写真:白馬村・八方尾根(資料)
『バックカントリースキー』で遭難事故相次ぐ 男性2人が負傷して行動不能に 県警ヘリで救助
長野県内で15日、スキー場のコースではない斜面を滑る「バックカントリースキー」中の遭難事故が相次ぎ、… このままもっと読む
PORTALFIELD編集部より
この記事を読んで改めて感じた事が一つあります。バックカントリー(BC)というアクティビティについて、完全悪として捉える風潮が一部に依然として残っているんだなあと。
このニュースでは2件の遭難を伝えていますが、八方尾根で救助された男性の場合は「バックカントリースキーのツアーに参加」とあります。ツアーですから、もちろんガイドさんが引率しています。
基本的な装備を整えることなく、地形や地理についても念入りな下調べをするわけでもなく、その挙げ句に進入禁止エリアに入ってBCを楽しんだ結果遭難し救助されるというケースとは全く違います。
ガイドツアーでは、ツアー参加にあたりBCの必須装備を揃えることが必ず必要ですし、もし持っていないギアがあった場合でもレンタルをして借りることもできます。
また、ガイドさんは地元の山に精通した方が多いわけで、絶対に進入してはいけない区域や、避けるべきルートなど、そうしたことは当然頭に入っている上で、当日のツアー参加者のスキルなどに応じてベストなルートをプロとして計画するわけです。
ですから、起きてしまった遭難事故自体は何らかの原因があって発生したことには変わりないですが、今回救助された男性はツアーに参加していた時点で最低限必要とされる準備はしっかりしていた筈です。
ガイドツアーの参加費用は決して安くありません。しかし、その費用に見合うだけのサポートをしてくれるのがガイドさんの役割です。BC経験が無かったり、そもそも必要装備も揃っていない人が、ガイド費用をケチって自ら山に入り、その結果遭難したのとは全く異なる次元の話です。
その点において、この男性がガイドツアーに参加したというのは、むしろ評価されてもいいポイントな訳です。もちろん、起きてしまった遭難事故を肯定するつもりはありません。
そうしたことを一切考慮せずに、決まり文句的に「バックカントリー」が「危険な違法行為」という論調をすぐに展開しがちな昨今の風潮には、正直違和感を感じています。
この辺り、アクティビティを楽しむ側だけでなく、広く一般の人々の認識を深めるためにも、「そもそもBCとは何か?」を広く知ってもらうための何らかの行動が、関係者だけでなくBCを楽しむ一人一人にも求められる時期になってきたと思います。今後、BCを取り巻く環境がより良いものになっていくことを願うばかりです。(PORTALFIELD高橋)
NBS長野放送