山に生きる者たちは、決して山に抗ず冬の間、山を離れることで自然の猛威をやり過ごしてきた。
ところが今、冬の立山にも観光客を呼んで、世界レベルの山岳リゾートを目指す計画が進められている。
チューリップテレビ制作「沈黙の山」より
世界ブランド化構想に潜む陰を追いかけたドキュメンタリー番組「沈黙の山」(チューリップテレビ制作)が、「第56回ギャラクシー賞」を受賞しました。
個人的な感想としては、よくここまでやったなと。「立山黒部世界ブランド化」に対する推進派と安全面を考慮しての反対派の対立にスポットを当て視聴者に問題提起をしたもので、特に安全推進派からの視点にスポットを当てた作品となっています。
この番組のディレクター、チューリップテレビの五百旗頭 幸男さんは、ご自身のブログでこの番組について、こう語っています。
「私たちの仕事は、視聴者の皆さんに答えを示すことではなく、物事に対する多様な見方を提示することです。大半の人たちが一つの方向から問題を見ているならば、それとは違う方向から問題を捉えることにドキュメンタリーの本質があると思います。」
「番組を見て、『こんなことは知らなかった、冬季営業など無理だ』と思う人、『冬の立山にも観光客を呼ぶのはいいことだ』と思う人、捉え方は様々なはずです。そのうえで、世界ブランド化の問題についてじっくり考えるきっかけになるならば、この番組を作った意義があります。意見の異なる人たちを排除するのではなく、多種多様な考えを認めあい議論が交わせる富山であってほしいと思います。」
と綴っています。(いおきべのたまにブログ)
また、このプロジェクトに安全面から再検討を求める意見書を富山県に提出した阿曽原温泉小屋の佐々木泉さんは、この番組のギャラクシー賞ノミネートに際し、
大きなテーマで、条件の良い時に観光だけで訪れた方には分かり辛い内容だったかもしれませんので、県の観光推進事業に楯突く!既得権益を守る為!みたいな解釈されてしまう方が居られるかも知れませんが、よく見て考えて頂ければ「立山黒部」の利用方法はどうあるべきなのか見えて来るはずです!
○なぜ冬期間に利用されてこなかったのか?
○ヨーロッパアルプスと立山との違い?
○霊山として登られてきた立山と、どのようにして付き合って来たのか?等々、事情の分かっている方には分かっていたはずですが声を出せないでいたのでは?
そもそも県政に疑問を唱える内容には、地方の小さなローカルテレビ局内でも様々な論争・葛藤も有ったであろうし?そんな中で作り上げた勇気とパワーに敬意を払わねばなりません。
そして素人ながら「限られた番組時間内に、よくまとめ上げたな」と感心させられます。
「立山・黒部」の素晴らしさを、「多くの方に来て頂いて感動してもらいたい!」との思いは関係する者の総意であるはずです。 知恵を出し合い、良い方向に進んで行けばと思います。
と、ご自身(佐々木泉さん)のブログで意見を発信しました。
ぜひ、この番組が全国放送され、多くの方の目に届いて欲しいと思います。番組を見てみたい、という声が多くなれば全国放送へ、という動きになるかもしれません。
また、PORTALFIELDもより多くの方に、こちらの番組が視聴できるように働きかけをしていけたらと考えております。
改めまして、チューリップテレビ、「沈黙の山」制作の皆様、ギャラクシー賞受賞、おめでとうございます。
これからの益々のご活躍を期待しております。
*ギャラクシー賞
放送批評懇談会設立の1963年に創設された賞で、放送批評懇談会会員から選ばれた選奨事業委員会が、応募のあった作品および選奨事業委員会が推奨した作品(CM部門を除く)の中から、「テレビ部門」「ラジオ部門」「CM部門」「報道活動部門」の4部門について以下の各賞を年に一度表彰する。
出典:Wikipedia