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🏛|【新型コロナ】厚生労働省、宴会実施の老健局からの感染者27人に 「クラスターといって差し支えない」


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【新型コロナ】厚生労働省、宴会実施の老健局からの感染者27人に 「クラスターといって差し支えない」

 
内容をざっくり書くと
同省は国立感染症研究所から「クラスターと言って差し支えない」と見解を示されたとしているが、感染経路は複数にわたっており、宴会との因果関係は分からないとしている。
 

厚生労働省は20日、3月末に宴会を実施したことが判明し大きな批判を浴びた老健局から、新たに出席者5人… →このまま続きを読む

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超高齢社会と医療資源の逼迫を同時に迎えつつある日本の医療界に対し、それぞれの立場で、よりよい医療を提供しようと奮闘する医療関係者の声をできるだけそのままお伝えする、臨床目線、現場目線、患者目線のブログサイトです。


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感染経路

感染経路(かんせんけいろ、: route of infection)は、感染を生じた個体や環境中に存在する病原体が、未感染の個体に到達して新たに感染を起こす経路をいう。病原体によっては複数の感染経路を介して感染を生じる場合もある。伝染病をはじめとした集団感染や院内感染予防など感染管理上は病原体を突き止め感染源を割り出すことも重要だが、何よりも感染経路を絶たなければ終息は図れない。

  • 空気感染 - 微小の粒子(0.5μm以下)が長時間空中に留まり、患者が去ってからも汚染が続く[1]
  • 小滴感染 - 湿った小さな粒子(0.5μm以上)が短時間空中に留まる。通常は患者と共にすることで感染。
  • 直接感染 - 感染患者に直接触れることによる。性的接触を含む。
  • 間接感染 - 汚染土壌などに触れることによる。
  • 糞口経路 - 洗っていない手、汚染された植物・水源による。

主要な感染経路

以下に感染経路における感染症のが挙げられているが、感染経路が複数ある場合があり1対1の関係ではないことに注意が必要である。

空気感染

飛沫核感染塵埃感染エアロゾル感染などがある。英語は airborne transmission(空気媒介伝播)であり、省略して空気感染とも言う。空気感染は、単に、感染性を持つエアロゾルを介して伝播する感染とみる立場と[2]、エアロゾルの中でも飛沫核による伝播に限定(飛沫核感染)する立場がある[3]

国際疫学会による疫学辞典では前者の定義が採用されていて、微生物エアロゾルが呼吸器に入ることで感染することと定義している。その例として、飛沫核感染、塵埃感染を挙げている。日本化学会による日本標準化学辞典(第2版)には、エアロゾル(エーアロゾルとも訳されている)とは、「煙や霧のように,気体中に固体または液体の微粒子が分散浮遊している状態の総称.このような状態を気体という分散媒に固体や液体のコロイド粒子が分散したゾルの一種とみなして,エーロゾルと名づけられた.」[4]とある。

飛沫核感染とは、感染性病原体を含む飛沫核(droplet nuclei: 蒸発した飛沫の残留物)を介して拡散するものを指す[1]。これらの病原体は体外で感染能を長時間維持する。空気中で水分が蒸発し5マイクロメートル以下の軽い微粒子(飛沫核)となってもなお感染能を保つものは、長期間空気中に浮遊したままであり、3フィート(91センチメートル)以上の長距離を移動し、上下気道を介して他人に感染する[5]。空中の粒子は 5マイクロメートル以下である[6]。そのため一般的に高いレベルの隔離が必要となる。そのため汚染を避けるためには陰圧環境が必要となる。

結核水痘麻疹天然痘帯状疱疹[注釈 1]などは空気感染(飛沫核感染)する。これらはしばしば病棟で院内感染を起こすため感染制御が重要な疾患である。インフルエンザコロナウイルスなどが空気感染(厳密にはエアロゾル感染に該当)を起こすか、主要な感染経路であるかは、常に議論がある[7]

飛沫感染

英語は droplet transmission(小滴感染)。これは、咳、くしゃみ、会話などで発生する呼吸飛沫(respiratory droplets)によるものであり、感染経路として一般的である。飛沫は大きいため、空気中に長時間浮遊することはできず、通常は近距離に散乱する[8]。飛沫粒子は5マイクロメートル以上である[6]。飛沫による感染は、目、鼻、口などの影響を受けやすい粘膜の表面に付着したとき、または汚染された表面に触れた手で顔に触ったときに発生しうる。

飛沫により感染する呼吸器系感染症病原体は、インフルエンザウイルスパラインフルエンザウイルスアデノウイルスライノウイルスRSウイルスヒトメタニューモウイルス百日咳菌肺炎球菌化膿レンサ球菌ジフテリア風疹[9]コロナウイルスが挙げられる[10]。飛沫の拡散はサージカルマスクの着用によって軽減できる[11]

感染者の飛沫に含まれるウィルス量が多い場合、あたかも空気感染(厳密にはエアロゾル感染に該当)しているように観察される[12]

直接感染

接触感染とも呼ぶ。英語は direct contact(直接接触)。病原体を有する生体同士が直接接触することにより感染する事を言う。

典型的には皮膚と皮膚の接触、キス、性交をさす。さらに病原体をふくんだ土壌、植物との接触もさす[13]糞口経路については、主に間接的な接触経路とみなされるが、糞への直接接触によって感染するケースもある。[14][15]

伝染性膿痂疹など皮膚疾患。医療現場ではMRSAなどの薬剤耐性菌の伝染の主要な経路である。

粘膜感染

感染者の血液や体液などが目や鼻の粘膜に付着することにより感染する。感染経路は直接のものと、または媒介物を通した間接的なものがある。次の経皮感染に含める場合もある。

流行性角結膜炎など眼科疾患。

経皮感染

通常、皮膚は病原体の侵入を防ぐ力を備えるが、蚊や昆虫、または犬などに刺され、または噛まれることにより病原体が体内に侵入する。寄生虫が直接体内に経皮侵入する場合もある。また、創傷や熱傷により皮膚の防御機能が失われた部分から病原体が侵入する。これらを特に経皮感染と呼ぶ場合がある。針刺し事故も経皮感染に含める立場がある。

疥癬狂犬病、、エボラ出血熱破傷風ガス壊疽など。

医原性

血液感染交差感染)とも。注射や輸血、といった医療行為のほか、外傷による出血が他者の目など粘膜に触れるなどして、血液中の病原体が感染を生じる。これも感染経路は直接のものと、または媒介物を通した間接的なものがある。

性的感染

性的な接触感染である。粘膜感染と経口感染の側面がある。

梅毒トキソプラズマ症、、B型肝炎AIDS、、性器クラミジアなど。

唾液感染

唾液を媒介として唾液中の病原体が口移しやディープキスなどにより感染する場合、特に唾液感染と言う場合もある。なお臨床感染経路分類論では歯垢感染と呼気感染は経口感染に入るが、唾液感染は入らない。虫歯菌EBウイルスなどで唾液感染が起きる。

垂直感染

母子感染、垂直伝播とも。さらに次のように分類される。

間接感染

間接接触感染(Indirect contact transmission, vehicle-borne transmission)とは、非生物との接触によって伝染する経路。食品、水、生物学的製品(血液など)、媒介物(ハンカチ、寝具、外科メス)などが挙げられる。たとえば不適切に製造された缶詰食品は、ボツリヌス菌によるボツリヌス毒素生産に適した環境を提供している。

経口感染

病原体に汚染された飲食物を介した感染を特に経口感染と呼ぶ場合がある。汚染原因が糞便であれば介達感染糞口経路、後述)である。ほか、飲食物自体が感染源となり経口感染するものにBSEがある。

ベクター感染(水平伝播)

他の動物(特に節足動物)が媒介者(ベクター)となって、伝播することで感染が成立するもの。(1) その病原体の生活環の一環として、ベクターの体内で発育、増殖し、そこから感染する場合(生物学的伝播)と、(2) 単にベクターの体表面に付着した病原体が機械的に伝播される場合(機械的伝播、機械的ベクター感染) とがある。

糞口経路

介達感染とも呼ぶ。また、経口感染の一種(水系感染、水系流行)とみる場合もある。

糞便で汚染された飲食物の経口摂取により感染が成立する。

腸管出血性大腸菌(O157など)、ブドウ球菌腸炎ビブリオボツリヌス菌サルモネラ腸チフスパラチフス細菌性赤痢コレラカンピロバクターリステリアピロリ菌アメーバ赤痢ノロウイルスロタウイルスポリオA型肝炎E型肝炎ワイル病角結膜炎など。

感染経路の同定

病原体が同定できる場合

患者が共用する手すりや医療機器などの表面を拭って培養し(環境スクリーニング)、病原体が検出されればその物体が感染経路の一つであると推定する。さらに細菌感染症の場合、パルスフィールドゲル電気泳動により遺伝子型の近似性を調べると、水平感染の時間的順序を推定することができるため、最初に集団内に病原体が持ち込まれた経緯が分かることも少なくない。

病原体が同定できない場合

初期のSARSの様に、病原体が同定できない場合は、有病者と健常者をまず隔離してそれぞれの行動パターンや生活背景、さらに他人との接触歴について詳細な情報収集を行う。その中から感染の有無と相関のある因子を疫学的に割り出すことで感染経路を推定する。

例:有病者から席の離れた同室者複数に発症が見られた場合、飛沫核感染(空気感染)が疑われる、など。

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 通常は口腔内に帯状疱疹が生じ、それが飛沫として拡散された場合に限定される。

出典

  1. ^ a b 「空気感染」を誤解していませんか?」『日経メディカル』2020年8月8日。
  2. ^ 医学辞書 空気伝播”. 2021年1月9日閲覧。
  3. ^ WHO airborne tansmission definition”. WHO. 2021年1月9日閲覧。
  4. ^ 日本化学会編 『日本標準化学辞典 第2版』(2版) 丸善、2005年。ISBN 4-621-07531-4 
  5. ^ Clinical Educators Guide for the Prevention and Control of Infection in Healthcare”. 2015年4月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月12日閲覧。
  6. ^ a b Prevention of hospital-acquired infections”. World Health Organization (WHO). 2020年3月閲覧。
  7. ^ 新型インフルエンザ対策に関するエビデンスのまとめ インフルエンザの伝播経路”. www.virology.med.tohoku.ac.jp. 2020年12月15日閲覧。
  8. ^ Clinical Educators Guide for the prevention and control of infection in healthcare”. NHMRC, Commonwealth of Australia (2010年). 2015年4月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月12日閲覧。
  9. ^ What is Diseases contagious from droplets?”. 2015年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年7月閲覧。
  10. ^ Pass the message: Five steps to kicking out coronavirus” (英語). www.who.int. 2020年3月24日閲覧。
  11. ^ Respiratory Protection Against Airborne Infectious Agents for Health Care Workers: Do surgical masks protect workers?”. Canadian Centre for Occupational Health and Safety (2017年2月28日). 2017年2月28日閲覧。
  12. ^ 日本放送協会. “新型コロナ デルタ株“空気感染”する?! いま分かっていること”. NHKニュース. 2021年9月14日閲覧。
  13. ^ Principles of Epidemiology: Chain of Infection” (英語). U.S. Centers for Disease Control and Infection (2019年2月18日). 2020年7月21日閲覧。  この記述には、アメリカ合衆国内でパブリックドメインとなっている記述を含む。
  14. ^ LaMorte, Wayne W. (2016年1月6日). “Common Vehicle Spread”. Boston University School of Public Health. 2020年7月21日閲覧。
  15. ^ Whittier, Christopher A. (2017-04-16), Bezanson, Michele; MacKinnon, Katherine C; Riley, Erin et al., eds., “Fecal-Oral Transmission” (英語), The International Encyclopedia of Primatology (Hoboken, NJ, USA: John Wiley & Sons, Inc.): pp. 1–1, doi:10.1002/9781119179313.wbprim0193, ISBN 978-1-119-17931-3, http://doi.wiley.com/10.1002/9781119179313.wbprim0193 2020年7月21日閲覧。 

参考文献

関連項目

因果性

因果性(いんがせい、: causality、コーザリティ)とは、2つの出来事が原因と結果という関係で結びついていることや、あるいは結びついているかどうかを問題にした概念である。日本語では「因果関係」という表現も用いられる。

概要

まず導入として、オックスフォード英語辞典が "causality" の語義としてどのような説明をしているか紹介すると、「結果と原因の関係」および「何事にも原因があるとする原理」の2つを挙げている[1]

つまり、因果性は、一つは、ある物事が別の物事を引き起こしたり生み出していると考えたとき、その2つの物事の間にある関係(性)であり、もう一つは、何事にも原因がある、とする原理(あらかじめ置かれている言明)を指しているのである。

例えば、「C が起きた原因は B1 と B2 である」「A の結果、Z が起きた」「A のせいで B が起きた」などが因果性があると表現した文章である。

ある出来事の原因について考察するとき、しばしばたった一つのことを原因として挙げる場合がある。例えば、「今朝遅刻した原因は、昨日飲み過ぎたのが原因だ」といったような考え方がそうである。しかし、「昨日飲み過ぎたことが、今朝の遅刻の原因である」と言うことが適切なのかは、疑問の余地がある。例えば、昨日飲み過ぎたとしても、昨晩目覚まし時計をかけるのを忘れなければ、起きられたかもしれない。また、夜中に近所で騒音がして睡眠が妨害されることが無かったら起きられたかも知れない。さらに、カーテンを閉めて朝日が入らなかったことも原因かも知れない。その他にも、書ききれない無数の条件が揃っていたからこそ、その出来事は起きたのである。つまり、「遅刻した」という一つの出来事には、実際には無数の原因が存在しているのである。

一方で、人々が因果関係だと信じているものの中には、実際には誤解・錯覚に過ぎず、因果関係ではないものが多数含まれている。言い換えれば、因果性に関する誤謬の一つに、同時に発生している 2つの出来事の間に因果性を認めてしまうのである。例えば、アイスクリームの消費が増える時期と水死者が増える時期はおおむね一致する。しかし、だからといって「人々がアイスクリームを食べたから、水死者が増えた」とするのは短絡的である。これは、相関関係に過ぎない。実際には、「暑い→アイスクリーム消費量が増える」「暑い→水遊びをする人が増え水死者が増える」という共通原因があるに過ぎない。

西洋哲学では、古来より因果性についてさまざまな考察が行われてきた。アリストテレスは、原因を4つに分類して考察してみせた。これは、現在でも有用性が認められることがある。また、ヒュームは、因果性の存在自体を疑問視した。

古代ギリシアでは、「自然はそれ自体に変化する能力がある」と理解されていた。つまり、自然は動的なもの、それ自体で変化するもの、としてとらえられていたのである[2]。言い換えれば、「自然自体や個々の存在自体の中にも、原因・動因がある」という理解である。それは、一般的な理解であった(東洋人でも、一般的な自然理解としては、昔も今も、自然自体に変化する能力を認めている)。

西欧でルネ・デカルトが『世界論』を最初に構想・執筆したときも、(ギリシアの自然観同様)自然自体に発展する能力を認めた説を構築しその原稿を書いた[2][注 1]。だが、その原稿を書き終えた後でガリレオ裁判の判決の結果を聞いたデカルトは、自身がブルジョア階級者で体制側の人間そのものでもあったこともあり、体制である教会を敵に回すことを避けるため、その説の出版は止め[2]、説の内容を改変した[2]。その結果、デカルトは、キリスト教的な神が必要とされるように「自然は死んでいて、常に神が働きかけることによって動いている」とする世界観となるように自説を変更してから、出版した[2]

もともと世の中では一般的に、(要因・原因)には、内的な力と外的な力があるとされていた。しかし、デカルトの政治的な意図によって、それは改変された。デカルトが書いた本の説明の中では、内的な力がすっかりそぎ落とされてしまった。こうして改変された説が、同時代や後世へと大きな影響を及ぼした。その結果、「死んだものとしての自然」観、個々の存在の内的な力(動因)の記述が欠落した説明方法が登場し、世に広まってゆくことになった。

アイザック・ニュートンも、自身の信仰によってを考慮しつつ説を組み立てており、万有引力と関係させ「空間は神の感覚中枢 」と述べた[注 2]

20世紀に発展した量子力学によれば、量子論的な状態決定論的に振る舞うが、そこから得られる観測結果は確率的に振る舞う[3]。そこでは、古典的な意味での因果律は成立せず、局所性実在性は両立しない。このように、状態が決まっても結果は一意には決まらない、とする論などを「非決定論」と言う。

アリストテレスの説

アリストテレスは、物事が存在する原因を以下の4種類に分類した(これを「四原因説」と言う)。

  1. 素材因(質料因)
  2. 形相因
  3. 作用因(始動因)
  4. 目的因

例えば、目前に一つの木彫りの彫刻が存在する場合、これが存在するのは、誰かが木材という「素材」を用いて、何らかの表現をする「目的」で、彫るという「作用」を加え、何らかの「形」を作り出したからである。このようにアリストテレスは、原因というものを4つに分類してみせた。

また、アリストテレスは、世界の様々な出来事の原因を、原因の原因、またさらにその原因…と遡ってゆくと、最終的に「第一原因」に辿り着く、とした。この第一原因を別の文脈では「不動の動者」と呼んでおり、この用語は「」とほぼ同じ意味でも用いられた。

ヒュームの因果説

西洋近代ではデイヴィッド・ヒュームが、「因果性とは、空間的に隣接し時間的に連続で、2種類の出来事が伴って起きるとき、この 2種類の出来事の間に人間が想像する(人間の心、精神の側に生まれる)必然的な結合関係のことである」とした。つまり、物事はたまたま一緒に起きているだけでも、人間が精神活動によって勝手に結びつきの設定をしている、という指摘を含んでいる。

因果規則性説

隣接し、連続して起きる2つの出来事は、「それを述べる普遍言明の文に組み込まれるとき、因果的に結びついている」とする。ヒュームの心理的要素を除き、その代わり statement 記述の生成という点に着目している説。科学の場で記述を作りだしてゆく方法やその問題点についての示唆も与えてくれる説である。

単称因果言明、因果律

人間というものは、あるいは人間の頭脳というものは、規則性の記述が現前になくても、いくつかの出来事を知覚・認知しただけで、それらが因果的に結びついていると考える強い傾向を持っている。

例えば、「この医者がお産に携わった事が、この妊婦の産褥熱を引き起こした」というstatement言明がある。この言明は、たとえ「お産への従事が、全て産褥熱を引き起こす」という普遍言明(全称命題)が偽であるにしても、それとは独立に真でありうる(可能性がある)。個々の出来事は、この言明が記述する順序で起きているためである。

個々の出来事の間に因果性の関係を設定するのは、人間の精神というものが、「全ての出来事には原因がある」という考え方、いわゆる「因果律」の考え方、を前提にしているからである。

人間は日常生活を送る上では、そのような考え方、つまり「全ての出来事には原因がある」とする考え方をして、特に問題は生じはしない。だが、いざそれが本当にそうなのか、正しく論証しよう、科学的に究明しようとすると、実は非常に困難である。それが困難であることは、歴史的には、カントによる論証の試みにも現れている。

人間が「全ての出来事には原因がある」という考え方、いわゆる「因果律」の考え方、を前提にしているのは当然である。なぜなら、実際に、全ての現象はそれが現実に発生する際には必ず因果関係を伴い、結果が発生する直前の原因を欠いて「何かが生起する」ということは起こり得ない。例えばボールが転がる際には、必ず誰かが投げるなり風に吹かれるなど、直前に何らかの原因がなければ「転がる」という結果は生じ得ない。人間の行動についても、何の動機(原因)も無く行為が現実に発生することはありえない(というのも、この結論に反対する者も、反対する動機が無ければ反対するという行為が起きないであろう)。上述の産褥熱の例でも、病気が現実に起こる際にも患者の抵抗力、体調、ウイルスの存在など、直前の原因を欠いて結果は発生し得ない。しかし、例えば植物が気候・土壌・日当たりなどの条件(原因)が揃って初めて果実を付ける(結果)のと同じで、複数の原因が複合して一つの結果をもたらすのが普通である。故に、「この医者がお産に携わった事が、この妊婦の産褥熱を引き起こした」という判断は、他の原因を除外し、一つの原因を結果に影響するよりも大きく考えている点で誤謬である。というのも人間は唯一、抽象的判断を行うことができる生物なのであるが、抽象的判断は一つの要素だけを個別に抽出して思考を行うという性質であるため、それを現実に生起している出来事に適用する際に、判断力(つまり、抽象的思考を現実に生起する現象に適用する過程)で、誤謬(つまり、因果関係の間違った解釈)を犯すことがあるからである。因果関係を必然的に伴うのは、抽象的思考によって推論された過去や未来の出来事ではなく、現在において現実的に発生している現象についてである。ゆえに、原因と結果の連鎖や究極の原因などの抽象的推論が誤謬と矛盾に陥ることは、カントも証明している。

因果律という考え方の反事実条件法への置き換え

「全ての出来事には原因がある」と「因果律」という考え方を採用するということは、宇宙全体の性質に関して、検証も無しに、形而上学的に非常に強い主張をしてしまうことになる[4]。このような主張を含んでしまうと、結局、証明も反証もできない言明をしてしまっているのと同じことになるので、(広く認められている反証主義の方法論を採用すると)これはもはや科学的言明ではない、ということになってしまうのである。

一般に、科学の世界では、もし途方もなく強い主張をする時は、途方もない主張を支えるに足るだけの非常に確たる証拠を示さなければならない、とされている。したがって、(科学的な方法を守り、科学的な記述を構築してゆくためには)このような主張(因果律)を含めずに済むならば、そのほうが良いのである[4]

また、「事象 x が、別の事象 y を引き起こした」という単称因果言明は、「この状況においては、事象 x がなければ、事象 y は起きなかったはずだ」という、条件法命題に置き換えると、「因果律」という、途方もない前提は含んでいない。

「この状況においては」という箇所の明示的な記述が必要となってくる。実は、これを厳密に行おうとすると、大きな困難が生じる。というのは、その状況というのは、つきつめると厳密には全宇宙の状態を記述しなければならないということになるからである。このように結局、因果性という概念は、本質的に形而上学的概念である[4]

因果律

物理学における因果律

古典物理学での因果律とは、指定された物理系において「現在の状態を完全に指定すればそれ以後の状態はすべて一義的に決まる」と主張するものであったり、「現在の状態が分かれば過去の状態も分かる」と主張するものである[5]

また相対性理論の枠内においては、情報は光速を超えて伝播することはなく、光速×時間の分以上離れた距離にある2つの物理系には、時間を遡って情報が飛ぶ事なしに、上記の時間内に情報のやり取りは起こらない。物理学の範疇ではこの「光速を超える情報の伝播は存在しない」という原理を同じく因果律という[5]

原子分子程度の極めて小さなスケールの現象では量子力学的な効果が無視できないほど大きく、古典的な意味での因果律は完全には成り立たない[6]。量子力学における基本方程式であるシュレディンガー方程式の解たる状態関数は、シュレディンガー方程式が満たす状態の確率振幅しか与えず、ある時点における物理的な状態が決定したとしてもその後の状態が一義的に決まるわけではないことを示している[7]

古典的定義から離れ因果律の定義を「時間軸上のある一点において状態関数が決まれば以降の状態関数は自然に決まる」と解釈すれば「量子論的領域でも因果律は保たれる」と言える[8]。また、一見因果律が破れているように見える思考実験であるEPR相関においても、実際光速を超えているのは状態関数の波束の収束速度であり、状態関数そのものが演算子によって書き換えられる(つまり情報を受け取る)わけではなく、因果律は保たれていると言える[8]

医学における因果律

病気の治療には原因を特定する事が重要だが、原因と結果を混同あるいは勘違いし、大学病院においてさえもとんでもない医療行為が行われる場合があり、注意が必要である[9]。因果関係の幻想は、実際には無関係な2つのイベントの間に因果関係があるという信念を人々が発達させるときに発生する。健康、財政、幸福などの重要な生活分野に関連して悲惨な結果をもたらすことがある[10]。今日の世界では、科学的証拠よりも個人的な信念、迷信、疑似科学を信頼する傾向が高まっている[11][12][13][14]

歴史

因果律の定義時間の定義とも密接に関係している。また、「時間」や「因果」はそれを認識する人間の主観によっても左右される。いずれにせよ、我々の感覚における「時間」に相当する性質を一部でも持つものを時間として定義し、そうして定義された時間の下で因果と因果律の概念は定義される。

人間の因果に関する認識について問題提起を行った哲学者イギリスディヴィッド・ヒュームがいる。彼は普段人間がある物事と物事を結びつけて考える際、先に起こった事が後の事の原因になっていると観察する暗黙の経験則に導かれているに過ぎないのではないかと疑った。つまり蓋然性は必ずしも必然性を意味しないということであり、連続して起こった偶然錯覚している可能性があるとする。

近世になると西欧でゴットフリート・ライプニッツらによって機械論的な世界観が強く主張され、簡単化された因果律が主張された。そして、20世紀初期にはアルベルト・アインシュタインによって相対性理論が発表されたが、そこには時空連続体という概念が含まれており、因果律についても新たな観点が与えられることとなった。

19世紀末から20世紀初頭に量子力学が形成され、1926年にはエルヴィン・シュレーディンガーによってシュレーディンガー方程式が示された。シュレーディンガー方程式のとなる波動関数 Ψ の物理的解釈は明確ではなかったが、マックス・ボルンによって波動関数の絶対値の2乗 |Ψ|2 が測定値の確率分布確率密度関数)になるという、波動関数の確率解釈が与えられると、すべての物理現象は確率的に起こるという考えが示されるようになった。

このことは、ピエール=シモン・ラプラスが自身の確率論の中で示した「ラプラスの悪魔」の問題とはいささか事情が異なる。「ラプラスの悪魔」とはの情報をすべて持っている観測者のことで、ラプラスは確率的事象は観測者の知る情報量の不足によって生じると考えた。この考えは古典力学に対しては正しいが、量子力学に対しては正しくない。量子力学においては、観測者が完全な情報を得ていたとしても、系の波動関数はシュレーディンガー方程式に従って時間発展し、波動関数そのものは決定論的に振る舞うが、観測される物理現象は確率的に振る舞う。従って、量子論的な世界における因果律は、従来考えられていた古典論に則した因果律とは違ってくる。

量子力学における確率的な現象に対して、古典論と同じようにそれが情報の不足によって現れるとする考えと、量子論的なスケールでは根源的に物理現象は確率的にしか予測できないとする考えが示された。アインシュタインは前者の考えを支持し、1935年にアインシュタインとボリス・ポドルスキーネイサン・ローゼン実在論的な物理モデルが従うべき仮定と隠れた変数理論の必要性を示した[15]。一方、ニールス・ボーアは後者の考えを支持した。

アインシュタイン、ポドルスキー、ローゼンの示した仮定は1967年英語版英語版が提出した英語版によって否定された[16]。また実験的にも、1982年アラン・アスペによって英語版が破れていることが報告され、局所実在論的な隠れた変数理論は否定された。CHSH不等式とは、ジョン・スチュワート・ベルが局所実在論的な測定モデルが満たすべき条件として導出したベルの不等式の一種であり、ジョン・クラウザー英語版英語版英語版らによって示された不等式のことである。

因果律についてボーアは、あくまで人間的なスケールにおいて近似的に成り立っているに過ぎず、微視的なスケールでは成り立っていない、と考えていた[17]。ボーアの考えは、当時の量子力学は原子分子のスケールで起こる現象を中心に取り扱っていて、原子などに比して巨大な系に対する量子論的な現象が知られていなかったことによる。

SFなどにおける因果律

因果律は、サイエンス・フィクション(SF)の分野ではしばしば扱われるテーマである。例えばタイムマシンについて、その存在により因果律が破綻することによるパラドックス(タイムパラドックス)がエッセンスとして用いられたり、または、そのようなパラドックスの「発生を防ぐ」という事が物語の主要テーマとして用いられるような例がある。

また、タイムマシンの可能性を否定する根拠として"因果律"が用いられている場合がある。タイムパラドックスの存在がその根拠とされる。しかし、因果律自体が科学的客観的に証明された事実ではない以上、タイムマシンの存在を否定する根拠として用いるのは不適当である。「ただし、因果律について考察を行う場合には、仮にタイムマシンの存在を仮定してみることが必要不可欠である」という。

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ つまり、現代の創発の概念にもつながるような発想の原稿。
  2. ^ 光学』において、「空間は sensorium dei(神の感覚中枢)」と記述している。

出典

  1. ^ Oxford Dictionaries
  2. ^ a b c d e 大沼正則 (1978)
  3. ^ 平凡社『西洋思想大事典』(1990)【因果性】
  4. ^ a b c 『哲学・思想 事典』
  5. ^ a b 平凡社『世界大百科事典』 vol.7 p.7【因果律】。
  6. ^ 平凡社『西洋思想大事典』 (1990)【因果性】p.595。
  7. ^ Peskin, Schroeder (1995) Chapter 2 他。
  8. ^ a b 上田 (2004)
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  17. ^ ボーア論文集 (1)

参考文献

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  • 『世界大百科事典』平凡社。
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  • 『現代量子物理学』培風館、2004年12月。ISBN 978-4563022655
  • L D Landau, E.M. Lifshitz (1976-12-31). Quantum Mechanics: Non-Relativistic Theory. Course of theoretical physics 3 (3rd ed.). Butterworth-Heinemann. ISBN 978-0750635394 
  • Michael E. Peskin, Daniel V. Schroeder (1995-10-02). A Introduction to Quantum Field Theory. Westview Press. ISBN 978-0201503975 
  • 江夏弘「場の量子論における相対論的 Hamilton 形式と微視的非因果律」『立命舘大学理工学研究所紀要』第11巻、1964年、 65-66頁。
  • 「高エネルギーで因果律の破れている可能性」『素粒子論研究』第36巻第3号、1967年11月、 231-242頁。
  • 関根松夫「因果律の破れと高エネルギー π-N 全断面積」『素粒子論研究』第40巻第5号、1970年1月、 200-202頁。
  • 稲垣久和「微視的因果律の破れと共鳴準位」『素粒子論研究』第49巻第1号、1974年3月、 22-34頁。
  • 藤沢令夫「Aitia-Causa-Cause --「因果律」とは基本的に何だったのか」『理想』第634号、1987年4月、 100-103頁。
  • 「複雑系と多対多の因果律(研究会「複雑系」研究会報告)」『物性研究』第59巻第3号、1992年12月、 343-347頁。
  • ニールス・ボーア『ニールス・ボーア論文集〈1〉因果性と相補性』岩波文庫。
  • A. Einstein, B. Podolsky, and N. Rosen (1935). “Can Quantum-Mechanical Description of Physical Reality Be Considered Complete?”. Physical Review 47: 777-780. http://prola.aps.org/abstract/PR/v47/i10/p777_1. 
  • S. Kochen, and E.P. Specker (1967). “The problem of hidden variables in quantum mechanics”. Journal of Mathematics and Mechanics 17: 59–87. 

関連項目


 

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