2016下ノ廊下、旧日電歩道を歩く10月15日編 扇沢→黒部ダム→ロッジくろよん

この記事は2016年10月に「Head for the mountains」に掲載したものを2019年1月にPORTALFIELDへ移設したものです。記事移設にあたり一部加筆修正を行っています。

PORTALFIELD高橋

 

2016下ノ廊下、旧日電歩道ルート。10/15黒部ダムへアクセス編。

この日の行程:新宿→信濃大町→扇沢→黒部ダム→ロッジくろよん

2016年、今年は下ノ廊下が開通!

立山、黒部エリアはどこからアクセスするにしても基本的には立山黒部アルペンルートを使うことが多いエリアですが、それ故にアクセスする方法がある程度限定されてしまい、計画を立てるにあたっては時刻表を少し調べないと目的地なり登山口に一体何時に着くのか予測を立てにくい山域の一つです。その中でも黒部って、よりその傾向が強いというか今でも秘境感が漂う特別な場所に感じます。

 

(↑立山黒部アルペンルート公式ページより引用)

 

その黒部の中にあって、下ノ廊下(しものろうか)を歩くルートの存在感は際立ってます。地図を見てもその全長距離といい、「危険」マークが連続する上に途中にエスケープルートも無く、黒部ダムから阿曽原間だけでもコースタイムは7時間半ほど。正直なところ、前々から興味はありましたがどこかで躊躇する部分がありました。

それに加えて、開通し歩ける期間は例年9月中旬から10月下旬までの約1ヶ月ほど。夏山シーズンはとうに終わり、山では秋から冬に移り変わる時期です。そんな時期にただでさえ奥地の黒部に行っていいものなのか、服装一つとってもちょっと気を使いました。

服装に関してはその日の天気によっても大きく変わりますし、一概にこれ!というものは難しいと思いますが、一つの目安としては、標高があると思います。基本的に谷間を歩くので、標高自体はそれ程高くないんですよね。一番高いのは黒部ダムで標高1550mほど。黒部ダムをスタートしてそこから下流方向に歩いて行く場合、途中の阿曽原温泉で標高880mくらい、ゴールとなる欅平では標高600m。その点を意識して服装を考えました。

歩いてみて感じたことですが、このルート、ある程度の起伏は当然ありますが、山を越えるとかそういったものはあまり無いので普通の登山や縦走よりは汗をかく場面は少なかったです。手に汗握る場所はありましたが(笑)

 

 

この下ノ廊下ルートですが、昨年2015年は開通しませんでした。そもそも歩ける期間が短いのと、開通にあたっては積雪や落石などで荒れてしまった道を整備しなければならず、それの進み具合に大きく左右される為です。それに加えて、ルート上にあって重要なポイントとなる阿曽原小屋(正式には阿曽原温泉小屋の営業が終わってしまうと実際問題として歩くのは難しいと思います。

去年から今年にかけての2015〜2016冬シーズンは例年にない雪不足で、残雪の具合などそれの影響があったのかは不明ですが、今年は無事開通してくれました。今回はスケジュール的に調整出来そうだったのと、決め手としては阿曽原小屋の予約が取れたことで行ってきました。普段はテント泊が多いですが、テン泊ザックでこのルートを歩いていいのか悩ましかったので、今回は当初より小屋泊の前提で検討しました。

日程的には黒部ダムから欅平まで一泊二日あれば歩けます。というか、小屋泊にしてもテント泊にしても途中泊まれるポイントって阿曽原温泉だけなんですよね。そんなこともあって一泊二日での日程が基本になると思います。距離を考えると1日で歩くのは厳しいですし、そもそも1日で歩き通すのは勿体ないです(笑)

 

下ノ廊下へのアクセス

下ノ廊下の黒部川上流側のスタート地点となる黒部ダムですが、ここへのアクセスは長野側からも富山側からも立山黒部アルペンルート利用となります。

歩き始めるにあたっては出来れば早い時間にスタートしたい訳ですが、これはアルペンルートの各乗り物のスケジュールに左右される部分が大きくて、長野側から入る場合は扇沢からのトロリーバスの時間が重要になります。朝イチで扇沢を出発するとしても、始発が7時頃なので、黒部ダムに着いて歩き始められるのは早くても7時半過ぎになってしまいます。

山と高原地図のコースタイムでは、黒部ダムから阿曽原温泉小屋までは7時間25分ほど(2016年)。コースタイムより速く歩けるか、それ以上かかるかは人それぞれ違いますし天候その他にも左右される部分はありますが、途中の休憩や写真を撮ったりする時間を考えると、プラスアルファの時間がかかる訳でして、それなりに長丁場な1日になります。 そうなると、仮に7時間半で歩けたとしても、朝7時半に黒部ダムを出発して阿曽原温泉小屋に着くのは15時頃。始発のトロリーバスに乗れる保証は無い上に、小屋での夕食の時間や温泉に入る時間(日中のお風呂は男女1時間交代制)を考えると、結構シビアなスケジュールになっちゃう可能性があるんですよね。

時期が時期だけに、ひょっとしたら紅葉が綺麗になっててゆっくり歩きたい場所もあるかもしれないですし、道幅が狭いルート上でのすれ違いも大変そうです。 その辺を色々検討した結果、今回はこのルート初めてということもあり、やっぱり黒部ダムを早めに出発したいなと。そのパターンの場合、黒部ダム駅から歩いて30-40分ほどに位置する「ロッジくろよん」を利用して前泊するのが定番コースのようです。

 

立山黒部アルペンルートの玄関口、扇沢までのアクセス

幸い、ロッジくろよんの予約も取れたのでその計画で準備を進めることに。

ロッジくろよんの予約に際しては、翌日の行き先を訪ねられました。下ノ廊下であることを告げると、阿曽原温泉小屋の予約が取れているのか確認された上で予約を受けるという流れ。阿曽原温泉小屋ほどでは無いにしても、宿泊人数のキャパはそれほどある訳では無さそうなことからそういうシステムになっている感じでした。あとは到着時間、食事はどうするか、など一般的なやり取りをして予約を完了。

予約をした10/15(土)は30名ほどの団体が入ってるということで混雑が予想され、満室かつ相部屋になる可能性が高いこと。翌日の朝食をお弁当にしてもらうことは問題無く、宿泊料金は一泊二食で大人一人10,260円。この時点で旅館や民宿というよりは山小屋スタイルに近いことが想像できました。

東京→扇沢の場合

今回は東京から立山黒部アルペンルートの玄関口となる扇沢へ向かう訳ですが、いくつかある交通手段を検討してみました。(時刻、運賃などは2016年10月現在)

1. クルマ利用:人数によっては交通費が安く済むこと、時間的には融通が利くが、今回の計画では最終的には扇沢へ戻らず富山へ抜けるため、車を駐めた扇沢へ戻ってくるか、富山まで回送をお願いする必要があり(扇沢→宇奈月温泉で30,000円前後)、時間的にも費用的にもロスが発生。

2. 電車利用(北陸新幹線):電車に乗ること自体に問題が無ければメジャーな選択肢の一つ。「東京→長野まで北陸新幹線」「長野→扇沢までアルピコ交通特急バス」の組み合わせ。新幹線の本数は全く問題なく、長野からのバスの本数は多くないものの(1日5往復)所要時間的には最短になるので便利なんですが、デメリットとしては費用が一番かかること。費用は6,790円(新幹線あさま号限定トクだ値15利用)+2,600円=9,390円所要時間は合計4時間

3. 電車利用(特急あずさ):北陸新幹線同様、有力な選択肢の一つ。「新宿→信濃大町まで特急あずさ」「信濃大町→扇沢まで路線バス」の組み合わせ。ただ、本数的な問題として新宿から信濃大町まで直通するあずさが1本だけで列車が限定されること、ずっと在来線なので時間的にも結構かかること、新宿→松本間ではJRの割引きっぷ「トクだ値」を利用すると35%オフになりますが、松本から先に行こうとすると割引が一切無くなってしまい、料金的なメリットは薄くなることがデメリット。費用的は7,130円(通常期普通車指定席)+1,360円=8,490円所要時間は合計4時間25分

4. 高速バス利用:あずさと同じく新宿から出発。新宿はバスタ新宿(新宿高速バスターミナル)から乗車。ルートは「新宿→信濃大町駅前まで高速バス新宿〜白馬線」「信濃大町→扇沢まで路線バス」この組み合わせ、もしくは「新宿→扇沢まで高速バス新宿〜白馬線夜行便」になります。信濃大町までは所要4時間半ほど、信濃大町から扇沢までは40分ほど、所要時間は合計5時間10分。本数的には1日4往復。費用は4,200円+1,360円=5,560円。デメリットとしては中央道の渋滞に巻き込まれる恐れがあることでしょうか。夜行便に関しては運行日が限定されるので、ここでは省略します。高速バスは「バスぷらざ」などからネット予約できます。

ここまでまとめてみてお気づきになった方もいるかと思いますが、新幹線を使っても全てバスを使っても所要時間は70分ほどしか変わらないんですよね。対して費用の差は全てバス利用だと3,830円も安くなります。今回は初日15日は単純に移動日ですので、それ程早く行く必要が無いこともあり、全てバスを利用するプランにしました。

 

扇沢からトロリーバスで黒部ダムへ

 

 

中央道で渋滞に巻き込まれたこともあり、信濃大町へは1時間近く到着が遅れましたが、信濃大町駅前を15:15に出発するバスに乗車できました。

扇沢に到着したのは15:50頃。定刻では15:55着で、接続するトロリーバスが16時のため切符を購入して改札が間に合うのかヒヤヒヤでしたが、多少早い時間に着いてくれたので問題はありませんでした。もう夕方だったと言うこともあってか、切符売場も空いていて待たずに購入出来ました。

 

 

改札に並んでる人も少なかったです。これなら問題無く座って行けそう。(トロリーバスは座席定員制では無く、混むと普通に立席乗車になります)

 

 

 

改札を抜けて乗り場へ向かいます。

 

 

 

16時の便に無事乗車。黒部ダム駅までは所要16分ほど。

(2016年11月12日追記) この数日前にトロリーバスを利用した友人にトンネル内走行中の迫力のある写真を見せてもらえました。で、掲載させてもらうことができた写真がこちら。

 

 

Copyright © tetsu こちらの写真のようにトンネル内は1車線ほどの幅しかありませんが、途中にすれ違いポイントがあります。前方座席に座ってても、車内混雑してたりすると中々こうした写真は撮れる機会が少ないです。

 

この日の宿ロッジくろよんへ

 

 

16:15黒部ダム駅着。ここからは徒歩で向かいます。

 

 

駅からトンネルを進み外へ出ると、ダム建設の際に亡くなった方々の慰霊碑があります。

 

 

トロリーバス黒部ダム駅側から、ケーブルカー黒部湖駅方向。

 

 

ダムの観光放水はこの日まででした。以前ここを通っても見たことなかったのでラッキー。

 

 

黒部ダム(黒部湖)から黒部川上流方向。

 

 

時間が時間ということもあって、ロッジくろよん方面にあるケーブルカー駅へ向かう人はいませんでした。

 

 

ダムを渡りきり左手に行くとロッジくろよんですが、左手に行くにはケーブルカー黒部湖駅方向のトンネルに一旦入る必要があります。

黒部湖駅の改札手前の左手にはロッジくろよん方面への分岐があり、更に歩いて行きます。写真は一旦外に出た後に位置する別のトンネル。

 

 

対岸側から黒部ダムを望めます。

 

 

こんな吊橋を途中通り、

 

 

本日の宿、ロッジくろよんが見えてきます。途中寄り道することなく歩いてくると黒部ダム駅から30-40分ほどですが、写真を撮ったりしてたので50分近くかかりました。

道は舗装されてますが、途中に街灯は無いので到着が遅い場合はヘッデン(ヘッドライト)や懐中電灯などが必要です。

 

ロッジくろよんに宿泊

 

 

ロッジくろよんに到着。ここへの途中にテント場があります。そこそこの数張られてました。既に団体さんは到着していて、受付そばにあるテレビがあるスペースは混雑してました。

チェックイン時に部屋の場所や食事の時間、お風呂の時間などを案内されて宿泊費を払い(一泊二食付きで10,260円。朝食はお弁当に変更可能)部屋へ。受付の際に手ぬぐいと歯ブラシがもらえます。バスタオルや浴衣の類は無いので必要に応じて準備しておくといいかもしれません。

この日は空室は無さそうでした。部屋は畳敷きの部屋がほとんどのようでしたが、今回は2段ベッドが2つある部屋に。相部屋でしたがベッドが独立してたので快適でした。

お風呂の写真はありませんが、スペース的には脱衣場もお風呂内も結構広いです。湯温は高め、あまり長いことは入っていられないかも。シャンプーとしても使えるというボディーソープは備え付けのものがありました。女性用のお風呂にはシャンプー、リンス、ボディーソープがあったそうです。単に男性用のお風呂にはシャンプーとリンスが無いだけのような気もしますが、まあその辺の意図は分かりません(笑)。

あと、脱衣場にはドライヤーがありませんでした。何も意識せずに髪を洗ってしまったんですが、気付いた時には後の祭り。ただ、夕食後に判りましたが、貸出用のドライヤーはあったようなので問題無さそうです。

 

 

この日の夕食はこんな感じ。品数もあり、ご飯、味噌汁はおかわり自由。自販機の缶ビールなどを持ち込んで飲むこともできます。 消灯は21時半なので一般的な山小屋よりはゆっくりできますが、翌日も早いので消灯前に休みました。

「10月16日編-1 ロッジくろよん→内蔵助谷出合」へ続きます。

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