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✈|ワクチン県内第1便、きょうにも到着


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ワクチン県内第1便、きょうにも到着

 
内容をざっくり書くと
政府が1日から都道府県へ配送している医療従事者向けの新型コロナウイルスワクチンの県内第1便は、那覇空港に2日にも到着する。
 

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都道府県

都道府県(とどうふけん)は、日本広域的地方公共団体である「」「」「」「」の総称。

現在は47都道府県が存在し、その内訳は1都1道2府43県(都:東京都の1、道:北海道の1、府:京都府および大阪府の2、県:それら以外の43)である。

市町村(しちょうそん)とともに普通地方公共団体の一種。

概要

都道府県とは、日本における行政区画の一つである。

市町村が「基礎的な地方公共団体」(地方自治法2条4項)とされるのに対して、都道府県は「市町村を包括する広域の地方公共団体」(同条5項)とされ、広域にわたる事務や市町村に関する連絡事務などを処理する。

日本全国は、1724市町村792市743町189村)及び23特別区東京都区部)にくまなく分けられ、全ての市町村および特別区は47都道府県1都1道2府43県)のいずれか一つに包括されている[1]、二段階の地方制度である。

都道府県には、議決機関として議会(都道府県議会)、執行機関として知事(知事部局)を置く。そのほか、公安委員会(都道府県公安委員会)と警察本部教育委員会選挙管理委員会監査委員などの委員会および委員とその事務部局を置く。都道府県は自治権を有し、条例・規則を制定し、地方税・負担金などを賦課・徴収し、地方債を発行する権能を有する。

都道府県の行政事務の中枢となる組織及び庁舎を都道府県庁といい、都道府県内の1都市(都道府県庁所在地)に設置されている。その都市名は、都道府県名と同じ県もあれば、異なる県もある(#名称参照)。

1947年昭和22年)5月3日日本国憲法施行に合わせて同日に地方自治法も施行され、都道府県と市町村を中心とする地方自治制度が開始した。地方自治法には、統一的な都道府県制度が定められた。ただし、都道府県のうち、都は、特別区に対する一定の調整権限を有することが特徴的である。府県の間には法律上の違いはなく、名称の違いはもっぱら歴史的なものである[2]。道は、地方自治法上は府県と同じ扱いであるが、府県とは若干異なる警察組織を有するほか(警察法46条・51条)、河川法(96条)、道路法(88条)などには道についての特例がある。

日本の都道府県のうち一部をいう場合、北海道が含まれない場合は「都府県」、東京都が含まれない場合は「道府県」などという用法もある。

歴史

明治期の制度改変

江戸時代幕藩体制の時代には、領国支配・分割統治が行われていたが、明治維新により、段階を経ながら中央集権体制が確立されていった。

1871年明治4年)の廃藩置県に前後して、順次設置された府・県・庁・都のいずれにおいても、内務省によって任命された官選知事が行政を司り、国の地方行政機関として位置付けられていた。一方、それぞれに民選議会が設置されており、ある程度の地方自治が存在した。

府県

1868年慶応4年・明治元年)、江戸幕府の直轄領(幕領旗本の領地)が明治政府の直轄領になった。政府は三都江戸大坂)や、開港5港などを管轄する重要地域をとし、それ以外をとして、府に「知府事」が、県に「知県事」が置かれた。はそのまま大名(諸侯)が治めた。

1869年9月1日(明治2年7月25日)、かねてより諸侯から出されていた版籍奉還の願い出を受け入れ、諸侯を代替わりさせた上で知藩事として引き続き各藩の統治を任せた(廃止された藩もある)。

この時点で、諸侯は領地と領民に対する統治権を全て天皇に奉還したことになっているものの、実質的な地方支配体制は、幕藩体制江戸幕府の地位を明治政府が引継ぎ大名の役名や任地などの名称が変更されただけであり、府藩県三治制と呼ばれる(府県のみ直轄)。

1869年9月29日(明治2年8月24日)の太政官布告によって、京都府東京府大阪府以外は全て県と称することが決まり、前後して他の府(神奈川府新潟府越後府甲斐府度会府奈良府箱館府長崎府)が県に名称変更した。この時点では、天皇東京行幸東京にいたが、高御座(天皇の在所を示す玉座で、これのある場所が皇居とされる)の移動が無かったので、高御座のある京都府の方が東京府より序列が前になっている。なお、この太政官布告前は、東京府は江戸府と呼ばれており、同時に江戸から東京に改称された。

1871年8月29日(明治4年7月14日)に行われた廃藩置県により、藩は県となって、全国が明治政府の直轄となった。結果的に、1使(開拓使)3府(東京府・京都府・大阪府)302県となる。この時点では江戸時代の藩や天領の境界をほぼそのまま踏襲したものであったため、飛び地が全国各地に見られ、府県行政に支障を来たしていた。同年12月にはこれを整理合併(第1次府県統合)し、1使3府72県となった。

1876年(明治9年)に県の大規模合併(第2次府県統合)が行われ、1878年(明治11年)に制定された地方三新法の1つ、郡区町村編制法により合併や領域変更が行われ、一時は37府県まで減ったものの、分割運動によって1889年(明治22年)の市制町村制1890年(明治23年)の府県制郡制の制定を経て、1庁(北海道庁)3府(東京府・京都府・大阪府)43県となった。1890年(明治23年)以後、県の合併・分割は一切行われず、1943年(昭和18年)に正式に内地編入された樺太庁が追加されたほか、同年、東京府が東京都となり現在に至っている(終戦時、1都(東京都)2庁(北海道庁・樺太庁)2府(京都府・大阪府)43県)。

なお、1902年(明治35年)、内務省は47道府県から19県を廃止して28道府県に統合する内容の「府県廃置法律案」を計画していた[3][4]1903年(明治36年)11月には第一次桂太郎内閣により閣議決定され[5]、翌1904年(明治37年)4月をもって施行される予定であった。しかし同年12月の衆議院の解散や1904年2月の日露戦争勃発[6]により議会への提出には至らず、結局成立しなかった[7][8][9]

廃藩置県後、県の長官は「知県事」から「県令」と改称され、京都府・東京府・大阪府など府の長官は「知府事」から「知事」と改称された。1886年(明治19年)以後は、両者とも「知事」と呼ばれた。府知事や県令(県知事)は、内務省から派遣される官僚であった。一方で、1878年(明治11年)に制定された地方三新法の1つである府県会規則(北海道には適用されなかった)によって府県会が置かれることになり、地方自治の主体としての性格も併せ持った。

1889年(明治22年)に市制が始まるが、を代表するのは市会であり、現在のように市長ではなかった。ただし、「県」下の市には「市会推薦市長」が存在したのに対し、「府」下の市(東京市京都市大阪市)には市長は存在せず、府知事がその役を兼務した(市制特例参照)。これら3市では、1898年(明治31年)10月になって初めて市長が生まれた。

国の地方行政官庁としての府県は、勅令である「地方官官制」によって、地方自治体としては法律である「府県制」(明治23年 法律第35号:明治32年、法律第64号で全面改正)によって規定されている。

沖縄県は、「県」が設置される経緯が、他の42県と異なっている。

都道府県数の推移
年月日備考
1868年8月2日
(慶応4年6月14日)
2府最初の府県として箱館府京都府設置。
以降、府藩県三治制下において政府直轄地が順次府県となる
1869年9月20日
(明治2年8月15日)
-府-県開拓使設置)
1871年8月29日
(明治4年7月14日)
3府302県廃藩置県。北海道の一部を除く国内全域が府県となる
1872年2月10日
(明治5年1月2日)
3府72県1月19日(前年12月10日)- 第一次府県統合
1875年12月20日3府59県第二次府県統合前
1876年1月2日3府35県前年12月10日 〜
第二次府県統合。廃藩置県後では最少の府県数
1879年4月4日3府36県沖縄県設置
1880年3月2日3府37県徳島県分立
1881年2月7日堺県編入、福井県分立
1881年9月12日3府38県鳥取県分立
1882年2月8日3府41県開拓使を3つの県に移行
1883年5月9日3府44県富山県佐賀県宮崎県分立
1886年1月26日3府41県1庁3つの県を北海道庁に移行
1887年11月4日3府42県1庁奈良県分立
1888年12月3日3府43県1庁香川県分立
1899年3月16日府県制が3府4県に施行され、北海道と沖縄県を除く
全3府42県が「自治体」となる
1943年1月20日3府43県2庁樺太庁の内地編入を閣議決定
1943年7月1日1都2府43県2庁東京府を東京都に移行
1945年1都2府42県2庁沖縄県がアメリカ施政下に入る
1946年6月1日1都2府42県1庁国家行政組織法の施行により樺太庁が正式に廃止される。
1946年9月27日1都1道2府42県府県制改正により北海道庁を北海道に移行
1947年5月3日地方自治法施行により都道府県が「普通地方公共団体」となる
1972年5月15日1都1道2府43県沖縄返還により沖縄県が復帰
※開拓使および戦前における外地は除いた。

北海道」という呼称は、1869年(明治2年)7月開拓使設置と同年、「松前地」および「蝦夷地」と呼ばれた地域を改称し、北海道11国86郡を制定したのに始まる。これは律令制の下で68の五畿七道に区分した用法と整合する。渡島国の一部については廃藩置県で成立した館県が弘前県に吸収・青森県の一部となっていたが後に開拓使に移管。1882年(明治15年)に開拓使が廃止されて道内を三分する函館県札幌県根室県の3県が設置されたが、1886年(明治19年)に廃止され「北海道庁」が設置された。

当時、北海道庁の管轄域を「北海道」と呼んだが、「北海道」は単なる地域呼称・地方名であり、現在のような「道」という自治体名ではない(内地編入された樺太における樺太庁の命名法と共通する)。従って、地方行政官庁として他の府県と並列するときには「庁府県」という表現が用いられた。

北海道庁官制(明治19年 勅令第83号(後に全面改正))によって北海道庁長官を他府県の知事に当たる官職とした。1901年(明治34年)、(明治34年 法律第2号)および(明治34年 法律第3号)が公布されて議会が設置され、「北海道地方費」という名称の法人格を持つ地方自治体となった。なお、北海道会は府県会と比べて議会の権限は狭かった。その後、樺太(共通法1条2項では内地に含まれた)における法令上の特例が廃止され、新たに樺太庁が正式に加わり2庁となった。

昭和期の制度改変

第二次世界大戦中の1943年(昭和18年)7月1日東京都制(昭和18年 法律第89号)の施行により、東京市東京府に吸収され「東京都」となり、市制と自治権を剥奪された。東京都官制(昭和18年 勅令第504号)により「東京都長官」が長官とされ、東京都を設置した内務官僚である大達茂雄が、その第1代に任命された。

東京都制によって都議会が設置され、旧・東京市内の各区にも区会が置かれたが、特に区部に対する国の統制は強力だった。

道府県

戦後、1946年(昭和21年)9月の府県制改正に伴って、とが廃止されて府県制に統合され、同法は道府県制と改称された。この改正法の附則の規定により従来北海道地方費と呼んできた自治体を「道」と呼ぶものとされた。

1947年(昭和22年)5月3日の地方自治法施行とともに、北海道庁官制も廃止され、地方行政官庁であった北海道庁も、普通地方公共団体の一つである「北海道」となった。

地方自治法施行以後

都道府県

1947年(昭和22年)4月、日本国憲法第92条で予定された法律として地方自治法が公布された。この中で都道府県は、以前の「中央政府の下部機関」という立場ではなく、市町村と同様の「普通地方公共団体」に位置づけられ、議会議員のみならず知事選挙によって選ばれることになった。ただし、1947年(昭和22年)4月に実施された最初の知事公選はまだ成立していなかった地方自治法ではなく、前述の府県制(道府県制)・東京都制改正で地方長官について公選制が導入されたことを根拠に行われた。この時点で、1都(東京都)1道(北海道)2府(京都府・大阪府)42県。その後、1972年(昭和47年)にアメリカから返還された沖縄に沖縄県が置かれ、再び43県となっている。

都道府県知事が公選となる一方で、戦前に起源を持つ機関委任事務制度は2000年(平成12年)に廃止されるまで長く存続した。都道府県は、普通地方公共団体として市町村と対等であるが、都道府県は市町村を包括する広域の地方公共団体として、広域にわたるもの、市町村に関する連絡調整に関するもの及びその規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当でないと認められるものを処理する(地方自治法(第2条第5項))。

しかし、「都」・「道」・「府」・「県」という「単位」の定義が地方自治法には明記されておらず、現在の都道府県名は同法第3条第1項の「地方公共団体の名称は、従来の名称による」という規定に基づいて使われている。ただし、「都」については単なる名称ではなく、「道府県」とは異なる性格を有する。すなわち、地方自治法上、「都」の「区」は「特別区」とされており(地方自治法281条1項)、「道府県」とは異なる取扱いである。なお、道府県であっても大都市地域における特別区の設置に関する法律に基づき特別区を設置することは可能であり、特別区を包括する道府県は、地方自治法その他の法令の規定の適用については、原則として「都」とみなされる(同法10条)。

沖縄県

沖縄県1945年(昭和20年)から(正式にはサンフランシスコ講和条約が発効した1952年(昭和27年)4月28日から)1972年(昭和47年)のアメリカによる占領下では、日本の統治下になかったため、この時期における沖縄の扱いは微妙であり、国会では「琉球政府」、「南西諸島」などの呼称が使用され、都道府県の数では「1都1道2府42県」の「46都道府県」などと数えられ、沖縄は県の数として含められていない[10]

沖縄復帰を前に制定された「沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律」では、かつての沖縄県が「地方自治法に定める県として存続する」ものとされた。

制度

議決機関

都道府県に納める税

廃置分合

都道府県を合併したり、新しく都道府県を設置したりすることを「廃置分合」といい、次のように分けられる。

  • 複数の都道府県を廃止して、新たに都道府県を設置する(合体)。
  • 一の都道府県を廃止して、その区域を他の都道府県の区域とする(編入)。
  • 一の都道府県を廃止して、その区域に複数の都道府県を設置する(分割)。
  • 都道府県の区域の一部を分けて、都道府県を新設する(分立)。

廃置分合については、都道府県の設置・廃止を伴わずに区域のみを変更する「境界変更」(市町村の所属都道府県の転属を含む)と併せて、地方自治法第6条及び第6条の2に規定されている。

廃置分合の原則的な手続き

法律による(第6条第1項)。この法律は、憲法95条に定める「一の地方公共団体のみに適用される特別法」(地方自治特別法)であると解されるので、関係都道府県において住民投票を行い、それぞれ過半数の賛成を得なければ効力を生じない(詳細な規定は地方自治法第261条第262条)。

合体と編入の例外

平成16年法律第57号による改正で、簡略な方法による合体・編入の手続きが新設された。

  • 複数の都道府県を廃止して、その区域全部に新しい都道府県を設置するとき
  • 一の都道府県を廃止して、その区域全部を他の一の都道府県の区域とするとき

に限って、

  • 関係都道府県の議会の議決により申請し、
  • 国会の承認を経て内閣が定める。

という手続きによることができるようにしたものである(地方自治法第6条の2)。

これは、長野県山口村岐阜県中津川市との合併の際に、都道府県にまたがる市町村の合体(新設合併)には法律の制定が必要なこと(後述)がクローズアップされたことや、道州制導入の前段としての自主的な都道府県合併を促す必要があるとの趣旨で設けられたものである。

廃置分合と知事・議会議員

  • 合体の場合、関係都道府県の知事と議会議員は失職し、新しく設置された都道府県で知事選挙と議員選挙が実施される。
  • 編入の場合、編入された都道府県の知事と議員は失職するが、編入をした都道府県の知事と議員は失職しない。
  • 分割の場合、廃止される都道府県の知事と議員は失職し、分割後に新しく設置された都道府県で知事選挙と議員選挙が実施される。
  • 分立の場合、分離前の都道府県の知事と議員は失職せず、分離されて新しく設置された都道府県で知事選挙と議員選挙が実施される。

境界変更

都道府県の境界変更も、廃置分合と同じく法律(地方自治特別法)によることを原則とするが、次のような場合は「自ら変更する」こととなっている(地方自治法第6条第2項)。

  • 都道府県の境界でもある市町村の境界に変更があったとき
  • 都道府県の境界にわたって市町村の設置があったとき

この2つの場合においては、関係する市町村・都道府県が、それぞれ議会の議決を経て申請し、総務大臣が定めることとなる(第7条第3項)。

  • 従来地方公共団体の区域に属しなかった地域を市町村の区域に編入したとき

市町村の境界変更と同じく、市町村の区域に変更があったことに伴う変更であるからである。

所属都道府県の変更

一の市町村又は一の郡の全体が他の都道府県に編入されるときも、都道府県の境界変更であり、法律によることとなる(昭和25年9月9日付け)。

都道府県にまたがる市町村の合体

異なる都道府県に所属する市町村が廃止され、その区域に市町村が設置される場合は、関係する市町村・都道府県が、それぞれ議会の議決を経て申請し、総務大臣が定める(第7条第3項)。

従来、都道府県の境界を越える市町村の合体(複数の市町村を廃止して、その区域に新たに市町村を設置すること)にも、第6条第1項により、新たに制定される法律によるものとされていた(昭和28年6月29日付け 自行行発第195号)。

そのためもあり、2005年平成17年)の長野県山口村と岐阜県中津川市との合併は、中津川市への編入という形をとることになった。それを契機として、平成16年法律第57号による改正により、都道府県の境界にわたる市町村の境界変更の手続きと同様の簡易な手続きによることとされた。

分割論が存在する地域

1876年(明治9年)に大規模合併が実施された県では分割運動が起こって再度分割された県も存在するが、1888年(明治21年)末に香川県愛媛県から分離されて以来、都道府県の分割は実施されていない。

しかし今もなお、都道府県の分割を求める声が市町村長や都道府県知事やネット上などで見られる。ここでは、市町村長や都道府県知事が県の分割や分離を示唆している都道府県を挙げる。

福井県
2006年(平成18年)3月上旬に、嶺南(若狭地方)に当たる敦賀市小浜市市長が「(もし道州制が敷かれる際に、)嶺北(越前地方)が北陸州へ入るなら、嶺北とは縁を切っても近畿州へ入る」と発言し、嶺南の福井県からの脱退を示唆している。
長野県
筑摩県が分割されて長野県に編入されて以来、分割を求める動きが度々出ている。両県の合併後、県内地理教育唱歌として作られた「信濃の国」が事実上の県歌として広く歌われ、県民意識統合の象徴とされた(1968年、正式に県歌として制定)。
山口県下関市福岡県北九州市
関門海峡の両岸に位置する下関市と北九州市が合併して、山口県や福岡県、さらには道州制のにも属しない「関門特別市」を結成する動きがある。
兵庫県
五畿七道(五畿八道)のうち畿内山陰道山陽道南海道に跨り(47都道府県中最多)、令制国では摂津国丹波国但馬国播磨国美作国備前国淡路国の7ヶ国に跨り(北海道の11ヶ国に次ぐ)、それぞれ異なる歴史や風土を持っているために分離論がある。7つの国境、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字、1つの国家と形容された「ユーゴスラビア」になぞらえた「ヒョーゴスラビア」という渾名さえある[11]

一覧

地図上の配置を示す。北海道と沖縄県は別枠とした。

上の地図で不明瞭、または省略されている主な離島の所属は以下の通り。

地方別

最も一般的な地方区分に従って都道府県の一覧を示す。このほかの地方区分については日本の地域を参照。

Regions and Prefectures of Japan no labels.svg島嶼地方都道府県
北海道 北海道地方北海道
本州 東北地方青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県
関東地方茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県
中部地方新潟県 富山県 石川県 福井県 山梨県 長野県 岐阜県 静岡県 愛知県
近畿地方三重県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県
中国地方鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県
四国 四国地方徳島県 香川県 愛媛県 高知県
九州・沖縄 九州・沖縄地方福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県

五十音順・基礎データ

ISO/JIS
番号
都道府県読み都道府県庁
所在地
最大都市地方面積
(km2)
人口人口密度
(人/km2)
市町
国会定数
/
2323愛知県あいちけん名古屋市名古屋市愛知県の旗中部5,172.407,484,0941,446.95415 / 8
0202青森県あおもりけん青森市青森市青森県の旗東北9,645.401,308,649135.74003 / 2
0505秋田県あきたけん秋田市秋田市秋田県の旗東北11,637.541,022,83987.92503 / 2
1717石川県いしかわけん金沢市金沢市石川県の旗中部4,186.151,154,343275.81903 / 2
0808茨城県いばらきけん水戸市水戸市茨城県の旗関東6,096.932,917,857478.64407 / 4
0303岩手県いわてけん盛岡市盛岡市岩手県の旗東北15,275.021,279,81483.83303 / 2
3838愛媛県えひめけん松山市松山市愛媛県の旗四国5,676.101,385,840244.22004 / 2
4444大分県おおいたけん大分市大分市大分県の旗九州6,340.611,166,729184.01803 / 2
2727大阪府おおさかふ大阪市大阪市大阪府の旗近畿1,904.998,838,9084,639.94319 / 8
3333岡山県おかやまけん岡山市岡山市岡山県の旗中国7,114.621,922,181270.22705 / 2
4747沖縄県おきなわけん那覇市那覇市沖縄県の旗沖縄2,281.001,434,138628.74104 / 2
3737香川県かがわけん高松市高松市香川県の旗四国1,876.73976,756520.51703 / 2
4646鹿児島県かごしまけん鹿児島市鹿児島市鹿児島県の旗九州9,188.101,648,752179.44304 / 2
1414神奈川県かながわけん横浜市横浜市神奈川県の旗関東2,415.819,127,3233,778.23318 / 8
2121岐阜県ぎふけん岐阜市岐阜市岐阜県の旗中部10,621.292,032,533191.44205 / 2
2626京都府きょうとふ京都市京都市京都府の旗近畿4,612.202,610,140565.92606 / 4
4343熊本県くまもとけん熊本市熊本市熊本県の旗九州7,409.321,786,969241.24504 / 2
1010群馬県ぐんまけん前橋市高崎市群馬県の旗関東6,362.281,973,476310.23505 / 2
3939高知県こうちけん高知市高知市高知県の旗四国7,103.91728,461102.53402 / ※
1111埼玉県さいたまけんさいたま市さいたま市埼玉県の旗関東3,797.757,261,2711,912.06315 / 7
4141佐賀県さがけん佐賀市佐賀市佐賀県の旗九州2,440.64833,245341.42002 / 2
2525滋賀県しがけん大津市大津市滋賀県の旗近畿4,017.381,413,184351.81904 / 2
2222静岡県しずおかけん静岡市浜松市静岡県の旗中部7,778.703,701,181475.83508 / 4
3232島根県しまねけん松江市松江市島根県の旗中国6,708.23694,188103.51902 / ※
1212千葉県ちばけん千葉市千葉市千葉県の旗関東5,157.646,224,0271,206.85413 / 6
1313東京都とうきょうと新宿区 東京23区世田谷区 東京23区東京都の旗関東2,190.9013,513,7346,168.16225 / 12
3636徳島県とくしまけん徳島市徳島市徳島県の旗四国4,146.93756,063182.32402 / ※
0909栃木県とちぎけん宇都宮市宇都宮市栃木県の旗関東6,408.091,974,671308.22505 / 2
3131鳥取県とっとりけん鳥取市鳥取市鳥取県の旗中国3,507.05573,648163.61902 / ※
1616富山県とやまけん富山市富山市富山県の旗中部4,247.611,066,883251.21503 / 2
4242長崎県ながさきけん長崎市長崎市長崎県の旗九州4,132.321,377,780333.42104 / 2
2020長野県ながのけん長野市長野市長野県の旗中部13,561.562,099,759154.87705 / 2
2929奈良県ならけん奈良市奈良市奈良県の旗近畿3,690.941,365,008369.83903 / 2
1515新潟県にいがたけん新潟市新潟市新潟県の旗中部12,584.102,305,098183.23006 / 2
2828兵庫県ひょうごけん神戸市神戸市兵庫県の旗近畿8,400.905,536,989659.14112 / 6
3434広島県ひろしまけん広島市広島市広島県の旗中国8,479.382,844,963335.52307 / 4
1818福井県ふくいけん福井市福井市福井県の旗中部4,190.43787,099187.81702 / 2
4040福岡県ふくおかけん福岡市福岡市福岡県の旗九州4,986.405,102,8711,023.46011 / 6
0707福島県ふくしまけん福島市いわき市福島県の旗東北13,783.751,913,606138.85905 / 2
0101北海道ほっかいどう札幌市札幌市北海道の旗北海道83,424.225,383,57968.617912 / 6
2424三重県みえけん津市四日市市三重県の旗近畿5,774.391,815,827314.52904 / 2
0404宮城県みやぎけん仙台市仙台市宮城県の旗東北7,282.142,334,215320.53506 / 2
4545宮崎県みやざきけん宮崎市宮崎市宮崎県の旗九州7,735.311,104,377142.82603 / 2
0606山形県やまがたけん山形市山形市山形県の旗東北9,323.151,122,957120.43503 / 2
3535山口県やまぐちけん山口市下関市山口県の旗中国6,112.301,405,007229.91904 / 2
1919山梨県やまなしけん甲府市甲府市山梨県の旗中部4,464.99835,165187.02702 / 2
3030和歌山県わかやまけん和歌山市和歌山市和歌山県の旗近畿4,724.68963,850204.03003 / 2

名称

現行都道府県の起源である庁府県の
設置当時の庁舎所在地と郡[12]
庁府県所在郡所在地現所在地
北海道庁札幌郡札幌 

青森県津軽郡青森
岩手県岩手郡盛岡
宮城県宮城郡仙台
秋田県秋田郡秋田[13]
山形県村山郡山形
福島県信夫郡福島

茨城県茨城郡水戸
栃木県都賀郡栃木宇都宮[14]
群馬県群馬郡高崎前橋
埼玉県埼玉郡岩槻[15]さいたま[16]
千葉県千葉郡千葉
東京府豊島郡東京新宿[17]
神奈川府橘樹郡神奈川横浜[18]

新潟府蒲原郡新潟 
富山県新川郡富山
石川県石川郡美川金沢[19]
福井県足羽郡福井 
山梨県山梨郡甲府
長野県水内郡長野
岐阜県厚見郡岐阜
静岡県安倍郡静岡
愛知県愛知郡名古屋

三重県三重郡四日市
滋賀県滋賀郡大津 
京都府葛野郡京都
大阪府東成郡大阪
兵庫県八部郡兵庫神戸
奈良県添上郡奈良 
和歌山県名草郡和歌山

鳥取県邑美郡鳥取
島根県島根郡松江
岡山県御野郡岡山
広島県沼田郡広島
山口県吉敷郡山口

徳島県名東郡徳島
香川県香川郡高松
愛媛県温泉郡松山
高知県土佐郡高知

福岡県早良郡福岡
佐賀県佐賀郡佐賀
長崎府彼杵郡長崎
熊本県飽田郡熊本
大分県大分郡府内大分[13]
宮崎県宮崎郡上別府宮崎[13]
鹿児島県鹿児島郡鹿児島 
沖縄県島尻郡那覇

表(庁府県設置当時の庁舎所在地と郡)からも明らかなように、都道府県名の原則は庁舎所在地である。ただし、県名の根拠となった地名が以下に該当する場合には都道府県名は庁舎所在地の現在の市名と一致しない。

1888年(明治21年)以降都道府県名の地名部分に変更が無く、都道府県名が定着した現在においては、都道府県名の地名部分のみで都道府県の領域全体を指す(例えば「青森」で青森という都市ではなく青森県全体を指す)用法が一般に用いられるが、本来は領域の一部分のみを示す地名である。特に県名が庁舎所在地の市名と一致しない場合には、県名が元々から領域全体を指す地名であると誤解されていることが多い。現行都道府県名の地名部分が都道府県の領域全体を示しているのは北海道愛媛県のみである。

都府県名に庁舎所在地を用いる原則は、府藩県三治制における命名規則廃藩置県後にも継承したものと考えられる。江戸時代を通じて藩の命名に統一方針があったとは認められず(そもそも「藩」という呼称自体が当時の正式なものではない)、城下町名(例えば「鹿児島藩」)、令制国名などの広域地名(例えば「薩摩藩」)、藩主の姓(例えば「島津藩」)のいずれを称するかは定まっていなかった。庁舎所在地の都市名や村名(ごく一部で例外的に郡名、県や府では令制国名も使用[24])を用いる命名のみが専ら用いられるようになったのは府藩県三治制以降である。

その後、廃藩置県直後の第1次府県統合の際およびその直後(約7箇月以内)に、「都市名」に基づく県名を「郡名」などに改称した事例が数多くあり、その具体的な理由は必ずしも明らかでない。なお、この改称が戊辰戦争における「順逆」を表示するという明確な政治的意思に基づいて行われたとする説(賞罰的県名説)があるが、この説には「順逆」の評価基準が明確でない政治的意思の存在が論証できないなどの問題点がある。

第1次府県統合直後の改称以降、県庁舎の移転に伴わない県名の変更は例外的である。統廃合に際しても、いずれかの県庁舎が継承される場合には、その県名も継承している(廃藩置県#第1次府県統合から第2次府県統合までの異動の「統合」「編入」および廃藩置県#第2次府県統合の「編入」参照)。明白な例外は、管轄地域全体を象徴する「雅称」を県名とした石鉄県神山県が合併する際に新たな「雅称」として愛媛県と命名した事例と、同じく「雅称」であった白川県を原則通りの熊本県に改名した事例の2例のみである。例外に準ずる事例も、廃止された新川県足羽県名東県を復活する際に元の県名ではなく富山県福井県徳島県とした3例に限られる。第2次府県統合以降には、県庁舎を他の都市に移転した事例(栃木県)や県名の根拠となる地名が消滅した事例(島根郡神奈川町の合併消滅など)においても県名は変更されていない。

都道府県の英訳名

都道府県の英語訳としては『prefecture』が使われるが、この単語は中央政府から派遣される県知事(prefect)の管轄範囲という語感を伴っており(類似例: フランス)、知事公選制となった戦後においてはこの単語は語感に沿わないものになっているが、戦前からの慣例で今でも使われ続けている。なお、東京都の場合には『metropolis』も用いられる。北海道の場合は『prefecture』を用いず、『Hokkaido』のみで表すこともある。

シンボル

多くの都道府県は都道府県旗都道府県章シンボルマークなどを制定している。これらは国民体育大会などの行事で用いられるほか、都道府県の施設で掲揚されたり、都道府県が管理する施設の標識に用いられたりしている。

また多くの都道府県では、「県の」、「県の」、「県の」を定めている。中には、「県の魚」「県の獣」を定めているところもある。詳細は都道府県のシンボルの一覧を参照。

そのほかのシンボルについては、以下を参照。

脚注

[脚注の使い方]

注釈

出典

  1. ^ 市町村数を調べる|政府統計の総合窓口(2020年10月29日閲覧)
  2. ^ 塩野宏、行政法Ⅲ第3版、137頁、有斐閣、2006年
  3. ^ 府県廃置法律案(解散ノ為提出ニ至ラサリシモノ)” (日本語). 国立公文書館 デジタルアーカイブ. 独立行政法人 国立公文書館. 2020年12月31日閲覧。
  4. ^ ただし厳密には、法律案には北海道と沖縄県については記載がない。なお、当時の北海道は府県制とは別の「北海道地方費」が公法人で、北海道庁が統治していた。また「沖縄県」は1879年(明治12年)に発足したが、1909年(明治42年)までは他県のような府県制が施行されていなかった。
  5. ^ 竹永三男. “第一次桂太郎内閣下の府県廃合計画と福岡世徳・松江市長の上京活動 (松江市史研究1)”. しまね地域資料レポジトリ. 松江市教育委員会. 2020年12月31日閲覧。
  6. ^ 日露戦争関連年表”. 日露戦争特別展. 国立公文書館 アジア歴史資料センター. 2021年1月2日閲覧。
  7. ^ 日本経済新聞社・日経BP社. “北関東3県は「宇都宮県」に 幻の28道府県案|エンタメ!|NIKKEI STYLE” (日本語). NIKKEI STYLE. 2020年12月19日閲覧。
  8. ^ 齊藤忠光 (2013). “府県廃置法律案附図【大日本帝国全図】”. 日本地図学会『地図』 第51巻3号: 17. 
  9. ^ 齊藤 忠光『府県廃置法律案附図【大日本帝国全図】』, 「地図」第51巻3号, 2013年, 17-18頁”. J-STAGE. 2020年12月19日閲覧。
  10. ^ 国会議事録第6回衆議院地方行政委員会10号(昭和24年11月25日)門司委員、あるいは国会議事録第38回参議院文教委員会9号(昭和36年03月09日)矢嶋三義など多数
  11. ^ “兵庫ってヒョーゴスラビア連邦 SNS投稿に反響”. 神戸新聞. (2018年8月25日). https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201808/0011576140.shtml 2018年12月19日閲覧。 2018年8月の記事だが、文中には「"ヒョーゴスラビア"は数年前にもネット上で話題になった」との記述もある。
  12. ^ 地名部分を維持したまま種別のみ変更されたものについてのみ変更前まで遡っている。地名部分が同じ県が一旦廃止されている場合は復活したときの庁舎。東京・京都・大阪の郡としては江戸城二条城大阪城の郡を記した。
  13. ^ a b c 大分と宮崎は県設置より後で県庁所在地名を郡名に合わせて改称している。秋田も明治に入ってからの郡名への改称だが、県設置より前である。
  14. ^ 栃木県の県名と県庁所在地名の相違は、宇都宮県と旧栃木県が合併する際の対立が長く続いたため、県庁を栃木から宇都宮へ移転する代わりに県名を「栃木県」のままとすることで両者の顔を立てたものである。
  15. ^ 埼玉県設置時には岩槻が県庁所在地に予定されていたが浦和に仮庁舎が設置され、岩槻に移転することなくそのまま浦和が県庁所在地として定着した。浦和は埼玉郡ではなく足立郡である。
  16. ^ 県庁所在地であった浦和市が大宮市、与野市と合併して成立した市である。後に、当初の県庁所在予定地であった岩槻市を編入している。
  17. ^ 新宿区も旧東京市の一部であり、現在の都庁の所在地は旧淀橋区で、東京市編入前は豊島郡(後の南豊島郡⇒豊多摩郡)であった。
  18. ^ 市町村名としての「神奈川」は消えたが、現在は横浜市「神奈川区」が県名の根拠地に存在する。
  19. ^ a b 石川県は現在の県庁所在地ではない美川(現・白山市)の所属郡が根拠であるが、現所在地の金沢も同じく石川郡内である。
  20. ^ 第1次府県統合以降に庁舎所在地の「郡名」を県名とした事例で県として現存しないもの(一旦廃止されて異なる県名で復活したものを含む)は磐井県置賜県磐前県新治県印旛県入間県足柄県新川県足羽県筑摩県額田県度会県犬上県飾磨県北条県深津県小田県名東県三潴県の19例(深津県→小田県は庁舎移転による改称なので正味18県)ある。
  21. ^ 前橋市内の現群馬県庁所在地は、律令以来群馬郡に属していたが、明治初期には実質的に勢多郡と一体の地域に含まれており、最終的にはそれに合わせて郡が再設定されたので、ここでは「現在の所在地の郡名ではない」に該当するものとみなした。
  22. ^ 県名の根拠である庁舎所在地が実際の所在地ではない事例は第1次府県統合から第2次府県統合までの間には多く、現存しない例としては予定地名を用いた水沢県印旛県深津県や隣接地名を用いた木更津県浜田県などがある(短期間で齟齬が解消されるなど、該当するかどうかが自明でない事例が多いため、全てを過不足なく列挙することは困難)。
  23. ^ 「都市名」でも「郡名」でもない地名が用いられた現存しない事例は、第1次府県統合以降では石鉄県神山県白川県の3例ある。ほかに七尾県の例では「都市の通称=城の名称」が用いられている。
  24. ^ 具体的には、令制国全体が旧幕府領であった佐渡県飛騨県甲斐府、戊辰戦争の戦後処理の役割もあった越後府、比較的狭い範囲に多数点在していた直轄地(主に旧旗本領)を管轄していた河内県摂津県三河県があり、類例として武蔵知県事常陸知県事下総知県事上総安房知県事があるが、佐渡県が第1次府県統合まで残ったのを除いて、廃藩置県よりも前に改称や統合で無くなっている。

関連項目

外部リンク

COVID-19ワクチン

COVID‑19ワクチン(コビッド19ワクチン、: COVID-19 vaccine)は、新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)の原因ウイルスである重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対する獲得免疫を提供することを目的としたワクチンである。COVID-19の大流行に先立ち、重症急性呼吸器症候群 (SARS)や中東呼吸器症候群 (MERS) などの病気を引き起こすコロナウイルスの構造と機能に関する知識が確立されていた為、2020年初頭にさまざまなワクチン技術の開発を加速できた[1]。2020年1月10日、SARS-CoV-2の遺伝子配列データがGISAIDを通じて共有され、同年3月19日までに、世界の製薬業界がCOVID-19への取り組みを大々的に発表した[2]

臨床試験の状況

第III相臨床試験では、いくつかのCOVID-19ワクチンが、症候性COVID-19感染症の予防に95%という高い有効性を示している。2021年4月現在、13種のワクチンが少なくとも1つの国の規制当局から一般公衆用として認可を受けている。2種類のRNAワクチンファイザー-バイオンテック社製ワクチンモデルナ社製ワクチン)、5種類の従来型不活化ワクチンBBIBP-CorVCoronaVacCovaxin英語版英語版)、4種類のウイルスベクターワクチン(スプートニクVオックスフォード-アストラゼネカ社製ワクチン康希諾生物(カンシノ・バイオロジクス)製ワクチンジョンソン・エンド・ジョンソン社製ワクチン)、2種類のタンパク質サブユニットワクチンEpiVacCorona英語版)である[3]。合計すると、2021年3月時点で、308のワクチン候補がさまざまな段階で開発されており、73件が臨床研究中で、そのうち24が第I相試験、33が第I/II相試験、16が第III相試験となっている[4][3][5][6]

生産・配布計画

多くの国では、高齢者などの合併症のリスクが最も高い人や、医療従事者などの曝露や感染のリスクが高い人を優先して段階的に配布する計画が実施されている[7]。2021年3月30日現在、各国の保健機関からの公式報告に基づき、全世界で5億7,425万回のCOVID-19ワクチンが投与された[8]。アストラゼネカ-オックスフォードは2021年に30億回、ファイザー-バイオンテック社13億回、スプートニクV、シノファーム、シノバック、ジョンソン・エンド・ジョンソン社はそれぞれ10億回の生産を見込んでいる。モデルナは2021年に6億回、コンビディシアは5億回の投与を目標としている[9][10]。2020年12月までに100億回以上のワクチンが各国から予約注文されており[11]、世界人口の14%を占める高所得国がその約半数を購入している[12]

接種状況

すでに世界各地でワクチンの接種は開始されているわけなので、接種状況が気になる読者は、末尾の節「#ワクチンの確保・接種状況」へ直行のこと。

概要

2020年代に入り、COVID-19の感染は急ピッチで広がりを見せたことから、各国の研究機関や医薬品メーカーは、新たなワクチンの開発や他のウイルス用に開発された既存ワクチンの再評価に乗り出した。世界保健機関(WHO)は、2020年5月までに世界で118の計画が進行中とするリストを公表。うち8の計画は、欧米中国臨床試験の段階に入っている[13]。また、WHOはワクチン開発に各国が共同出資・購入する枠組み「COVAX(コバックス)」を立ち上げた[14]

なお、最初に開発されるワクチンについては、感染防止よりも重症化や死亡を防ぐタイプのワクチンを開発する可能性があるとしている[15]。また、高齢者にはワクチンが効きにくいと指摘する声もある[16]

COVID-19用ワクチンの製造に当たり、新たな製造手法を模索する企業も現れた。これは、従来の鶏卵によるインフルエンザワクチンの生産手法を応用した場合、生産性が低いうえに時間がかかるというリスクがあること、また、卵に注入したウイルスが変異して、ワクチンの有効性が低下することも考えられるためである[17]。具体的には、DNAワクチンmRNAワクチンの開発が進められている[18]

WHO、感染症流行対策イノベーション連合 (Coalition for Epidemic Preparedness Innovations, CEPI) 、およびゲイツ財団GF)は、COVID-19感染症の継続を防ぐためにいくつかのワクチンが必要になるという見通しのため、資金と組織のリソースを投入している[19]。ワクチン候補の迅速な投資と開発のために20億ドルの世界基金を組織しているCEPI[20]は、2020年9月に、ライセンス取得を支援するための臨床データが同年末までに入手できる可能性があることを示した。2020年5月4日には、WHOが主催したテレソン(長時間特別番組)で、40カ国から81億ドルの誓約書が寄せられた[21]。同時に、WHOは、第II/III相臨床試験に到達した複数のワクチン候補の同時評価のための国際的な「連帯試験」の展開も発表した[22]

2020年11月、バーレーンは中国のシノファーム社製ワクチンの緊急販売承認を与え、アラブ首長国連邦(UAE)がこれに続いた。12月には、バーレーンと英国が米ファイザー社製ワクチンを緊急時の使用を承認した一方[23][24]、UAEとカナダは一般使用を承認した[25][26][27]

沿革

SARSとMERS

2003年時点、鳥類感染性気管支炎ウイルス (infectious bronchitis virus) 、犬コロナウイルス、猫コロナウイルスなど、コロナウイルスによって引き起こされるいくつかの動物の病気に対してワクチンは製造されていた[28]。ヒトに影響を与えるコロナウイルスウイルスに対するワクチンを開発するための以前のプロジェクトは、重症急性呼吸器症候群(SARS)と中東呼吸器症候群(MERS)を対象としていた。SARS[29]およびMERS[30]に対するワクチンは、ヒト以外の動物でテストされている。

2005年と2006年に発表された研究によると、SARSを治療するための新しいワクチンと医薬品の特定と開発は、当時の世界中の政府と衛生行政機関にとって優先事項だった[31][32][33]。2020年の時点で、ヒトのSARSに対して安全で効果的であることが証明されている治療法や予防ワクチンは無い[34][35]

MERSに対し確立されたワクチンも、存在しない[36]。MERSが普及したとき、既存のSARS研究は、MERS-CoV感染に対するワクチンと治療法を開発するための有用なテンプレートを提供する可能性があると考えられていた[34][37]。2020年3月現在、ヒトでの第I相臨床試験を完了した(DNAベースの)MERSワクチンが1種[38]、その他3種のワクチンが進行中であり、いずれもアデノウイルスベクター型2種(ChAdOx1-MERS、BVRS-GamVac)、MVAベクター型1種(MVA-MERS-S)である[39]

2020年のCOVID‑19ワクチン開発

感染症のワクチンは、これまで数年以内に製造されたことがなく、ヒトのコロナウイルス感染を予防するためのワクチンは存在しない[19]。2019年12月にコロナウイルスが検出された後[40]、COVID‑19の遺伝子配列が2020年1月11日に公開され、発生に備えて予防ワクチンの開発を早めるための緊急の国際的対応が引き起こされた[41][42][43]

2020年2月、世界保健機関(WHO)は、原因ウイルスであるSARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対するワクチンが18カ月以内に利用可能になるとは予想していなかったと述べた[44]。2020年初頭に世界的にCOVID-19の感染率が急増したことで、国際的なアライアンスや政府の取り組みが刺激され、複数のワクチンを短期間で製造するためのリソースを緊急に整理し[22]、3月には4つのワクチン候補がヒト評価に入ることとなった(後節の「2020年に開始された臨床試験」の表を参照)[41][45]

2020年4月、WHOは、異なる技術と流通を持つ3種類以上のワクチンを開発するための総費用を80億米ドルと見積もった[22][46]。2020年4月までに、「19カ国のほぼ80の企業や研究機関」がこの仮想的なゴールドラッシュに取り組んでいた[47]。また、4月には、CEPIは、COVID-19に対するワクチン候補のうち、6つのワクチンが国際的な連合によって第II-III相試験を経て開発のために選ばれ、3つのワクチンは最終的なライセンス取得に向けて規制と品質保証を経て合理化されなければならないと見積もっている[4][19][45]。別の分析によると、10のワクチン候補が同時に初期開発を必要とし、そのうちのいくつかがライセンス取得に向けた最終的な道筋として選ばれる前に、10のワクチン候補が同時に初期開発を必要とすると見積もっている。

2020年7月、英国国家サイバーセキュリティ―センター (National Cyber Security Centre) として、それぞれの政府および軍隊の英米諜報機関およびセキュリティ組織が、カナダ通信保安局 (Communications Security Establishment) 、アメリカ合衆国国土安全保障省国家保護・プログラム総局 (Cybersecurity Infrastructure Security Agency) 、アメリカ国家安全保障局(NSA)は、ロシアの国家支援ハッカーが他の国の学術機関や製薬機関からCOVID‑19治療とワクチン研究を盗もうとした可能性があると主張した。ロシアはそれを否定した[48]

開発状況

2020年の間に、年初からのCOVID-19ワクチン開発の取り組み全体の大きな変化は、多国籍製薬業界と各国政府との共同研究の増加と、COVID-19ワクチンに注力する多くの国のバイオテクノロジー企業の多様性と増加である[4]。CEPIによると、COVID-19ワクチン開発の一般的な地理的分布は、北米の組織が世界のCOVID-19ワクチン研究の約40%を占めているのに対し、アジアオーストラリアでは30%、ヨーロッパでは26%、南米とアフリカではいくつかのプロジェクトが存在している[41]

国際機関

ワクチン開発を加速させ、流通に備えるための国際的な提携を形成している組織があるが、その中には、2020年5月初旬に81億米ドルの資金調達を開始し、史上前例のない規模で協力、研究の加速化、国際的なコミュニケーションを促進している世界保健機関(WHO)も含まれている[21]。WHOはまた、世界的なワクチン開発を調整するためのCovid-19 Vaccines Global Access(COVAX)を実施し、GAVIやCEPIと共同で Access to COVID-19 Tools (ACT) Accelerator のワクチンの柱となっている[4][49][50]。7月、WHOは、世界人口の最大60%を占める165カ国が、最終的な認可ワクチンの公正かつ衡平な配分のためのWHO COVAX計画に合意したことを発表した。COVAXは、COVID-19ワクチンの開発と製造を加速し、「認可ワクチンへのアクセスが全ての国に公平に提供されること」を保証することを目標としている。具体的には2021年末までに、各参加国が最前線の医療従事者やリスクの高い人々を保護し、最も脆弱な20%の人口にワクチンを接種する[51]ために、保証された分量を受け取る(最大20億回分を平等に提供する)ことを保証する[52][53]

CEPIは、国際保健当局およびワクチン開発者と協力して、さらに20億米ドルの基金を創設。公的、私的、慈善団体、市民社会の組織間のグローバルパートナーシップで、8つのワクチン候補の研究と臨床試験を加速するために資金を提供し、当面(2020年〜2021年)は、ライセンスの完全な開発のためにいくつかの候補を支援することを目標としている[4][46]。英国、カナダ、ベルギーノルウェースイスドイツオランダは既に9億1500万米ドルを寄付しており[21][54]、ワクチンの研究と配布を専門とする民間の慈善団体であるビル&メリンダゲイツ財団(ゲイツ財団)は、2億5000万米ドルを寄付している[55][56]

2020年6月4日、英国のロンドンから、G7およびG20諸国の35の国家元首を含む、52カ国の民間および政府の代表者の間で仮想サミットが調整され、88億米ドルが調達された。ワクチンと予防接種のためのグローバルアライアンス(GAVI)により、2025年までに発展途上国の3億人の子供たちがワクチンを摂取できるよう準備する[57]。主な寄付はゲイツ財団からの16億米ドル[58]と英国政府による5年間で年間3億3000万ポンド(2020年6月には約21億米ドル)など。

2020年12月時点では、ACTアクセラレーターにより24億米ドルが調達されており、9つのワクチン候補がCOVAXとCEPIによって資金提供され、189カ国が最終的なワクチンの展開計画に取り組んでいる[59][60]

感染症流行対策イノベーション連合 (CEPI)

感染症流行対策イノベーション連合ノルウェー政府、インド政府、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、および公益信託団体ウェルカム・トラストの出資によって2017年に世界経済フォーラムダボス会議)にて発足した、公的機関、民間機関、慈善団体および市民団体の間でのグローバルな協働体である[61]日本厚生労働省も創設に関わり2017年より拠出を行ってきた[62]

2020年1月23日、CEPIは以下3研究チームがワクチン開発に向けた作業を開始し、少なくとも1種類のワクチンの臨床試験を6月までに開始すると発表した[62][63]。また、夏にも人へ臨床試験を行い、ワクチン承認は早ければ年内になるとも述べた[64]

  1. 米医薬品・ワクチン開発のモデルナ (Moderna, Inc.)(英語) (MRNA.O) とアメリカ国立アレルギー・感染症研究所 (NIAID) の連携
  2. 製薬会社イノビオ・ファーマシューティカルズ (Inovio Pharmaceuticals, Inc.) (INO.O)
  3. クイーンズランド大学のチーム

この他、米社もワクチン開発計画に加わり、SARSMERSの生存者から同定されたモノクローナル抗体(mAbs)が本ウイルスに有効かどうか調べる[65]

イノビオはMERSの最も先進的なワクチン候補 INO-4700をもっており[66]、ウイルスのDNA塩基配列が公表されて3時間以内にウイルスをデザインできた。CEPIから最大900万ドル(約9億8000万円)の助成金を受け、2020年初夏にも中東アフリカ現地での第II相臨床試験に入る予定[67][68]で、大規模な臨床試験は年末までに中国で行いたいという[69]

2月3日、英グラクソ・スミスクライン (GSK) はパンデミックワクチンで確立されたアジュバント(抗原性補強剤)の基盤技術を提供するためにCEPIの協働に参加すると発表した[70]

2月25日、モデルナは開発中のCOVID-19のワクチンを、ヒトに投与する安全性試験(第I相試験)向けに米国立アレルギー感染症研究所 (NIAID) に出荷した。ヒトへの臨床試験は2カ月以内の開始を見込むが、一般に入手できるようになるには1年半かかる可能性があるという[71]

日本

2020年3月12日、田辺三菱製薬は、カナダの子会社が製造する植物由来の粒子を利用し、ワクチン開発に着手すると発表した[72]

2020年3月5日、大阪大学発の創薬企業アンジェスは、本ウイルスのワクチンを大阪大学と共同で開発し、タカラバイオが製造すると発表した[73][74][75]。同年6月30日より治験を開始し、7月末までに30人を対象に実施する[76][77]DNAプラスミド技術を活かしDNAワクチンという種類とするので、他の方法のワクチンよりも短期間に製造工程が作れるという。

2020年5月7日、塩野義製薬は、子会社のUMNファーマが国立感染症研究所と共同で、年内の臨床試験開始を目指していることを公表した。最短で2020年内の臨床試験開始を予定している。市場への投入は2021年秋になる見込みで、同年末までに3,000万人分の生産を目標とする[78][79]

第一三共東京大学医科学研究所は、最短で2021年3月からワクチンの臨床試験を開始することを目指している[79]

2020年6月27日、九州大学は、九州大学発のベンチャー企業である(福岡市)と共同で、新型コロナウイルスのワクチン候補となるたんぱく質の開発に成功したと発表した[80][81]。2021年からワクチンの臨床試験開始を目指している[81]

2020年8月時点でワクチンの開発が急がれた一方、(その時点では)専門家からは「感染そのものを予防する効果は証明が難しい」という懸念が出た。また、東京大学医科学研究所の石井健教授は「(ワクチン開発を)急げば急ぐほど安全性の担保はおろそかになる」と訴えている[79]。この懸念に対し、米国国立研究機関博士研究員でウイルス学、免疫学を専門とする峰宗太郎医は「動物実験などの結果を踏まえると、『(感染予防効果は)あると考えてよい』と思います」[82]と述べている。

日本国内でも「臨床試験の段階で発熱などの副作用が発生しているケースも見られる[79]」とか、2020年12月20日時点で「ファイザー/バイオンテックのワクチンは、27万人への接種で6人(100万人あたり22人)のアナフィラキシーが報告されている[83]」とか、2020年1月23日の報道では「モデルナのワクチンは、400万人の接種でアナフィラキシーが起きたのは10人(100万人あたり2.5人)であり、いずれの患者もその後回復した」と報道された[84]

日本では2020年12月18日にファイザーが厚生労働省に承認申請を行ったほか、国内メーカや大学などで実用化を目指して主に5つのワクチンの開発が行われているが、いずれも2021年に臨床試験を開始する目標であり、まだ実用化はされていない[85]、とされた。

2021年2月5日、アストラゼネカが厚生労働省に承認申請を行った[86]

2021年2月12日、ファイザー製のコロナワクチンである「コミナティ」の特例承認が了承され、2021年2月14日に正式に特例承認された[87][88]。なお、当該ワクチンの法令上の名称は「コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)」である[89]

2021年3月5日、モデルナのワクチンについて、日本での窓口企業の武田薬品工業が厚生労働省に承認申請を行った[90]

中国

2020年1月26日、中国CDC(疾病管理予防センター)の関係者は、ワクチンの開発を開始したと語った[91]。1月29日、広州のロシア領事館は新型コロナウイルスのゲノムが中国からロシアに提供され、中露がワクチンの共同開発に着手したと発表した[92]

(上記と同じものかどうかは不明であるが)開発したワクチンの治験開始が3月17日に中国で承認され、陳薇をリーダーとする中国人民解放軍軍事科学院軍事医学研究院の研究者らが治験を開始[93]。3月18日に中国中央電視台も報道した[94]

3月23日、軍事科学院軍事医学研究院生物工程研究所と英語版は、独自に開発した新型コロナウイルスワクチン(アデノウイルス媒体)の108人への第1期臨床試験を開始すると報道した[95]。プロジェクト責任者は陳薇 (Chen Wei) 少将で、複製欠陥型ヒト5型アデノウイルスを媒体とし、新型ウイルスのS抗原を作る[95]。感染予防のため、陳薇チーム7人は既に接種済みである[95]。陳薇少将はウイルスのワクチンの研究で博士号を取得しており、これまでに抗SARSウイルス製剤やエボラ出血熱のワクチン開発に成功したと発表されている[94]

2020年5月25日、カンシノ・バイオロジクスは、同年3月から開始していたウイルスベクターワクチンの第1相臨床試験で、ヒトへの効果を世界で初めて確認したと報告した[96][97]。6月25日、中央軍事委員会は国産ワクチン「Ad5-nCoV」の使用を中国人民解放軍に限定して認可したことを決定した[98]7月22日より、医療従事者らを対象にワクチンの緊急使用を開始した[99]

2020年12月30日、中国のシノファームは国産ワクチン「BBIBP-CorV」の有効性を79.34%とし、同年12月9日に中国より先にワクチンを承認して首相のムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥームらが接種していたアラブ首長国連邦が発表した86%よりも低く発表した[100]。翌31日、中国の国家薬品監督管理局はシノファームの「BBIBP-CorV」を承認した[101]

2021年2月、中国の国家薬品監督管理局はシノバック・バイオテック社のCoronaVacとカンシノ・バイオロジクス社の国産ワクチン2種類を承認した[102][103]

ロシア

2020年8月中旬にロシア政府が国内で製造されたワクチンを薬事承認し、10月以降医療従事者などを対象とした接種を開始する予定と発表した[104]。その後、8月11日にウラジーミル・プーチン大統領がガマレヤ記念国立疫学・微生物学研究センターの国産ワクチン「Gam-COVID-Vac」(スプートニクV)を世界に先駆けて認可したことを発表した[105]

2020年11月11日、スプートニクVが発症を防ぐ有効性が92%に上ったとする最終第3段階の臨床試験の第1回中間結果をロシアは発表した[106]

アメリカ合衆国

2020年1月21日、米国の感染症薬メーカー、ノババックス (Novavax Inc.) は、本ウイルスの感染予防のためのワクチンの開発を始めたと語った[107][108]

2020年1月29日、米医薬品・日用品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン (J&J) は、COVID-19 ワクチンの開発に着手したと発表した。エボラ出血熱のワクチン開発に利用した技術を応用する。このワクチンは現在、コンゴ民主共和国ルワンダで投与されている[109]。「すでに多数の研究者をワクチン開発に投入しており、1カ月以内には何らかの成果が出せると確信している。世界市場に向けた量産体制はすでに整っているので、ワクチンが完成すれば、1年以内に億単位の出荷が可能」という[110]

2020年3月16日、アメリカ国立衛生研究所は、アメリカ国立アレルギー・感染症研究所とバイオ医薬企業のモデルナが開発していたmRNAワクチンが治験に至ったことを発表。治験は、ワシントン州シアトル市内で始まり[111]、同年5月18日までに複数の治験参加者から抗体を確認することができた[112]。全世界に1年間で5〜10億回分の供給を計画している[79]

ファイザーのワクチンが2020年に供給開始予定。2021年までに数億人規模の接種を目指す。日本にはワクチンが完成した場合には、2021年6月までに1億2,000回分を供給することで、日本国政府と基本合意されている[79]。その後、2020年11月9日に初期の治験のデータが発表され、予防の有効性が90%越えとなった[113]。これを受け、2020年11月中にもアメリカの食品医薬品局に承認の申請を行う[113]

のワクチンは、1年に1億回分の生産を目標としている。生産はアメリカ合衆国の富士フイルム子会社と協力し、日本では武田薬品工業が原薬から製造し販売する予定[79]

イギリス

アストラゼネカオックスフォード大学と共同でワクチンを開発し、2020年4月より臨床試験を開始した。同年9月以降、翌21年にかけて10億回分の生産が可能と目され、5月の時点で既に4億回分(アメリカ3億回分、イギリス1億回分)の供給を9月から開始することが予定されていた[114]。その後に供給計画を20億回分に増加し、日本には1億2,000万回分、うち3,000万回分は2021年3月までに供給することをが日本国政府と基本合意された[79]。治験については、参加者の中に深刻な副反応の疑いが確認されたため、9月9日から中断していた[115]が、9月12日に再開したことを明らかにした[116]

しかし、アストラゼネカのワクチンについてはその後、各国で懸念が示されることとなる。2021年1月29日にはフランスのエマニュエル・マクロン大統領が、同社製のワクチンは60~65歳以上の高齢者にはほぼ効果がないと発言し[117]、同国保健当局が2月2日に65歳以上の高齢者には接種しないよう勧告したのをはじめ、ドイツ、イタリア、スウェーデンの保健当局も高齢者への接種を行わないよう勧告した[118]。ただし、欧州医薬品庁(EMA)は全年齢層の成人への接種を推奨した[117]

また2021年3月になってアストラゼネカ製のワクチンに接種後に血栓が発生するなどの副反応事例が報告されたためドイツ、フランス、イタリア、スペイン、デンマーク[119]、アイスランド、ノルウェー[120]、オランダ[121]、タイ[122]など接種を中断する国が続出した。3月15日にはWHOが同社製ワクチンと血栓の発生に因果関係は認められず、ワクチン接種を継続するようコメントを発表する事態となった[123]。これを受けフランスやドイツでは接種を再開した[124]

アストラゼネカによる臨床試験では79%の有効性が確認されたと2021年3月22日に発表されている[124]。しかしアメリカ国立アレルギー・感染症研究所は、古い不完全な治験データが含まれていた可能性があると指摘し、最新の正確な情報を提供するよう要求。アストラゼネカも48時間以内の最新データ提供を表明した[125]。その結果、有効性は76%へと訂正された[126]

フランス

2020年2月18日、フランスのサノフィは、米国保健福祉省 (HHS) の生物医学先端研究開発局 (BARDA) と協力して、COVID-19 のための遺伝子組換えワクチンの速やかな開発を目指すと発表した[127]

インド

インドでは国産ワクチン2種の接種が2021年1月16日に開始され、輸出準備も進んでいる。インド企業と政府系機関が開発した「コバクシン」と、アストラゼネカ開発でインド企業がライセンス生産する「コビシールド」であるが、前者は承認段階で有効性を証明するデータが示されていなかった[128]。その後の治験では有効性81%と評価されている[129]

ワクチンの種類

2021年1月現在、COVID-19に対する有効なワクチンを作成するために、9つの異なる技術プラットフォーム(多数の候補の技術が未定義のまま)が研究開発中である[4]。臨床試験中のワクチン候補のプラットフォームのほとんどは、COVID-19感染の主要抗原としてのコロナウイルススパイクタンパク質とその変異体に焦点を当てている[4]。2020年に開発されたプラットフォームには、核酸技術(ヌクレオシド修飾メッセンジャーRNAおよびDNA)、非複製ウイルスベクターペプチド、、弱毒化ウイルス、などがある[1][19][41]

COVID‑19のために開発されている多くのワクチン技術は、インフルエンザを予防するために既に使用されているワクチンとは異なり、COVID‑19感染メカニズムの精度を高めるために「次世代」戦略を使用している[1][4]。開発中のワクチンプラットフォームは、抗原操作の柔軟性を高め、医療従事者、高齢者、子供、妊婦、免疫力が低下している人など、COVID-19の感染しやすい人々の感染メカニズムをターゲットとした効果が期待できる。[4][41]

RNAワクチン

RNAワクチンにはRNAが含まれるており、組織に導入されるとメッセンジャーRNA(mRNA)として働き、細胞に外来タンパク質を作らせ、適応免疫反応を刺激して、対応する病原体やがん細胞を識別して破壊する方法を体に教える。RNAワクチンは、ヌクレオシド修飾メッセンジャーRNAを使用することがよくあるが、必ずしもそうとは限らない。mRNAの送達は、RNA鎖を保護し、細胞への吸収を助ける脂質ナノ粒子に分子を共製剤化することによって実現される[130][131][132][133]

RNAワクチンは、米国および欧州連合で認可された最初のCOVID-19ワクチンである[134][135]。2021年1月現在、このタイプの認可されたワクチンは、ファイザー-バイオンテックワクチン[136][137][138]モデルナワクチン[139][140]である。2021年2月現在、EUではCureVac社の英語版 RNAワクチンが認可を待っている[141]

重度のアレルギー反応はまれである。2020年12月、ファイザー-バイオンテックCOVID-19ワクチンの初回投与1,893,360回では、重度のアレルギー反応が175例発生し、そのうち21件がアナフィラキシーであった[142]。2020年12月および2021年1月に行われたモデルナ COVID-19ワクチンの4,041,396回の投与では、アナフィラキシーの報告は10件のみであった[142]脂質ナノ粒子がアレルギー反応に関与している可能性が最も高い[142]

アデノウイルス・ベクター・ワクチン

これらのワクチンは、SARS-CoV-2タンパク質をコードするDNAを含むアデノウイルス・シェルを用いた、非複製ウイルスベクターの例である[143]。COVID-19に対するウイルスベクターを用いたワクチンは、新しいウイルス粒子を生成するのではなく、全身の免疫反応を誘発する抗原のみを生成するという非複製性を持っている。[143]

2021年1月現在、このタイプのワクチンとして認可されているのは、英国のオックスフォード-アストラゼネカワクチン[144][145][146]、ロシアのスプートニクV[147]、中国のコンビディシア、そしてジョンソン・エンド・ジョンソンワクチンである[148][149]

コンビディシアとジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンは、いずれもワンショットワクチンで、物流の煩雑さがなく、通常の冷蔵保存で数ヶ月間保存できる[150][151]

スプートニクVは、ジョンソン・エンド・ジョンソン社のワクチンと同じAd26を1回目に使用し、コンビディシアと同じAd5を2回目に使用しており、単回投与と同様の有効性を得ることができ、1回の投与で同じ効果があるか完全試験が行われている。

不活化ウイルスワクチン

不活化ワクチンとは、培養したウイルス粒子を熱やホルムアルデヒドなどの方法で死滅させることにより、病気を引き起こす能力を失わせ、かつ免疫反応を起こさせるワクチンである[152]

2021年1月現在、中国のCoronaVac[153][154][155]BBIBP-CorV[156]、IBP-CorV、インドのCovaxin、ロシアのCoviVac[157]が認可されている。臨床試験中のワクチンには、Valneva社のワクチンがある[158][159]

サブユニットワクチン

サブユニットワクチンは、病原体の粒子全体を導入することなく、1つまたは複数の抗原を提示する。抗原はしばしばタンパク質サブユニットであるが、病原体の断片であればどのような分子でもよいとされている[160]

2021年4月現在、このタイプのワクチンとして承認されているのは、ペプチドワクチンEpiVacCorona[161]英語版[162]の2つである。認可が保留されているワクチンには、Novavax COVID-19ワクチン[163]と、(コンジュゲートワクチン)、英語版がある。英語版は以前、臨床試験が行われていたが、その後のHIV検査で誤った結果を引き起こす可能性があることが判明したため中止された[164][165]

その他の種類

現在臨床試験が行われているその他のワクチンには、複数のDNAプラスミドワクチン[166][167][168][169][170][171]、少なくとも2つの英語版ワクチン[172][173]コンジュゲートワクチン、SARS-CoV-2スパイクタンパクを発現させた英語版などがある[174]

科学者たちは、関連性のない疾患に対する既存のワクチンが、免疫系を活性化し、COVID-19感染の重症度を軽減できるかどうかを調査した[175]。結核用のBCGワクチンが免疫系に非特異的な作用を及ぼすという実験的証拠はあるが、このワクチンがCOVID-19に有効であるという証拠はない[176]

有効性

新しいワクチンの効力は、臨床試験中の有効性によって定義される[178]。有効性とは、ワクチンを接種した被験者が病気にかかるリスクと、ワクチンを接種していない被験者が病気にかかるリスクを比較したものである[178]。有効性0%とは、ワクチンが効かないことを意味する(プラセボと同じ)。 有効性が50%の場合は、ワクチン未接種の人と比べてワクチン接種した人の感染症例が半分になることを意味する。

臨床試験は、異なる集団、地域、ウイルスの亜種を用いて実施されたため、異なるワクチンの有効性を比較するのは簡単ではない[179]。COVID-19の場合、ワクチン英語版が67%であればパンデミックを遅らせるのに十分かもしれないが、これはワクチンが感染を防ぐために必要な殺菌免疫(ウイルスを感染前に排除する免疫系の作用)を与えることを前提としている。ワクチン有効性は疾病予防を反映したものであり、無症状の人は感染力が強い可能性があるため、SARS-CoV-2の感染性を示す指標としては不十分である[180]米国食品医薬品局(FDA)と欧州医薬品庁(EMA)は、COVID-19ワクチンの承認に必要な有効性として50%をカットオフ値として設定している[181][182]。現実的な集団ワクチン接種率を75%を目標とし、実際の基本再生産数に応じてCOVID-19ワクチンに必要な有効性は、流行を防ぐためには70%以上、社会的距離を置くなどの措置をとらずに流行を消滅させるためには80%以上であると予想されている[183]

有効性の計算において、症候性COVID-19とは、一般的にPCR検査が陽性であり、かつ英語版の定義済リストのうち少なくとも1つまたは2つの症状を有するものと定義されているが、正確な仕様は試験によって異なる。国によってSARS-CoV-2変異株の有病率が異なるため、試験場所も報告された有効性に影響を与える。以下の範囲は、特に記載のない限り95%信頼区間であり、すべての値は年齢に関係なくすべての被験者に対するものである。重症化したCOVID-19に対する有効性は最も重要で、入院や死亡が公衆衛生上の負担となり、その予防が優先される[184]。認可・承認されているワクチンでは、以下のような有効性が示されている。

ワクチンCOVID-19の重症度による有効性臨床試験実施場所参照先
軽度または中等度[注 1]入院や死亡を伴わない重篤な症状[注 2]入院や死亡を伴う重篤な症状[注 3]
モデルナワクチン~94% (89–97%)[注 4]~100%[注 5]~100%United States[185]
ファイザーバイオンテックワクチン~95% (90–98%)[注 6]Not reportedNot reportedMultinational[186]
スプートニクVワクチン~92% (86–95%)~100% (94–100%)~100%Russia[187]
オックスフォード-アストラゼネカワクチン~81% (60–91%)[注 7]~100% (72–100%)~100%Multinational[188]
~76% (68–82%)[注 8]~100%~100%United States[189]
BBIBP-CorV~79%~100%[190][信頼性の低い医学の情報源?]~100%[190][信頼性の低い医学の情報源?]Multinational[191][信頼性の低い医学の情報源?]
CoronaVac~78%~100%~100%Brazil[192][193][194][信頼性の低い医学の情報源?]
ノババックスワクチン~89% (75–95%)~100%[注 9]~100%[注 9]United Kingdom[195][196]
~60% (20–80%)~100%[注 9]~100%[注 9]South Africa
ジョンソン・エンド・ジョンソンワクチン~66% (55–75%)[注 10][注 11]~85% (54–97%)[注 12]~100%[注 13]Multinational[197]
~72% (58–82%)~86% (−9–100%)~100%United States
~68% (49–81%)~88% (8–100%)~100%Brazil
~64% (41–79%)~82% (46–95%)~100%South Africa
Covaxin~81%Not reportedNot reportedIndia[199][200][信頼性の低い医学の情報源?]
Convidicea~66%~91%Not reportedMultinational[201][信頼性の低い医学の情報源?]
  1. ^ 軽度の症状:発熱、乾いた咳、疲労感、筋肉痛、関節痛、喉の痛み、下痢、吐き気、嘔吐、頭痛、無嗅覚、無味覚、鼻づまり、鼻出血、結膜炎、皮疹、悪寒、めまいなど。中等度の症状:軽度の肺炎。
  2. ^ 個人の入院や死亡に至らない重篤な症状は、観察期間中の任意の時点で安静時に測定された以下の重篤な呼吸器症状のいずれかである(肺炎、深部静脈血栓症、呼吸困難、低酸素症、持続的胸部痛、食欲不振、錯乱、38℃以上の発熱のいずれかを有するが、入院や死亡に至るほどの持続性・重篤性はない)。呼吸数が30回/分以上、心拍数が125回/分以上、酸素飽和度(SpO2)が93%以下(海面上の室内空気)、または酸素分圧/吸気酸素分圧(PaO2/FiO2)が300mmHg未満のもの。
  3. ^ 入院や死亡の原因となる重篤な症状とは、病院での治療を必要としたり、死亡に至ったりするもの:呼吸困難、低酸素症、持続性胸痛、食欲不振、錯乱、38℃以上の発熱、呼吸不全、腎不全、多臓器不全、敗血症、ショック。
  4. ^ Mild/Moderate COVID-19 symptoms observed in the Moderna vaccine trials, were only counted as such for vaccinated individuals if they began more than 14 days after their second dose, and required presence of a positive RT-PCR test result along with at least two systemic symptoms (fever above 38ºC, chills, myalgia, headache, sore throat, new olfactory and taste disorder) or just one respiratory symptom (cough, shortness of breath or difficulty breathing, or clinical or radiographical evidence of pneumonia).[185]
  5. ^ Severe COVID-19 symptoms observed in the Moderna vaccine trials, were defined as symptoms having met the criteria for mild/moderate symptoms plus any of the following observations: Clinical signs indicative of severe systemic illness, respiratory rate ≥30 per minute, heart rate ≥125 beats per minute, SpO2 ≤93% on room air at sea level or PaO2/FIO2 <300 mm Hg; or respiratory failure or ARDS, (defined as needing high-flow oxygen, non-invasive or mechanical ventilation, or ECMO), evidence of shock (systolic blood pressure <90 mmHg, diastolic BP <60 mmHg or requiring vasopressors); or significant acute renal, hepatic, or neurologic dysfunction; or admission to an intensive care unit or death. No severe cases were detected for vaccinated individuals in the trials, compared with 30 severe cases reported in the placebo group (incidence rate 9.1 per 1000 person-years).[185]
  6. ^ Mild/Moderate COVID-19 symptoms observed in the Pfizer-BioNTech vaccine trials, were only counted as such for vaccinated individuals if they began more than 7 days after their second dose, and required presence of a positive RT-PCR test result along with at least one of the following symptoms: fever; new or increased cough; new or increased shortness of breath; chills; new or increased muscle pain; new loss of taste or smell; sore throat; diarrhea; or vomiting.[186]
  7. ^ With 12 weeks or more of interval between doses. For an interval of less than 6 weeks, the trial found an efficacy ~55% (33-70%).
  8. ^ With a 4 week interval between doses. Efficacy is "at preventing symptomatic COVID-19."
  9. ^ a b c d No cases detected in trial.
  10. ^ Moderate cases.
  11. ^ Efficacy reported 28 days post-vaccination for the Johnson & Johnson single shot vaccine. A lower efficacy was found for the vaccinated individuals 14 days post-vaccination.[197]
  12. ^ The source does actually say negative 9.
  13. ^ No hospitalizations or deaths were detected 28 days post-vaccination for 19,630 vaccinated individuals in the trials, compared with 16 hospitalizations reported in the placebo group of 19,691 individuals (incidence rate 5.2 per 1000 person-years)[197] and 7 COVID-19 related deaths for the same placebo group.[198]

変異株

現行のCOVID-19ワクチンによって誘発される抗体応答に対して中程度または完全に耐性を持つSARS-CoV-2変異株が出現した場合、ワクチンの変更が必要になる可能性がある[202]。初期株用に開発された多くのワクチンが、症候性COVID-19の一部の変異株に対する有効性が低いことが試験で示されている[203]。2021年2月の時点で、米国食品医薬品局は、FDAが認可したすべてのワクチンはSARS-CoV-2の循環株に対する保護効果を維持していると捉えている[204]

B.1.1.7 変異株

2020年12月、英国で新たなSARS-CoV-2変異株であるB.1.1.7が確認された[205]。初期の結果では、ファイザーワクチンとモデルナワクチンの両方が英国の変異株に対して保護することを示唆している[206][207]

ある研究では、オックスフォード-アストラゼネカワクチンは、B.1.1.7変異株に対して42~89%の有効性を示し、B.1.1.7以外の変異株に対しては71~91%の有効性を示した[208]。臨床試験の予備データによると、Novavaxワクチンは、オリジナルの変異株に対して~96%、B.1.1.7に対して~86%、南アフリカB.1.351変異株に対して~60%の症状改善効果があることが示されている[209]

501.V2 変異株

モデルナは、南アフリカの英語版(B.1.351としても知られる)に取り組むための新しいワクチンの試験を開始した[210]。2021年2月17日、ファイザーは、501.V2変異株の中和活性が2/3に低下したと発表したが、この変異株に対するワクチンの疾病予防効果については、まだ主張できないとしている[211]。B.1.351に対するモデルナおよびファイザーのワクチンを接種した患者からの血清の中和活性の低下は、その後、いくつかの研究で確認された[212][213]。2021年4月1日、ファイザー/バイオンテックによる南アフリカでのワクチン試験の最新情報では、ワクチンの効果は今のところ100%(つまり、ワクチンを接種した被験者には症例が発生しなかった)で、プラセボ対照群では9件の感染のうち6件がB.1.351変異株であったと述べられている[214]

1月、南アフリカでAd26.COV2.Sワクチンの臨床試験を実施したジョンソン・エンド・ジョンソンは、中等度から重度のCOVID-19感染に対する防御レベルは、米国で72%、南アフリカで57%であったと報告した[215]

2021年2月6日、フィナンシャル・タイムズ紙は、南アフリカの英語版がオックスフォード大学と共同で実施した試験の暫定試験データで、オックスフォード-アストラゼネカCOVID-19ワクチン英語版に対する有効性の低下を示したと報じた[216]。この研究では、2,000人のサンプルサイズにおいて、AZD1222ワクチンは、COVID-19の最も重篤な症例を除くすべての症例において「最小限の保護」しか提供しないことが分かった[217]。2021年2月7日、南アフリカ保健大臣は、データを検討し、どのように進めるべきかアドバイスを待つ間、約100万回分のワクチンの配備計画を中止した[218][219]

P1 変異株

ブラジルで最初に同定された英語版変異株(別名:20J/501Y.V3)は、ファイザー/バイオンテックワクチンによるワクチン接種を部分的に免れていると思われる。[220]

臨床試験および認可状況

第I相試験では、主に数十人の健康な被験者を対象に安全性と予備的投与量を試験し、第II相試験では、第I相試験の成功を受けて免疫原性、投与量レベル(バイオマーカーに基づく有効性)、および候補ワクチンの副作用を評価し、通常は数百人を対象としている。第I–II相試験は、予備的な安全性と免疫原性試験で構成され、通常は無作為化、プラセボ対照試験で、より正確で効果的な用量を決定する。第III相試験では通常、複数の施設でより多くの被験者が参加し、対照群を含めて、最適な用量で有害作用を監視しながら、病気を予防するためのワクチンの有効性を試験する(「介入試験」または「ピボタル試験」)[221][222]。第III相試験におけるワクチンの安全性、有効性、および英語版の定義は、副作用の程度、感染または感染量の定義、ワクチンが中等度または重度のCOVID-19感染を予防するかどうかなど、各社の試験によって異なる場合がある[223][224][225]

進行中の臨床試験の計画は、試験でデータを蓄積することにより、治療法の有効性についての肯定的または否定的な早期の洞察が得られる場合には、英語版として変更されることがある[226][227]。候補ワクチンに関する進行中の第II-III相臨床試験における適応デザインは、試験期間を短縮し、被験者数を減らすことができ、早期終了または成功の判断を迅速化し、研究努力の重複を回避し、国際的な拠点間での連帯試験(Solidarity trial)の計画変更について調整を強化する[226][228]

認可または承認されたワクチンのリスト

各国の規制当局は、11種のワクチンの緊急使用許可を与えている。そのうち6つのワクチンは、少なくとも1つのWHO認定の厳格な規制当局によって緊急使用または一般使用が承認されている。

緊急利用許可または一般認可により承認されたワクチン
ワクチン候補薬、開発者、出資者開発国ワクチン種類(技術)接種間隔保管温度現在の相(被験者数)承認数緊急使用許可数
オックスフォードアストラゼネカCOVID-19ワクチン (Vaxzevria, コビシールド) [lower-alpha 1][230][231][232]
オックスフォード大学アストラゼネカ、CEPI
英国アデノウイルス ベクター (ChAdOx1)2回

4-12週

2-8℃第III相 (30,000)3169
ファイザー-バイオンテックCOVID-19ワクチン (コミナティ, トジナメラン)[25][233][234]
バイオンテックファイザー
米国、ドイツRNA (modRNA脂質ナノ粒子に分散)2回

3-4週

-70±10°C[lower-alpha 2](超低温冷凍庫)第III相 (43,448)3470
スプートニクV COVID-19ワクチン (Gam-COVID-Vac)

ガマレヤ記念国立疫学・微生物学研究センター

ロシアアデノウイルス ベクター (、Ad5およびAd26型)2回

3週

-18 ℃ (冷凍庫)第III相 (40,000)062
モデルナCOVID-19ワクチン [237][238]
モデルナNIAIDBARDA、CEPI
米国RNA (modRNA脂質ナノ粒子に分散)2回

4週

-20±5℃ (冷凍庫)第III相 (30,000)3110
BBIBP-CorV[239]
シノファーム: 北京生物製品研究所
中国不活化 SARS-CoV-2 (ベロ細胞)2回

3-4週

2-8℃第III相 (48,000)339
ジョンソン・エンド・ジョンソンCOVID-19ワクチン [240][241][242]
ヤンセン ファーマジョンソン・エンド・ジョンソンBIDMC
米国、オランダアデノウイルス ベクター (、Ad26)1回2-8℃第III相 (40,000)3110
CoronaVac[243][244][245]
シノバック
中国不活化 SARS-CoV-2 (ベロ細胞)2回

2週

2-8℃第III相 (33,620)124
BBV152 (コバクシン)
英語版英語版
インド不活化 SARS-CoV-2 (ベロ細胞)2回

4週

2-8℃第III相 (25,800)08
Ad5-nCoV (コンビディシア)
英語版, 英語版[246][lower-alpha 3]
中国アデノウイルス ベクター (、Ad5)1回2-8℃第III相 (40,000)14
EpiVacCorona[248]
Vector Institute
ロシアサブユニット (ペプチド)[248]2回

3週

2-8℃第III相 (40,000)11
英語版(RBD-Dimer)[249]

Anhui Zhifei Longcom Biopharmaceutical Co. Ltd.

中国サブユニットワクチン()3回

30日

第III相 (29,000)02
英語版

シノファーム: 武漢生物製品研究所

中国不活化 SARS-CoV-2 (ベロ細胞)1回[要出典]第III相 (51,600)02
英語版[250]The Chumakov Centre at the Russian Academy of Sciencesロシア不活化 SARS-CoV-22回

2週

2-8℃第III相 (3,000)01
  1. ^ Oxford name: ChAdOx1 nCoV-19. Manufacturing in Brazil to be carried out by .[229]
  2. ^ Long-term storage temperature. The Pfizer–BioNTech COVID-19 vaccine can be kept between for up to two weeks before use, and between for up to five days before use.[235][236]
  3. ^ Manufacturing partnership with the and Canadian Center for Vaccinology, , Nova Scotia[247]

ヒト臨床試験中のワクチン候補

製剤

2020年現在、臨床開発中のワクチン候補のうち11種は、免疫原性を高めるためにアジュバントを使用している[4]免疫アジュバントとは、COVID-19ウイルスやインフルエンザウイルスなどの抗原に対する免疫反応を高めるためにワクチンに配合される物質である[251]。具体的には、アジュバントを使用してCOVID-19ワクチン候補を製剤化し、その免疫原性と有効性を高めて、ワクチン接種を受けた個体におけるCOVID-19感染を低減または予防することができる[251][252]。COVID-19ワクチンの製剤化で使用されるアジュバントは、不活化COVID-19ウイルス、および組換えタンパク質ベース、またはベクターベースのワクチンを使用する技術において特に効果的となる可能性がある[252]。ミョウバンとして知られるアルミニウム塩は、認可されたワクチンに使用された最初のアジュバントであり、アジュバント化ワクチンの約80%で選択されるアジュバントである[252]。ミョウバンアジュバントは、炎症性サイトカインの放出を含む免疫原性を高めるために、多様な分子および細胞メカニズムを開始する[251][252]

費用

ある専門家によると、COVID-19に対する効果的なワクチンは、世界的な経済的影響において何兆ドルもの節約となる可能性があり、したがって、数十億ドルの費用はそれに比べれば小さく見えるという[253]。 パンデミックの初期段階では、このウイルスに対する安全性・信頼性が高く、手頃な価格のワクチンを作成できるかどうかは知られておらず、ワクチン開発にどれくらいの費用がかかるかも正確には知られていなかった[19][42][55]。 成功せずに何十億ドルもの投資が行われる可能性もあった[54]

効果的なワクチンが開発されると、数十億回分のワクチンを製造し、世界中に流通させる必要がある。2020年4月、ゲイツ財団は、製造と流通には250億米ドルもの費用がかかると見積もっている[254]。第I相臨床試験では、ワクチン候補の84~90%[41][255]が開発途中で最終承認に至らず、第III相臨床試験では25.7%が承認に至らない[255]。ワクチン候補に対する製造業者の投資額は10億米ドルを超え、先進的な製造契約を結んだ場合には何百万もの投与が無駄に終わる可能性がある[19][54][55]

2020年11月現在、米国の「ワープ・スピード作戦(Operation Warp Speed)」プログラムの下で補助金を受けている企業は、初期価格をインフルエンザワクチンに合わせて1回あたり19.50米ドルから25米ドルに設定している[256]。 2020年12月には、ベルギーの政治家がワクチン生産者とEUの間で合意された機密価格を簡単に公表した[257]

製造者ワクチンEUにおける投与1回あたりの価格[258]
アストラゼネカオックスフォード-アストラゼネカCOVID-19ワクチン€1.78
ジョンソン・エンド・ジョンソンジョンソン・エンド・ジョンソンCOVID-19ワクチンUS$8.50
サノフィ / GSK€7.56
ファイザー / バイオンテックファイザー-バイオンテックCOVID-19ワクチン€12.00
CureVac英語版€10.00
R-PharmスプートニクV COVID-19ワクチンUS$10.00
モデルナモデルナCOVID-19ワクチンUS$18.00

サプライチェーン

2021年以降にCOVID-19ワクチン接種を展開するには、100〜190億本(バイアル)の世界的な輸送と追跡が必要となる可能性があり、この取り組みは容易に史上最大のの課題となる[19][259][260]。2020年9月の時点で、サプライチェーンとロジスティクス(物流)の専門家は、認可ワクチンを流通させるための国際的および国内的なネットワークが量・緊急性ともに対応する準備ができていないと懸念を表明している。その理由は主に2020年のパンデミックのロックダウンと供給能力を低下させるダウンサイジングの間のリソースの悪化が原因としている[259][261][262]。COVAX(The COVID-19 Vaccines Global Access)パートナーシップ、世界の製薬会社、契約ワクチンメーカー、国境を越えた輸送、保管施設、各国の保健機関など、多数の組織を調整することで直面している世界的な課題について、GAVI最高経営責任者(CEO)である英語版は次のように述べている。"何十億ものワクチンを効率的に全世界に届けるためには、サプライチェーンに沿った非常に複雑なロジスティックとプログラム上の障害を伴うことになる”[263]

課題の大きさを強調する例として、国際航空運送協会は、COVID-19パンデミックを経験している200カ国以上の人々に1回分の投与量のみを輸送するだけでも、8,000機の747型貨物機(精密ワクチン保冷装置を導入)が必要であると述べている[264]。GAVIは、「動きの速いパンデミックでは、全員が安全でなければ誰も安全ではない」と述べている[50]

ワクチン技術や初期段階の臨床研究への数十億ドルの投資とは対照的に、ワクチンのライセンス取得後のサプライチェーンは、同様な計画、調整、セキュリティ、または投資を受けていない[259][261][265]。主な懸念は、低・中所得国、特に子どもたちへのワクチン接種のためのワクチン流通資源が不足しているか、または存在しないということである[50][266]。9月には、COVAXのパートナーシップには、172カ国がCOVID-19ワクチンのサプライチェーンを最適化するための計画を調整することが含まれており[267]国連児童基金(ユニセフ)はCOVAXと協力して、92の開発途上国における子どもたちのワクチン接種のための、資金調達とサプライチェーンを準備することになった[268][269]

物流

ワクチン接種のための物流サービスは、必要な機器、スタッフ、国際的な国境を越えた認可ワクチンの供給を保証するものである[270]。物流の中核には、ワクチンの取り扱いとモニタリング、コールドチェーン管理、ワクチン接種ネットワーク内での流通の安全性などが含まれる[271]。COVAX施設の目的は、製造、輸送、および全体的なサプライチェーンのインフラを統合し、参加国間の物流資源を一元化し、平等に管理することである[50][265]。ワクチン予測とニーズ推定、国内ワクチン管理、無駄遣いの可能性、および在庫管理のための物流ツールが含まれている[271]

COVID-19 ワクチンの輸送中に国際的に実施される他の物流要因には、以下のものがある[259][272][273]

  • 個々のワクチンバイアルバーコードによる可視化し、追跡可能にする(visibility and traceability)
  • サプライヤー監査の共有化
  • 製造から被接種者へのワクチンバイアル輸送証拠保全の共有化
  • ワクチン温度監視ツールの使用
  • 温度安定性試験と保証
  • 新しい包装・配送技術
  • 備蓄
  • 各国内の物資調整(個人用保護具(PPE)英語版、注射器、針、ゴム栓、冷蔵燃料や電源、廃棄物処理など
  • 通信技術
  • 各国の環境影響

あるワクチン開発者によると、いずれかの段階で物流が不足すると、サプライチェーン全体が脱線する可能性があるという[274]。ワクチンのサプライチェーンが失敗した場合、パンデミックの経済的・人的コストは何年にもわたって長期化する可能性がある[262]

製造能力

2020年8月時点で、安全性と有効性の確立から数カ月が経過した段階で、いくつかのワクチン候補が第III相試験に入った段階にもかかわらず、多くの政府が50億米ドル以上の費用をかけて20億回分以上のワクチンを予約注文した[260][274][275]。英国政府からの2021年のワクチン予約注文は、1人当たり5回分であった[260]。9月には、CEPIは、2021年末までに認可された3種のワクチンを20億回分製造するという資金調達の約束の下、9種のワクチン候補の基礎研究と臨床研究を資金面で支援している[267]2022年までに全体で70億〜100億回分のCOVID-19ワクチンが世界中で製造される可能性があるが、富裕国による大量の事前注文(「ワクチンナショナリズム」と呼ばれる)は、より貧しい国のワクチン利用を脅かすものである[19][260][274]

インド血清研究所は、少なくとも10億回分のワクチンを生産する計画であるが、その半分はインドで使用されると述べている[260]

中国は、10月にCOVAXに参加した後、2020年末までに6億回分のワクチンを生産し、2021年にはさらに10億回分のワクチンを生産することを明らかにしたが、14億人の自国の人口に対して何回分のワクチンを生産するのかは不明であった[276]シノファーム社は、2021年に10億用量以上の生産能力を持つ可能性があると述べている[277]。Sinovac社は、2020年末までに第2の生産施設を完成させ、CoronaVacの生産能力をそれまでの3億用量から6億用量に引き上げることを目指していると述べている[278]

アストラゼネカの英語版CEOは次のように述べている。"課題はワクチンそのものの製造ではなく、バイアルへの充填にある。世界には十分なバイアルが無い」[279]バイアル製造の高い需要に備えて、アメリカのガラスメーカーは7月にバイアル工場のために1億6,300万ドルを投資した[308]。バイアル製造のためのガラスの入手可能性と、汚染物質の管理が懸念されているが[280]、手頃な価格のワクチンが求められる中、製造コストの上昇と開発者の利益の可能性の低下を示している[50][260][262]

ワクチンは、国際的な規則を用いて取り扱われ、輸送され、ワクチン技術によって異なる温度管理された状態で維持され、保管中に劣化する前に予防接種に使用されなければならない[260][274]。COVID-19ワクチンのサプライチェーンの規模は、脆弱な集団への世界的な配送を確実にするために、膨大なものになると予想される[19][261]。このような流通のための施設を準備するための優先事項には、温度管理された施設や設備、インフラの最適化、予防接種スタッフの訓練、厳格なモニタリングが含まれる[261][263][268]RFID技術は、製造業者からワクチン接種までのサプライチェーン全体に沿ってワクチンの投与量を追跡し、認証するために実施されている[281]

2020年9月、英語版社は、ジョンソン・エンド・ジョンソン社と、技術移転英語版製造を含むワクチン候補の製造を支援することで合意した[282]。2020年10月には、2020年12月に最初の投与量を製造する予定のパートナーであるロンザグループが、スイスの英語版でワクチン候補のモデルナを製造することが発表された[283]。新たに建設された2,000平方メートルの施設では、年間3億投与量の製造が開始される予定である。ここで製造されたものは、製造の最終段階のために、スペインのLaboratorios Farmacéuticos Rovi SAに-70℃で冷凍出荷される予定である[283]。ニューハンプシャー州ポーツマスにあるロンザの拠点は、早ければ11月にも米国専用のワクチン原料の製造を開始することを目指している[283]

コールドチェーン

ワクチン(およびアジュバント)は、温度変化に対して本質的に不安定であり、サプライチェーン全体を通してコールドチェーン管理を必要とし、通常は2〜8℃(36〜46°F)の温度で保たれる[273][284]。COVID-19ワクチンの技術は、いくつかの新しい技術の中でも多様であるため、コールドチェーン管理には新たな課題があり、凍結中は安定しているが熱に弱いワクチンもあれば、凍結すべきではないワクチンもあり、また温度を超えて安定しているワクチンもある[284]。凍結による損傷や、現地での接種プロセスにおける人員のトレーニング不足が大きな懸念事項である[285]。複数のCOVID-19ワクチンが承認された場合、ワクチンのコールドチェーンは、気候条件や温度維持のための現地資源が変化する、異なる国の間で、これら全ての温度感受性に対応しなければならない可能性がある[284]シノファームとSinovacのワクチンは、既存のコールドチェーンシステムを使用して輸送できる第III相試験中の不活化ワクチンの例であるが、CoronaVac自体は凍結する必要はない[286][287]

開発中のmodRNAワクチン技術は、大量生産や分解の制御が難しく、超低温での保管や輸送を必要とする場合がある[262]。例として、モデルナのRNAワクチン候補は、保管期間は限られるが、氷点下ぎりぎりの温度でのコールドチェーン管理を必要とし、BioNTech-PfizerのRNA候補は、ワクチンの製造から接種までの輸送保管中、-70℃以下での保管を必要とする[288][289]

ワクチンバイアルには数回分のワクチンが入っているが、はじめの投与のために穿刺された後、6時間しか生存可能ではなく、その後廃棄されなければならないため、現地での低温保管と接種プロセスの管理に注意を払う必要がある[19][290]。COVID-19ワクチンは、初期展開の間、多くの場所で供給が不足する可能性が高いため、接種スタッフは、一般的に供給量の30%にもなる腐敗・廃棄処分を回避しなければならない[259][290]。コールドチェーンはさらに、バイクやドローンなどの地方コミュニティにおけるワクチンの輸送の方法、ブースター投与の必要性、希釈剤の使用、医療従事者、子供、高齢者などの脆弱な人々へのアクセスによっても課題となっている.[19][268][291]

航空輸送・陸上輸送

国際航空貨物の調整は、COVID-19ワクチンの、時間と温度に敏感な配布に不可欠な要素であるが、2020年9月の時点では、航空貨物ネットワークは多国籍展開の準備ができていない[261][264][292]。「COVID-19ワクチンを安全に届けることは、世界の航空貨物産業にとって今世紀の使命となるだろう。しかし、それは慎重な事前の計画なしには実現しない。そして、そのための時期は今だ。私たちは、各国政府に対し、物流チェーン全体での協力を促進するために主導権を握ることを強く求め、施設、セキュリティの手配、および国境手続きが、前途多難で複雑なタスクに備えられるようにする」と、IATAの事務局長兼CEOである英語版は2020年9月に発言した[292]

2020年、旅客航空交通量の深刻な減少のために、航空会社は人員を削減(レイオフ)し、ネットワークを縮小し、航空機を長期保管庫に入れていた[261][292]。WHO COVAX施設内でのCOVID-19ワクチンの調達と供給の主導機関として、GAVIとユニセフは、これまでで最大かつ最速のワクチン展開に向けて準備を進めており、国際的な航空貨物輸送の協力、税関と国境管理、そして複数の国に1回分のワクチンを届けるための8,000機もの貨物機を必要とする可能性がある[268][292]

安全保障と汚職

医薬品は世界最大の詐欺市場であり、年間約2,000億ドルの価値があるため、COVID-19ワクチンの広範な需要は、サプライチェーン全体で模倣品、盗難、悪徳商法サイバー攻撃に対して脆弱である[265][293]。偽造ワクチンと本物のワクチンを識別し追跡するための技術的能力の低さ、アクセスの制約、効果的でない能力など、各国間で調和のとれた規制の枠組みが存在しないことは、ワクチン接種を受ける者の命を脅かす可能性があり、COVID-19のパンデミックを永続させる可能性がある[293][294]。包装資材に用いる追跡システム技術は、サプライチェーン全体でワクチンバイアルを追跡するため、製造業者によって使用されており[265]、また、ワクチン接種チームのセキュリティを保証するためにデジタルおよび生体認証ツールを使用している[281][295]。2020年12月、インターポールは、組織犯罪がワクチンのサプライチェーンに潜入し、物理的手段で製品を盗み、情報窃盗を行い、さらには偽造ワクチンを供与する可能性があると警告した[296]

国のインフラ整備

WHOは「効果的なワクチン管理」システムを実施しているが[297]、これには、ワクチン配布のための国・準国家の人員や施設を準備するための優先順位を構築することが含まれており、これには以下のようなものがある:

  • 時間や温度に敏感なワクチンを扱うスタッフの育成
  • ワクチンの保管と輸送を最適化するための堅牢なモニタリング機能
  • 温度管理された設備・機器
  • トレーサビリティ
  • セキュリティ

個々の国内での効率的な取扱い、及び通関のための国境プロセスには、以下のものが含まれる[270][297]

  • 離陸と着陸の許可を容易にする
  • 航空乗務員の検疫要件の免除
  • 効率的な国内展開のための柔軟な運用の促進
  • ワクチン温度要件を維持するための着陸優先権の付与

賠償責任

物理的に長期の安全性は確認できないため、製造業者には将来的なリスクがあった。これに対し、2020年2月4日、アレックス・アザー米保健福祉長官は、COVID-19に対する医療対策のための「公共の準備と緊急事態への備えに関する法律(Public Readiness and Emergency Preparedness Act)」に基づく通知を公表した。対象を「COVID-19、またはSARS-CoV-2またはその変異ウイルスの感染を治療、診断、治癒、予防または軽減するために使用される任意のワクチン」とし、宣言は「ワクチンの作成における製造業者の過失、または誤った投与量を処方した医療提供者の過失を主張する賠償請求は、故意の不法行為がない限り、除外される」としている[298]。この宣言は米国では2024年10月1日まで有効である。

日本においては、他のワクチンと同様に副反応による健康被害が起きた場合、予防接種法に基づく国の救済制度の対象とされた[299]

誤った情報

SNSでは、COVID-19ワクチンが利用できなかった時期に既に利用可能であるという陰謀論も見られた。様々なSNSの投稿で引用された特許には、SARSコロナウイルスなどの他の株の遺伝子配列やワクチンに関する既存の特許が参照されているが、COVID-19については参照されていない[300][301]

2020年5月21日、「nCoV19 spike protein vaccine」と称するワクチンを販売していた、米国シアトルに本拠を置くNorth Coast Biologics社に対し、アメリカ食品医薬品局(FDA)は中止通知を送ったことを公表した[302]

オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)は、西側で開発されたワクチンに関わるファイクニュースあるいはプロパガンダを中国・ロシアが流布していると主張している[303][304]

ワクチン・パスポート

2021年2月に世界で最もCOVID-19ワクチンの接種が進んでいるイスラエル、翌3月には中国がCOVID-19ワクチンの接種を証明する「ワクチン・パスポート」を発行しており[305]、各国もこれに続くとされている。

4月1日時点でヨーロッパのアイスランドエストニアキプロスジョージアポーランドルーマニア、中南米でグアテマラベリーズエクアドル、太平洋島嶼ではセイシェルといった国が、ワクチン・パスポート保持者の旅行入国解禁を開始している。但し、国によっては接種したワクチンの製薬メーカーによって有効無効の違いがある[306]

また、ワクチン・パスポートを得るために渡航するワクチンツーリズムも始まっている[307]

ワクチンの確保・接種状況

世界の概況

2021年4月10日時点での世界でのCovid19ワクチンの接種状況は以下のとおり[308]

100人あたりの接種回数 / 累計接種回数

イスラエルの状況

2021年3月時点でも4月時点でも新型コロナウィルスの人口当たりのワクチンの接種率が世界一となっているのはイスラエルである。

イスラエルのコロナワクチン対策専門家チーム代表で、イスラエル国内最大の保健機構「クラリット」のチーフ・イノベーション・オフィサーでもあるラン・バリチェルが2021年3月24日に、日本記者クラブ主催のリモート講演会で語ったところによると[309]、「昨年(2020年)の12月19日から高齢者優先で始まったワクチン接種は、16歳以上の全住民に対象が拡大され、イスラエル国民約920万人の60%がすでに接種済みで、50%が2回接種済み。特に50歳以上は80%が2回目の接種を受けており、高齢者はワクチンで守られている[309]」とのことであり、イスラエルが世界で最も早くワクチン調達できた理由は「昨年の12月より前にワクチンメーカーと事前購入契約を結んでいた。さらに感染が増えた場合にはファイザーや、ほかのメーカーと優先的に提供してもらう契約をしていた。」と説明[309]。そして「その代わり、感染に関するデータは世界で共有するという条件が付いていた。つまりイスラエルがワクチン接種の『テストベッド』になることで大事なワクチンをより早く調達できた」と説明した[309]

イスラエルでのワクチン接種のしかたについては、 「イスラエルではワクチン接種するためにワクチンクリニックを各地にオープンした[309]」と言い、数百というクリニックを1週間でイスラエル全土に展開した、という。大きな病院や広場にテントを張るなどしてクリニックを設営し、接種を受けた人の管理は、20年前にデジタル化した電子カルテを使って行い、誰が接種を受けたか、2回目の接種の日時の案内も1回目を受けた時点で決まるようにした、と言い、イスラエルではデジタル化が進展していることが効率的なワクチン接種に大いに役立ったと明かした[309]

また「透明性の確保が重要だった。われわれが知っていることと、分からないことをクリアなメッセージとして隠さず国民に伝えた[309]。」と語った。

接種を促進する手法については「接種を受けた人には『グリーンバッジ』を付けてもらっている。」と説明。「スマホで接種を受けたことを証明するマークを受信しておけば、レストランの店内で食事ができ、コンサートや文化イベント等にも参加可。それに対して、接種を受けていない人はレストランの店外でしか食事ができないとするなど、接種を受けた人と受けてない人に違うルールを適用したことで、経済活動を安心して再開することができ、接種を増やすインセンティブにもなった」と説明[309]

日本の状況

日本でのワクチンの確保

2020年6月5日 - 加藤勝信厚生労働大臣(当時)は、2021年前半までにコロナワクチンの量産体制を整備していくと表明し、2020年度第2次補正予算1455億円でワクチンの開発企業に対し生産体制の整備を前倒しして進めるための費用を補助する方針を示した[310]

2020年6月14日 - 安倍晋三内閣総理大臣(当時)は、ニコニコ生放送の番組内で「早ければ年末にワクチンを接種できるよう米モデルナ社や英アストラゼネカ社と交渉している」と回答した[311]

アメリカ合衆国連邦政府のワクチン戦略「ワープスピード作戦」担当高官は、ワクチンについて2020年6月16日に「最優先は米国民の保護。余剰分を他国が手に入れるのは妨げない」と述べている[312]

2020年9月30日、日本政府がコロナワクチンの接種に関して、自己負担を求めず全国民を無料とする方針を発表した[313]

2021年1月18日、菅義偉内閣総理大臣は、河野太郎規制改革担当大臣をワクチン接種の担当閣僚「新型コロナウイルスワクチン接種担当大臣」に任命した[314]。続く1月19日には、2月中旬にワクチンを承認した後、2月下旬より安全性調査に参加する医療従事者から接種を始め、以降医療従事者、65歳以上の高齢者、高齢者施設や障害者施設で働く人、持病のある人を優先的に接種した後、5月より一般の人への接種を始め、7月までに16歳以上の全国民を対象に接種を進める想定スケジュールが政府により発表された[315]

2021年1月23日時点で、日本政府がワクチンの開発成功を前提に、モデルナ、アストラゼネカ、ファイザーの3社と供給を受ける契約を結んでいる[85]

2021年から、兵庫県芦屋市に本社を置く医薬品メーカー、JCRファーマがアストラゼネカの日本国内向けワクチン9,000万回分(4,500万人分)の原液製造を日本国内にて行う予定となっている[316]

日本での各自治体でのワクチン接種に先立ち、2021年1月27日神奈川県川崎市川崎市立看護短期大学体育館で、川崎市と厚生労働省による、ワクチン接種訓練が行われた[317]

また、2021年1月30日には、東京都練馬区が、2021年4月以降開始予定のワクチン接種に向けて、小規模診療所でのワクチン接種を主体とし、公共施設での大規模接種を組み合わせた「練馬区モデル」を発表し、厚生労働省は先行事例として、全国の自治体に情報提供した[318]京都府京都市栃木県佐野市など全国各地の自治体で、この「練馬区モデル」を導入する方針を固めている[319][320]

2021年2月12日には日本国内向けのアメリカファイザー製ワクチンの第1陣が、ファイザーの製造工場のあるベルギーから千葉県成田国際空港ANA機で到着した[321]。第2便は2月21日にANA機で成田に到着した。第3便は3月1日に、第4便は3月8日に到着した[322][323][324][325]。この4回の空輸で最大約236万回分、約118万人分が確保された[325]

ワクチンの接種状況

2021年2月17日に、2月14日日本で正式に承認されたファイザー製ワクチンの接種が国内にて開始され、1人目の接種が東京都目黒区国立病院機構東京医療センター院長に対して行われた[326]。今後、順次、各都道府県の病院で、医療従事者向けの接種が進められる。

次いで、65歳以上の高齢者に対しては4月12日に接種開始、同26日以降本格接種の開始が予定されているが、接種を受ける医療従事者の数が当初の想定より100万人多い470万人に増えたことや接種対象となる高齢者が約3600万人に上ること、日本で広く使われる注射器では1瓶から6回分を採取できないこと、ファイザーのワクチン増産が5月以降となることなどから、スケジュールの遅延が予想されている[322][327][323]。一方、京都府の宇治徳洲会病院は、条件が合えばインスリン用注射器でファイザー製ワクチンを1瓶から7回接種可能であるとした[328]。また、テルモは1瓶から7回接種可能な注射器を開発し3月末から生産を開始するなど、ワクチン接種の効率化、迅速化が期待される[329]

2021年3月下旬時点で、日本の100人あたりのワクチン接種回数は0.4回であり、OECDの37ヶ国中で最下位である[330][331]


脚注

[脚注の使い方]

注釈

出典

  1. ^ a b c Diamond, Michael S; Pierson, Theodore C (2020-05-13). “The challenges of vaccine development against a new virus during a pandemic”. Cell Host and Microbe 27 (5): 699–703. doi:10.1016/j.chom.2020.04.021. PMC: 7219397. PMID 32407708. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7219397/. 
  2. ^ Padilla, Teodoro (2021年2月24日). “No one is safe unless everyone is safe”. BusinessWorld. https://www.bworldonline.com/no-one-is-safe-unless-everyone-is-safe/ 2021年2月24日閲覧。 
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