登山をするための技術はいろいろありますが。その一つに「バテない」ことが挙げられます。登山中に体力を使い果たしてしまい、どうにも動けなくなるような事態だけは避ける必要があります。
一般的な登山であれば、一日の行動時間は6~8時間になります。体力を温存しながら登山を楽しむ術を身に付けなければ、その時間は登山というより、ただの苦痛なウォーキングとなってしまいます。
山歩きでバテてしまわないようにするポイント
1.登山当日の自分の体調を見極めること
体調不良の時にはハードな登山計画を実行してはいけません。当たり前に聞こえますが、ついつい無理をしてしまいがちです。
登山当日の早起きや前夜泊などで睡眠不足になりやすいこともありますが、長時間の行動には睡眠不足は大敵です。
体調不良と睡眠不足が重なった状態であれば、その日の登山は中止した方がよいかもしれません。無理をすると、結果的に他の人達にも迷惑をかけてしまうかもしれません。
2.自分の技量や体力を超えたレベルの登山をしない
登山に慣れていないうちや初心者が初めから行動時間が8時間を超えるようなコースを選ぶなど、ハードな登山計画を立ててはいけません。
慣れない岩場や沢、ガレ場、ザレ場、クサリ場などの難コースで、身体に余計な力が入り無駄な体力を使ってしまうことも登山中の疲労原因のひとつとなります。
回数や日数をこなすことで登山の経験を積み、余計な筋力を使わないで山登りができるようになれば、自然とバテにくい登山ができるようになるはずです。
緊張をときほぐし、リラックスして登山に臨むことこそが、疲れない山歩きのある種の極意かもしれません。
3.一定のペースで歩く
最初の30分は特に意識してゆっくり歩きましょう。目安は「おしゃべりしながら歩ける」ペースです。
30分という時間は身体がこなれてくるのにその位の時間が必要なのと、登山靴の靴ひもが緩んでいないかなどの状態を確認するのにも丁度いいタイミングだからです。ゆっくり歩き始めて30分ほど経過して、普通のペースで歩き始める際にチェックすると良いでしょう。
その後、少しずつペースを上げていきますが、心拍数が130くらいを保てるくらいを目安としてください。
登山時のターゲット心拍数(1分あたり) = 180 − 自分の年齢(マフェトンの公式)
ということを覚えておきましょう。心拍計機能が付いている時計を持っている方などは、一度計測してみると良いですね。ただし、この数値は目安です。体力に自信のない人はこの数値より5〜10低い値を目安にしてみてください。
時折短い休憩をとりながら、ある程度長い時間歩き続けられるペースで歩きましょう。
4.しっかりと栄養補給をしよう
登山で消費するカロリーの目安は、
消費エネルギー量 = 自分の体重(kg) × 運動時間 × 5kcal
です。
体重が70キロの人が6時間のトレッキングをした場合、消費されるカロリーは2100kcalです。
登山は普段思っているよりもカロリーを多く消費します。行動食などを工夫して、シャリバテを起こさないように注意しましょう。
5.適切な水分補給をしよう
必要な水分量の目安 = 自分の体重(kg) × 行動時間 × 5ml(鹿屋体育大学・山本正嘉教授の研究による)
脱水症状を起こさないように、こまめに少しずつ水分補給をしていきましょう。歩きながら水分補給が簡単にできるハイドレーションなどを利用すると便利です。
登山に必要な筋肉の鍛え方
登山は自然が相手のスポーツです。
ほとんどの週末を山で過ごすという方は、それ自体がトレーニングと言えそうですが、実際は必ずしもそうではありません。
運動生理学から見た登山は、マラソンと同じく有酸素運動(エアロビクス)となります。体力をつけるのとともに、酸素の摂取量を多くして持久力を身に付け、心肺機能も強化する必要があります。普段からジョギングやウォーキングをしておくと良いでしょう。
通勤や通学の時の歩き方と違い、登山のためのウォーキングはエクササイズウォーキングとなります。正しい歩き方を意識してトレーニングすることが必要です。
登山に行けない週末は、まず30分のエクササイズウォーキングに挑戦し、徐々に早歩きへとレベルを上げていきます。無理をしないで続ける、これが登山のための全身の持久力を高めるトレーニングのコツです。
登山で使う筋肉は、脚の筋肉だけでなく、背筋や腹筋を多用しています。これはザックという大きくて重い荷物を背負っているからに他なりません。
自宅でもできるスクワットは、登山に必要な筋肉をつけるのにとても有効です。
スポーツジムに通われている方は、有酸素運動の他に、レッグプレス(上記写真)やアブドミナルなどの筋トレも取り入れてみましょう。
これらの普段からのトレーニングによって体力をつけることは、登山をするにあたってとても有益です。また、トレーニングは継続してやることとが大切です。まずは無理のない範囲で始めましょう。
腹筋・背筋・脚などの筋肉を自宅で鍛えておくこと、これは次の登山を少しでも楽にこなす秘訣です。