、それは現在の科学技術では不可能であるし、経済性をとっても現実的ではない。他方、災害は確率的であり、社会が経験していないあるいは忘れているような大きな災害が、いつかはやってくる。そして、経済性などの限界により、災害を抑止する施設を無限に強化することはできない。そのため、災害に関して絶対安全というのは存在しない[9][10]

一方で、治水技術の向上により一定レベルの水害の抑止が可能となったことで、水害については「制御可能感」が生じている[10]。また、地球上の地形はいわば災害の繰り返しによってできており、地形や地層などを手がかりにして長期的にその土地が受けやすい災害の種類を推測することは可能である[11]

災害は、社会、あるいは個人の生命や財産に対するリスクである。災害のリスクに対する価値観は、身近な例として住居を考えると、回避型(めったにない災害に備えて労力や出費を厭わず安全な暮らしを求める)、志向型(頻度の低い災害に備えるより、当面のメリットである費用の低さや快適性を求める)、その中間の3タイプに分類できる。リスクマネジメントの観点で見れば、志向型は、防災の手間や費用を省くことで他の面で得をするという、ある種の「賭け」に出ているとみなすことができる。そもそも、防災は、災害に直面したその時には自らの生死を分ける厳しいものであるにもかかわらず、普段の生活の中ではどこか縁遠いものと感じてしまう傾向がある。これを防ぐためには、身近な地域の災害のリスクについて具体的に理解を深めたりすることが必要とされる[12]

災害に直面した人の心理を説明するプロセスの1つとして、不安喚起モデルがある。人は不安が喚起された時、以下の3パターンによって不安を解消しようとする、というものである[13]

  • 1.自主解決 - 自ら、情報を入手し、危害が自分に及ぶかどうか、また危害を避けるにはどうすればよいか判断する[13]
  • 2.他者依存 - 信頼できる他者に判断を任せる[13]
  • 3.思考停止 - 考えるのをやめる。安全と思い込む。拒否する[13]

災害時に避難を判断する場面において、生存のために望まれるのは1.自主解決により自分の命を守る最善の努力をしようとすることであり、2.他者依存や3.思考停止はそういった努力を妨げる方向に働く。しかし、例えば水害への制御可能感への裏返しとして行政への責任を求める傾向は2.他者依存を助長し、生命の限界を直視せず楽観視するという誰もが持つ心理特性は3.思考停止を助長するため、人間の心理特性として1.自主解決を行うのは容易ではない。そのため、防災教育を通して1.自主解決へ導き災害時の柔軟な判断を可能にすることが必要と考えられる[13]

また、「災害は忘れたころにやってくる」という言葉があるように、大きな災害を経験したとしても、経験を伝承する先人の言葉や教訓は次第に忘れ去られ、風化していくのが常である。近代に津波被害を受けて高台に移転しても、より便利な海辺へと次第に回帰し、再び住居が建てられるようになった地域が存在している。高台移転については、当初は津波への恐怖が「職住分離」の不便さを上回っていても、やがて時間とともに変わっていくため、これを維持するための配慮が必要となる。また、堤防によって守られていても、それに依存せず教訓を伝えていく努力が必要となる[14][15]

災害と法律

災害は法律で定義される場合もあるがその対象や規模は一律ではない。

災害の種類
例えば日本の災害対策基本法では、災害を「暴風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ、土石流、高潮、地震、津波、噴火、地滑りその他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害」と定義している(第2条第1項、2015年7月時点)[16]。ここで、これらに類する政令で定める原因としては「放射性物質の大量の放出、多数の者の遭難を伴う船舶の沈没その他の大規模な事故」が定められている(同法施行令第1条)[17]。従って、災害対策基本法上の災害には自然災害以外の原因による災害も含まれる。
また、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法は自然災害のみを対象としているが、公立学校施設災害復旧費国庫負担法は火災などの人為的災害も対象にしている[18]
災害の規模
日本の災害対策基本法における災害には定量的な基準があるわけではなく、国民の生命、身体、財産に相当程度の被害を生じるような場合が想定されている[18]。一方、災害救助法では、対象とする災害について市区町村の人口に応じ滅失した住家の数によって基準が設けられている[18]

災害の種類

主な災害をその分類とともに示す。

社会学的定義

自然災害
気象災害
(大雨・集中豪雨)に起因するもの - 洪水(河川の氾濫、内水氾濫)、土砂災害斜面崩壊がけ崩れ土石流地すべり)など
に起因するもの - 強風・暴風、竜巻高潮波浪
に起因するもの - 雪崩積雪吹雪
に起因するもの - 落雷
中長期の天候に起因するもの - 干害[18]干ばつ)、冷害[18]冷夏)、熱波寒波
その他 - [18][18]、土地の隆起や沈降[18]蝗害
地震
地震に起因するもの - 液状化津波岩屑なだれ、がけ崩れ、(地震)火災
噴火
噴火に起因するもの - 降灰噴石溶岩流火砕流泥流、山体崩壊、津波
人為的災害
列車事故航空事故海難事故交通事故火災(いずれも大規模なものに限る)
爆発事故、炭鉱事故石油流出化学物質汚染、原子力事故(原子力災害[注 1]
テロ(テロ災害)、戦争戦災、武力攻撃災害[注 2]
NBC災害[注 3]CBRNE災害[注 4]、武力攻撃原子力災害[注 5]

[19][20]

なお、他の災害に比べて被害の程度やその広がりが著しい災害を「大規模災害」と呼ぶことがあるが、具体的な定義はない。被害の広がりに着目した場合、「広域災害」と呼ぶこともある。これらは甚大な被害によって外部からの救援を必要とする場合が多い。また、都道府県を跨ぐ規模の災害を「スーパー広域災害」と呼ぶこともあるが、これは日本の災害対策が市町村や都道府県ごとの縦割りとなっていて、都道府県を跨いだ大規模避難や救援などの災害対策の連携に難点が見られることから作られた用語である[21]

このほか、いわゆる災害の「ダブルパンチ」とよばれるような、複数の誘因が重なった災害を「複合災害」という。例えば、2011年の東日本大震災は地震と津波の被災地で福島第一原発事故が発生した。2004年10月の新潟県中越地震の被災地は、同年7月に豪雨に見舞われており、翌年1 - 2月にはさらに豪雪に見舞われた[22]

安全工学的定義

突発的事象により引き起こされるものを非常災害、日常的な生活の中で引き起こされるいわゆる"事故"を日常災害と呼ぶ。安全工学では、日常災害、労働災害を含めた広範な事象を災害として扱う。一時に3人以上の労働者が業務上死傷又はり病した災害事故を「重大災害」と称する。

人為的災害
日常災害(事故)または労働災害
転落転倒、落下物による受傷、中毒溺水火傷感電
その他
製品欠陥に伴う製品事故食品事故医療事故
暴動犯罪

災害の防止と対応

災害を未然に防止する対応は、被害が生じないようにする被害抑止と、被害が生じてもそれを少なくし、立ち直りがスムーズになるようにする被害軽減に大別される。一方、災害発生後の対応は、救助や避難所の運営などの応急対応復旧復興に大別される。これらが防災を構成する[8]。これらに加えて、自然災害のメカニズムやそれを抑止する技術の研究、災害の予測(ハザードアナリシス)、それらの知識の普及(防災教育)なども重要な要素である[5]

災害の予測

自然災害は、規模に頻度が反比例する確率的な現象である。つまり、自然災害を起こす外力が大きくなるほど頻度が小さくなるうえ、その上限を理論的に特定することができないという特徴を持っている。歴史記録の中から得られる自然災害の情報で信頼のおけるものは数百年程度であり、それを超える「1,000年に一度」というような低頻度の大きな災害については分からない部分が出てきてしまう。そのため、ハード対策では「設計基準外力」(計画外力)を設定してそれ以下の外力では被害が一切出ないように堤防などの構造物を設計し、ソフト対策では既往最大あるいは予想される一定レベルの外力を設定してハザードマップを作成しその場合における被害想定を行う。ただし、設計基準外力を設定するにあたっては、設定を高くすればするほど費用がかさむため、経済性との兼ね合いや住民の合意などの調整が必要となる[23]。なお、これらの外力の再来間隔を確率年という。

一方で、被害想定はあくまで現段階で考えられうるものに過ぎず、想定を上回る「想定外」の事態が発生する可能性は常に存在する。東日本大震災が従前の被害想定を上回る規模であったように、である。そのため、「想定外」に対応できるようにしておくことも求められる[24]

災害史

最も被害の大きな自然災害

脚注

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注釈

  1. ^ により国民の生命、身体又は財産に生ずる被害を指す(原子力災害対策特別措置法第2条)。
  2. ^ 法令用語。武力攻撃により直接又は間接に生ずる人の死亡又は負傷、火事、爆発、放射性物質の放出その他の人的又は物的災害を指す(国民保護法第2条第4号)。災害対策基本法における災害の概念には、いわゆる武力攻撃やテロによる被害は概念の中に含まれないことから、有事法制の整備に際して設けられた定義(日本は日本国憲法第9条により、政府が戦争をする事、及び交戦権を認めないので、「戦争に備える」とは定義出来ない)。
  3. ^ 核兵器生物兵器化学兵器による災害。
  4. ^ NBC災害に放射性物質爆発物による災害を加え、不慮の事故までを含めたもの。
  5. ^ 法令用語。原子力発電所や原子力施設への攻撃により起きる災害。武力攻撃に伴って原子力事業所外へ放出される放射性物質又は放射線による被害(国民保護法第105条第7号の一)。

出典

  1. ^ a b 林春夫「災害をうまくのりきるために -クライシスマネジメント入門-」、『防災学講座 第4巻 防災計画論』、134頁。
  2. ^ a b 後藤・高橋、2014年、19頁。
  3. ^ 岡田憲夫「住民自らが行う防災 -リスクマネジメント事始め-」、『防災学講座 第4巻 防災計画論』、101-102頁。
  4. ^ 水谷、2002年、2 - 3頁。
  5. ^ a b c 林春夫「災害をうまくのりきるために -クライシスマネジメント入門-」、『防災学講座 第4巻 防災計画論』、134-136頁。
  6. ^ 水谷、2002年、1 - 2頁。
  7. ^ 豪雨・洪水災害の減災に向けて』、77 - 79頁、92頁。
  8. ^ a b 河田惠昭「危機管理論 -安心/安全な社会を目指して-」、『防災学講座 第4巻 防災計画論』、41 - 42頁。
  9. ^ 林春夫「災害をうまくのりきるために -クライシスマネジメント入門-」、『防災学講座 第4巻 防災計画論』、135 - 137頁。
  10. ^ a b 堀井秀之・片田敏孝「自主解決の支援」、『安心・安全と地域マネジメント』、102 - 104頁。
  11. ^ 水谷、2002年、10頁。
  12. ^ 岡田憲夫「住民自らが行う防災 -リスクマネジメント事始め-」、『防災学講座 第4巻 防災計画論』、103-105頁、124 - 130頁。
  13. ^ a b c d e 堀井秀之・片田敏孝「自主解決の支援」、『安心・安全と地域マネジメント』、94 - 108頁。
  14. ^ 岡田憲夫「住民自らが行う防災 -リスクマネジメント事始め-」、『防災学講座 第4巻 防災計画論』、99 - 101頁。
  15. ^ 片田敏孝「これからの津波防災のあり方 -自然と共存する地域社会の構築-」、『安心・安全と地域マネジメント』、50 - 56頁。
  16. ^ 災害対策基本法”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2015年9月22日閲覧。
  17. ^ 災害対策基本法施行令”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2015年9月22日閲覧。
  18. ^ a b c d e f g h 鍵屋一 『図解よくわかる自治体の地域防災・危機管理のしくみ』学陽書房、2019年、11頁。 
  19. ^ 後藤・高橋、2014年、20頁。
  20. ^ 水谷、2002年、5 - 6頁。
  21. ^ 後藤・高橋、2014年、20 - 21頁。
  22. ^ 後藤・高橋、2014年、21頁。
  23. ^ 堀井秀之「地域社会の安全・安心を実現するための社会技術」、『安心・安全と地域マネジメント』、214 - 216頁。
  24. ^ 多々納裕一「大規模災害と防災計画 -総合防災学の挑戦-」、『安心・安全と地域マネジメント』、169 - 182頁。

参考文献

関連項目

外部リンク


 

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