2016下ノ廊下、水平歩道ルート。10/17阿曽原温泉小屋→欅平→富山編1
この日の行程:阿曽原温泉小屋→折尾谷砂防堤トンネル→志合谷トンネル→欅平→宇奈月→富山→東京
このページで紹介の区間:阿曽原温泉小屋→折尾谷砂防堤トンネル→大太鼓
雨の下ノ廊下、水平歩道へ
昨夜から降り出した雨は本降りとなって、一晩中その雨音が響いてました。黒部ダムから阿曽原温泉小屋まで歩けたことでまずは一安心していたものの、欅平まではまだ距離があります。阿曽原までもいたる所に難所はありましたが、それを無事に通過できたのは天気が良かったということが味方してくれたことが大きな理由の一つになっていたことは間違いありません。
これだけ長い時間まとまった雨が降り続いてしまった今、雨が上がったとしても道の具合はあまりよくないことは容易に予想され、そのことも不安に拍車をかけていました。
昨晩の段階では雨がどうなるか予想できなかったので、4時に目覚ましをかけておきました。阿曽原小屋から欅平にかけては昨日ほどの距離は無いので、小屋で朝食食べてから出発する人も多かったようです。混雑してすし詰めの相部屋で4時に起きたのは、昨日からご一緒させて頂いてたお二方と自分達だけでした。
お弁当にしてもらっていた朝食を食べ、トイレや荷物を整えて様子を見ましたが、雨は止む気配は無かったので、5時過ぎに阿曽原温泉小屋を出発しました。
かなりまとまった雨が降り続いてたので、小降りになるまでカメラはしまい、歩き始めからしばらくの間写真はありません。小型の動画カメラ(JVCケンウッドGC-XA2-B。どこにでも取り付けできるGoProのようなカメラです)で所々の動画を撮っていたので、写真が不足している箇所についてはそこからの動画から切り出した写真を紹介できればと思います。それにしても阿曽原温泉はまさに秘湯の雰囲気を満喫できるいい温泉でした。ぜひまた訪れたい場所が一つ増えました。
小屋を出てしばらくは樹林帯の登りを歩いて行きます。
やってきました。本日の滝行箇所その1。昨晩からの雨で、この滝は昨日の滝行箇所とは水量から滝の幅まであらゆるレベルが違います。ちょっとした映像でご紹介(※音が出ます)
2016下ノ廊下、水平歩道10月17日滝行箇所1 from Koheii on Vimeo.
例によって、どうやってもここもまず間違いなく濡れます(笑)
この天気ならレインウェア着てるかと思いますのであまり影響は無いかと思いますが、足元が濡れて滑りやすくなっているので転落、滑落には注意が必要です。他の区間にも見られるように道の端に丸太が置いてありますが、体重が加わった時にどうなるかは未知数なのであまり端を歩くのはお勧めしません。
右手に大きな沢が見えてきます。かなり斜度が急そうで落差のせいか滝のようになっていて、その長さもあって迫力のある光景が広がります。
この辺りまで丸太のハシゴがいくつか出てきます。上の写真のはその中でも長さがありました。
雨に濡れた丸太はツルツルです。
左手に大きな滝が見えてきます。この場所は沢を渡渉する必要があるんですが、そこそこ川幅があるのに加え、勢いのある流れと増水してたこともあって渡るのに苦労しました。ここで左足をドボンと(笑)
折尾谷の砂防堤トンネルへ
先ほどの滝行箇所から歩くこと25分ほど、折尾谷が見えてきます。ここには砂防堤があり、ルートはこの砂防堤の下にあるトンネルを通っていきます。雨で歩くペースは少し落ちてたかと思いますが、写真を撮らなかったせいか6:55頃には到着しました。
普段の水量は判りませんが、昨夜からの雨のせいか砂防堤から流れる水の勢いはかなり強く、周囲には水の音が轟いてました。
こういう水の音って緊張感が増しますね。今回の下ノ廊下、旧日電歩道、水平歩道山行で当初気になっていたのはこの水の音です。沢からの水の音が大きく響いてる中を歩き続けるのは、より一層の緊張感が求められそうな気がして少し心配してたんですが、実際にはその心配は杞憂でした。
というのは、ルートを通して沢の流れからは一定以上の高度差があり、そのことで音はそれ程ではありませんでした。昨日の十字峡を過ぎるとルートはかなりの高度の断崖絶壁区間を歩きますが、その辺りになると水の音はほとんどしません。水の流れや流れ落ちる音を感じたの覚えてるのは、十字峡吊橋と水が滝のように流れ落ちてきて濡れること必至のいくつかの滝行箇所くらいでしょうか。
このトンネル、雨天時などは水が溜まっているという記録をいくつかのブログで見た記憶があるんですが、このお天気ですし、もう完全に水が溜まってるものと覚悟してました。が、意外や意外、確かに地面は濡れているものの水が溜まっているということはありませんでした。雨は昨晩からかなり降り続いてますし、その事を考えるとこのトンネルに関しては、あまり足元ずぶ濡れの心配は少ないのではと思いました。その時の様子をどうぞ(※音が出ます)
2016下ノ廊下、水平歩道10月17日折尾谷砂防堤トンネル from Koheii on Vimeo.
水が轟音をたてて流れ落ちていく中、その脇にぽっかり開いた入口から中へ入っていきます。トンネルの長さはそれ程では無いですが、真っ暗なのでヘッデンは必要です。この日のルートである阿曽原温泉小屋から欅平の区間に関しては、早朝暗ければヘッデンをつけますし、それ以降もこのようなトンネルをいくつか通過するので、日が昇ってきてからもヘッデンはしまわずに付けたままにしておく方が便利だと思います。
このトンネル内部はコンクリートで整形されてるので頭をぶつける心配はあまりありませんが、ヘルメットは装着しておく方が安心です。この日も数回以上助けられました(笑)山と高原地図ではトンネルを出た所(欅平側)に水場のマークがありますが、見つけられませんでした。
この区間の目玉の一つ、大太鼓へ
折尾谷の砂防堤トンネルを抜けて、大太鼓へのルートを歩いて行きます。30分ほど歩くとやってきました。大太鼓ではなく、そこは、
またまたやってきました。本日の滝行箇所その2。この前の箇所その1は水量は多かったものの、思い切って通過すれば濡れるのはほんの僅かな時間でしたが、こちらは流れが2本連続しており、距離も長く見た目的に派手な滝です。雨降りということもあるんでしょうが、もはやこのレベルです(※音が出ます)
2016下ノ廊下、水平歩道10月17日滝行箇所2 from Koheii on Vimeo.
ここも例によって、どう歩いてもまず間違いなく濡れます(笑)
この場所でヒヤッとしたのは、滝と滝の間に若干のスペースがありますが、ここが濡れてて滑ります。1つ目の滝を通過して、まずはこのスペースで一旦立ち止まるケースが多いと思いますが、全体的に谷の方に傾斜してるんですよね。道の端には足場が設置してあるので助かるんですが、この丸太の足場、さらに滑ります(笑)この区間は距離も長く足元の状態もよくないので、一気に通り過ぎるのは要注意に感じました。
濡れてると丸太の足場は緊張します。ちょっと下を覗いてみると、
足場の下は断崖です。ここに限らずですが、この足場が無かったらとても通過できそうにありません。設置、維持整備されてる方々には本当に感謝です。
歩くほど、10分ほど。
雨脚が弱くなったのでカメラ復活ー!これまた撮影スポットな有名な場所。
まさに「水平歩道」を作るためにコの字型に岩盤がくり抜かれてます。
この「コの字型」にくり抜かれた区間はしばらく続きそうです。これが目当てで来たような部分もあるのでワクワク。
ここからの眺めは紅葉したら絶景間違いなしです。歩いていく先の水平歩道の壁面にに何やらポツンと見えます。
目を凝らしてみると、何やら四角い看板のようなものが見えます。どうやら次なるポイントのようです。
この日初めてカメラを出せたのが嬉しいやらホッとしたやらで、ちょっとのんびりしてしまいました。ちなみに山と高原地図ではこの辺から大太鼓にかけて「危険」マークが付いていて「足元注意」とのこと。
実際に道幅は狭い箇所多いですし、すれ違いは難しそうな場所もありました。雨に濡れて足場は特に滑りやすくなってますし、気を引き締めて進むことにします。その間、動画カメラをオンにしておいたので、ちょっとダイジェスト版などどうぞ(※音が出ます)
2016下ノ廊下、水平歩道10月17日折尾谷→大太鼓区間 from Koheii on Vimeo.
動画は1分ほどにまとめてますが、この間、実際歩いてる時間は5分ほどでしょうか。この辺り、いかにも「水平歩道」なコの字型にくり抜かれて、天井があまり高くない場所は雨が降っててもそれほど濡れないんですが、そうではない所がちょうど丸太の足場区間と重なるんですよね。足場もあまり幅はないので慎重に進みました。
この映像にどんな音を重ねるか、いろいろ試して楽しんでたんですが、ちょっと映画風にしてみました(笑)こちらは著作権的にクリアしてある音楽を利用しています。
7:20頃、下ノ廊下ルートの有名な景勝地の一つ、大太鼓に到着です。折尾谷からはコースタイムより若干早めに来られて一安心。
先ほどの動画にも写ってましたが、この場所は道幅が狭くて高度感あります。「大太鼓」と書かれた看板を撮ろうかと思いましたが、後ろにはほとんど下がることができず撮影困難。この写真は動画から切り出した一枚です。正面には奥鐘山の西壁がどーんと眺められますが、足元注意&雨天で地図も出せず、有名な岩壁だというのは下山後に知りました。
右手が奥鐘山西壁です。カメラでは撮影できなかったので、こちらも先ほどの動画の続きから切り出した一枚です。地図によれば谷の奥は欅平とのこと。この日はガスでよく見えませんでしたが、今回の下ノ廊下、旧日電歩道、水平歩道山行のゴールが近づいてきました。
この記事は2016年10月に「Head for the mountains」に掲載したものを2019年1月にPORTALFIELDへ移設したものです。記事移設にあたり一部加筆修正を行っています。(PORTALFIELD高橋)