羽毛の「フィルパワー」とは?

寝袋やダウンジャケットなど登山用品のカタログデータや宣伝文句で、「フィルパワー(FP)」という数値を目することも多いと思います。

羽毛の品質のひとつの目安として、登山用品などに使われる羽毛は、だいたい「550フィルパワー」以上の良質ダウンが使用されるとされています。

さて、それではこの「フィルパワー」とは、どういった単位なのでしょうか?

 

 

このエキスパートアドバイスを書いた人

金子圭一

本来の定義を一言で言うと、

「重量1オンスの羽毛が何立方インチの体積に膨らむか」

という数値です。

FP=in3/oz

例えば600フィルパワーというのは、1オンス(28.35g)の羽毛が600立方インチ(約9832cm3)の体積に膨らむということです。

これによって、羽毛の膨らみ具合(カサ高性)を数値化して表しているわけです。

従って、この数値が大きいほど軽くてよく膨らむ良質羽毛の目安ということができます。

IDFL (International Down and Feather Testing Laboratory) の検査用シリンダー
(イスカWEBサイトより)

この測定方法にはいろいろありますが、もともと多く使われていたUSA法では内径9.75インチの円筒シリンダーの中に1オンスの羽毛を入れ、膨らんだ状態の上に重量68.5gの円盤を乗せ、沈み込んで高さが落ち着いたときの体積が何立方インチであるか、という定義でした。

現在、世界標準とされているIDFB法(国際羽毛協会方式)では、内径288mmの円筒のシリンダーに30gの羽毛を入れ、94.3gの円盤で荷重したときの体積とされています。

もちろん、昔からの数字の流れなので、体積は立方インチ表記です。

日本のJIS規格では、これとほぼ同じ道具立てで荷重がやや重い円盤で測ったときの高さmm表示を「かさ高性」として表していました。

しかし、最近「フィルパワー」が次第にポピュラーになってきたせいか、JISではFPと同じ94.3gの荷重時の体積を、羽毛1g当たりの立方センチで表した、メートル法の「ダウンパワー」 (dp:cm3/g)で表記するようになりました。

因みに、94.3gの荷重というのは、一般的にふとんの中に詰め込まれた羽毛は、常に約1.4kg/m2(約14パスカル)の加圧を受けていると想定されていて、それと同等の力でつぶした状態を模しているためです。

高級羽毛ふとんなどに付く「ゴールドラベル」「エクセル」とか「プレミアム」というのは、この基準に基づいています。

例えば、最高級羽毛布団の「プレミアムダウン」は、ダウンパワー440以上のものとされていますが、これをフィルパワーに換算するには、30g分の体積を立方インチで表せばいいわけです。

体積:440(cm3)x30(g)=13200(cm3)

1立方インチは約16.38cm3なので、13200÷16.38=805、つまりこれは805フィルパワーとなります。

同様に
ダウンパワー400以上の「ロイヤルダウン」は、
約730フィルパワー、

ダウンパワー350以上の「エクセルダウン」は、
約640フィルパワー

となります。

やはりさすがに高級羽毛布団はいいダウンを使っていますね。

登山用のダウン製品の中で市販品の最高クラスのものでは、例えばモンベルのEXダウン(1000フィルパワー)というのがあります。

これを、分かりやすいメートル法であるJISダウンパワーに換算してみると、約546となります。

つまり、このダウンはたった1gがペットボトル1本分以上の体積に膨らむということですね。

もちろん、ウェアにしろ、シュラフにしろ、羽毛製品の性能はフィルパワーだけでは表わせません。

例えば800FPの最高級ダウンを500g詰めた寝袋と、600FPのダウンを1000g詰めた寝袋では、後者のほうが暖かいです。

防寒性保温性を比べるには中身の「量」も見なければわかりません。

また、どんなに高品質なダウンを使用していても、それを製品にする際の生地や縫製、デザインやカッティングも含めた一体として製品の性能となるわけですから、FPはあくまでひとつの目やすです。

文 金子圭一
構成 PORTALFIELD編集部